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2004年4月 第15号 |
■民営化の弊害に立ち向かう南アフリカの労働者 |
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民営化の弊害に立ち向かう南アフリカの労働者
ジェーン・バレット
南アフリカ運輸合同労組(SATAWU)の幹部はエクイティ航空の手荷物係のストライキが長期化する中で多くの教訓を学んでいる。
このストライキは民営化後の賃金・労働条件改悪に抗議するもので、他の航空労働者のみならず、他産業の労働者もSATAWUに連帯し、サウスアフリカン航空(SAA)、Acsa(全主要空港を所有・運営している会社)、SAAテクニカル(機材整備会社)、ルフトハンザ・グランド・メインテナンス(LGM)、サウスアフリカンエクスプレス航空など、全国各地で二次ストライキが繰り広げられた。
教育医療関係の労働組合Nehawuは「週45時間労働を導入し、実質的な賃下げを実施した後で、さらに賃金カットを主張するとは」とエクイティ航空の「非道」を糾弾した。
SATAWUとナショナルセンターは週40時間労働を全国レベルで実施させる闘いを強化する必要性を感じている。争議のたびにこの問題が浮上するのを避けるためだ。
その他にも、就職斡旋業者を通じたパートタイムへの切り替え問題、(黒人の経済的権利の向上をめざす)ブラック・エコノミック・エンパワーメント(BEE)政策関連の株主(エクイティ航空の株式51%を保有するコンソーシアム「エクイティ・アライアンス」の株主など)への関与戦略の構築などが論点となっている。
団体協約の構造を改善させる問題もある。現在、航空産業には中央で団体交渉を行う仕組みがない。南アフリカ航空の業務が細分化され(現在、そのほとんどが民営化されている)、多くの業者が新規参入してきたため、団体交渉の仕組みも細分化されてしまったのだ。
労働組合の仕事は増え、労働者の団結も分断された。中央交渉の実現は、来年のSATAWUの主な要求事項となるだろう。そして最後に、今回のストは民営化で労働者がどのような影響を受けるかについて、多くの教訓を示している。
エクイティ航空は、「トランスネット」が政府の指示で「エプロンサービス」の株式51%を、英国の多国籍企業「セルコ」と「エクイティ・アライアンス」(BEE企業6社が設立したコンソーシアム)の合弁会社に売却した際、誕生した。
トランスネットは引き続きエクイティ航空の株式49%を保有しているが、エプロンサービスの業務は2003年4月に、エクイティ航空の年次労使交渉の時期に合わせて、エクイティ航空に移管された。トランスネットとエクイティ航空の業務移管契約には「組合との合意がある場合を除いて、少なくとも18カ月間は賃金と労働条件が下がることはない」と明記されている。この規定は労働関係法197条にも合致している。 |
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新賃金提案
この契約のインクも乾かないうちに、エクイティ航空の経営陣は労働条件の大幅改悪をSATAWUに提案してきた。その提案とは、0.5%の賃上げと最大3%までの能力手当を組み合わせるというものだ。その他にもさまざまな労働条件の改悪が提示された。(詳しくは囲み記事へ)
2003年12月、STAWUはついにストを決行した。ストはクリスマスや新年を超えても続けられたが、経営側は動かなかった。そればかりか、ストに参加した社員の中から、「長年の組合員ではない」という理由で150人を選出・解雇するという、前例のない違法行為に出た。
この150人の解雇が新たな争点となり、SATAWUはこれ以上の解雇者を出さないために、裁判所に差止め請求を行ったところ、裁判の前日、会社側はストを理由にこれ以上社員を解雇しないことを約束した。(これが結果的に裁判所の差止め命令となった) |
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ジェーン・バレットはSATAWU(ヨハネスブルク)の政策調査部長 |
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会社側の改悪案 |
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週40時間労働が45時間労働へ |
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月192時間以内のシフト勤務は月給ではなく、日給月給方式で |
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6.75%のシフト割増の廃止 |
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残業代は日計算から月計算へ(実質減額) |
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週末連続休暇の禁止(土日連続して休める人はいなくなる) |
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病気休暇は3年間で60日が37日へ |
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「長年の組合員でない」スト参加社員の指名解雇 |
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組合の5つの主な要求 |
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週労働時間の増加や労働条件の改悪は撤回せよ |
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組合との交渉担当者を決め、組合が要求した場合には交渉に応じ、誠実な態度で交渉せよ |
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ストに参加した社員を一部だけ指名解雇するのは止めよ |
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未払い賃金を払え |
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労働者のスト権を尊重せよ |
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