ITFとは
ITFは、交通運輸労組の世界的組織である国際運輸労連(International Transport Workers' Federation)の略称です。世界147カ国の670組合の連盟であるITFは、組合員1,970万人を代表しています。
ITFは、スト破りに対抗するための国際組織の必要性を認識した欧州の船員組合と港湾労働者組合の指導者によって、1896年にロンドンで結成されました。現在ITFは、海運・港湾・鉄道・路面・貨物旅客輸送・内陸水運・水産・観光・民間航空で働く労働者を組織しています。
ITFは、世界レベルで交通運輸労働者を代表し、グローバル・キャンペーンと連帯を通じて交通運輸労働者の利益を促進します。また、独立した民主的な労働組合運動の発展と基本的な人権・労働組合権の擁護にも寄与しています。あらゆる形の全体主義、暴力、差別にも反対しています。
ITFは、国際労働組合総連合(ITUC)と共に活動する国際産別組織(GUF)のひとつです。 |
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ITFの主な活動は?
ITFの役割は、その加盟組合を支援し、グローバル経済の中で交通運輸労働者の利益を守る方法を見出すことです。 |
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組合間の調整
ITFは、情報を共有し共通戦略を築くために、組合を結集します。組合は、国際会議の場で、それぞれの産業や多国籍使用者について協議します。特別な国際作業グループも作られ、労働安全衛生など、特定の技術的問題を扱っています。 |
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連帯の動員
ITFは、加盟組合の相互の連帯行動を支援します。ある国の交通運輸労働組合が、使用者あるいは政府と対立し、他国の組合からの直接的支援を必要とする際、ITFは、国際支援を提供できます。最近の争議においては、国際的な行動と圧力が、組合の目的の達成を大きく後押ししています。また時には、決定的要素となっています。 |
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キャンペーン
交通運輸労働者特有の問題に焦点をあてるために、ITFは国際キャンペーンを行います。鉄道労働者は「安全」、民間航空労働者は「エア・レイジ(迷惑行為)反対」、路面運輸労働者は「長時間労働反対」を掲げて国際行動を組織し、港湾労働者は港での組合弱体化攻撃と闘っています。ITFの最も古く最も有名なキャンペーンは、便宜置籍船(FOC)反対キャンペーンです。 |
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情報
ITFは、それぞれの地域活動や国内活動に影響を及ぼす国際的な動きについて、加盟組合に情報を提供します。報道関係者など外部に対しても、労働者に影響を及ぼす交通運輸産業の実情を詳細に知らせています。 |
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利益代表
ITFは、雇用・労働条件・安全性などについて決定を下す国際労働機関(ILO)、国際海事機関(IMO)、国際民間航空機関(ICAO)などの国際機関において交通運輸労働者の利益を代表しています。また交通運輸労働者にかかわる問題を経済協力開発機構(OECD)、国際通貨基金(IMF)、世界銀行、世界貿易機関(WTO)でも提起しています。 |
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グローバル経済の中での交通運輸労働者
世界経済のグローバル化は、国際的な交通運輸の技術と組織の大幅な変化によって、可能となりました。このグローバル化は、衛星通信、低価格な海上輸送、安価な航空移動費、コンテナ化に大きく依存しています。また、地域世界的な運輸ハブに適合する新しい高速路面・鉄道ネットワークや、世界的な港湾オペレーター、多国籍企業、国際的な航空会社アライアンス(提携)へも結びついています。
世界経済のグローバル化は、かつてない量のモノとヒトを、かつてない低価格で移動することを要求します。しかし、この「経済近代化」というコスト削減への継続的な圧力は、海上では便宜置籍制度による劣悪な安全基準と不当な労働基準につながり、陸上では何千ものトラック運転手に非人道的で危険な長時間労働を強いています。グローバル化により、全ての交通運輸労働者の労働密度は高まり、労働条件は悪化してきています。 |
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ITFに加盟できるのは
交通運輸産業の労働者を組織する労働組合は、ITFに加盟を申請できます。加盟が承認される前に、一定の基準を満たし、手続きを経なければなりません。加盟についての詳細はITFまでお問い合わせください。
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ITFの活動費は?
ITFの全体的な活動は、加盟組合の納入する加盟費で賄われています。加盟費の額は、その組合の組合員数によって決まります。財源の乏しい組合には、減額措置が適用される場合もあります。
ITFは、この資金を活用して活動し、加盟組合を支援します。海事活動については、FOCキャンペーンを支援し世界の船員に福祉を提供するための、別個の特別会計を設けています。 |
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ITFを運営しているのは?
ITFは加盟組合によって運営されています。 主たる方針決定機関は、5年毎に開かれる大会です。加盟組合は、投票権を持つ代議員を大会に送ることができます。代議員は、
* 会長1人と副会長(副会長のうち少なくとも1人は女性、残りはそれぞれ異なる地域の選挙グループから選出)
* 常勤スタッフを置くITF書記局の責任者である書記長
* 加盟組合の代表で構成される執行委員会(年2回開かれ、大会と次の大会までの期間のITF活動全般の責任を持つ)を選出します。
現在、日本の執行委員は2名です。
副会長 住野 敏彦(交運労協(私鉄総連))
運営委員兼執行委員 森田 保己 (海員組合) |
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