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グローバルユニオン

船員の基本的権利

世界経済における海運の重要性は強調してもしすぎることはありません。世界の貨物量の9割を海上輸送が担い、世界の船舶数は、貿易の拡大に合わせて着実に増加しています。しかし、国際海運委員会(ICONS)は、2001年の海運報告の中で、「今日国際的に就労する幾千もの船員は近代の奴隷のような生活を強いられ、職場である船はまるで奴隷船そのものだ」と指摘しています。船員を気ままに選び出しては、働かせ、独断的に決めた給料を支払い、必要でなくなればすぐに解雇し、場合によっては船員が受給する権利を有する諸給付すらごまかして巻き上げようと考えている使用者が余りにも多いのです。
船員は必要に応じて大量生産出来る商品ではありません。十分な訓練を受けねばならず、そのための訓練費用は誰かが負担しなければなりません。この点では、便宜置籍船(FOC船)はきわめて悪質です。FOC船は、多数の外国人船員を雇い入れ、訓練のための費用負担を行なうことなく資格証明書のための費用を受け取っています。大抵の船主は、従順で、低賃金で仕事に応じ、願わくば組合に加盟していない船員を雇おうとします。また、多くの船員が、組合やITFに連絡を取れば、解雇され、二度と船で働けないようにされると脅されています。いわゆる「ブラックリスト」に載せるという脅しです。
持続可能かつ良質の海運業を築こうと考える人々の間では、船員を適切な方法で採用し、きちんと訓練し、適切な給与と労働条件を提供し、合理的な労働時間を定め、海上および港のレクリエーション施設を含む良質の福利厚生を用意し、長く働き続けられるように男女ともに昇進の機会を与えるべきだという考え方でまとまっています。
ITFの船員部会は、船員が労働組合に加入し、活動に参加する権利を含め、IMOや国連海洋法条約(UNCLOS)、ILOが定めた安全・雇用・船上の状態に関する基準を船主が遵守・実行するように働きかけるキャンペーンを行なっています。例えば、UNCLOSは、船主と旗国の間の「真正な関係」の必要性を明記しています。さらに、海運に関する社会、安全、環境に関わる問題に規制を設けることの必要性にも言及しています。
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便宜置籍船

便宜置籍船(FOC船)とは、船主の国籍とは異なる国の旗を掲げて運航する船を指す言葉です。国際貨物輸送市場で競争に参加する船主は、老朽化し、錆ついた船をきちんとした安全装置も取り付けずに運航し、船員の賃金を低く抑え、時には全く賃金を支払わないことさえあります。船が故障したり、港湾局により入港を「指し止めされたり」した場合は、船員を船ともども遺棄してしまうこともあります。
UNCLOSなどの国際法のもとに要求されている厳密な社会保安および環境保護基準を遵守することは、船主には高くつきます。そうした基準を無視することが便宜置籍船の大きな利点となっています。旗国との間に真正な関係が欠落しているため、旗国は、船主国が船員や環境に対して責任ある行動をとることなどには関心をもたず、またそれを強制するだけの力もないことを、便宜置籍船の船主は承知しています。
リベリアのような国の法のもとで働いている便宜置籍船の船員にとって、その意味するところは非常に深刻です。例えば、船が沈没して船員が死亡あるいは負傷しても、船主が覆い隠されているため、船員もその家族も補償を求めることが出来ないのです。司法制度が正しく機能しておらず、いずれにしても船員の人権や労働組合権よりも船主の商業的利益を重視するような国の法律からは、何も得ることはできないでしょう。ITFは、このような不条理なFOC制度から、船員とその家族が少しでも正義ある結果を得られるように常に支援しています。
ITFは、便宜置籍国リストを作成し、便宜地籍国の旗を掲げる船の査察を行うなど、便宜置籍システム廃止のためのキャンペーンを展開しています。
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政治キャンペーン

便宜置籍船は金儲けのために存在し、主に二つの形態で運航されています。その国自体が船籍証明を受け、便宜置籍国として機能する形態と、ある国から船籍をフランチャイズされた商業組織がその国に代わって船籍の管理を行なう形態です。いずれにしても、船員の権利を保護することを目的としたシステムではありません。便宜置籍船廃止キャンペーンの政治面での活動として、ITFは、関係する政府間組織の枠組みの中で活動しています。
ITFは、便宜置籍船で働く船員を含む全ての船員のためにキャンペーンを行っています。船員を保護するための法律は多数存在しますが、船主と船籍国の真正な関係が欠けているために、法律の施行を義務づける機構がしばしば欠落しています。
2002年5月、船員の労働条件および生活条件に関する海事関係の専門家によるILO会議では、「海運産業における適正労働欠如の問題には、早急かつ効果的に取り組む必要がある」と結論でづけています。船員が問題や苦情を訴えやすく、また苦情に公正に対処してもらえるような機構を作り上げることを含め、船員の権利に関するILOの統一基準を作成するために、ILOの枠組み内で活動しています。ITFは、この基準の2005年実施をめざして努力しています。
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海の安全

これまでテロ組織の所有する資産の追跡調査に多大な努力が払われてきました。テロ組織がどこからもチェックされることなく、FOCシステムのもとに船舶を所有・運航することが可能であることが実証されています。
企業の調査員たちも、今日の船舶所有の枠組みのもとでは、船の所有者が自らの名を明かしたくないと考えれば、追跡調査は実際不可能だと認めています。
一方で、一部の国では、保安に対する意識の高まりから、船員が上陸休暇を取ることができなくなるという問題が発生しています。つまり、これらの国に到着しても船員は上陸休暇を取ってショッピングを楽しんだり、電話をかけたり、厚生センターなどの施設を訪れることができなくなってしまったのです。なお、船員の適正な身分証明に対する懸念もこの問題と関わっています。
船員部会について (About the Section) ITFは、1896年以来船員への支援を続けてきました。現在では世界中に120万人にいる船員の利益を代表しており、そのうち60万人がITFの加盟組合に加入しています。
ITF船員部会は、あらゆる国籍の船員の労働条件を改善するために、そして、労働者の利益と権利を保護するため、海運業に適正な規制を設けるために活動しています。ITFは、船員の国籍や乗船している船の船籍に関わらずあらゆる船員を援助しています。
ITF船員部会は、ILO、IMO、OECD、その他の国際機関に関わる活動では、加盟組合を国際的に代表し、国際協調を推進するために活動しています。船員部会は必要であればいつでも加盟組合に連帯と支援を提供します。また、個々の船員の支援、世界中に100人以上いるITFインスペクターのネットワークの維持、FOC船での団体協約締結、情報の提供と普及などに努めています。
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グローバル産業

今日、重要な問題となっているグローバル化は、海運業界では数十年前から既に存在していた問題です。世界貿易の大部分を担う海運業界がグローバル経済に果たす役割は大きくなってきています。しかし、激化する競争の中、国際的に合意された船員の最低労働基準を守らせる機構がないこともあり、世界の海運産業は、船員の生命や環境の犠牲の上に繁栄してきたと言っても過言ではありません。
抑制なき不当競争により、貨物の運賃は押し下げられました。しかし、こうしたコスト削減は、規律なき一発主義の企業の到来により相殺され、その結果、船員の賃金と労働条件はさらに押し下げられることになりました。そして搾取、不正、危険性が広くはびこる産業基盤を作り上げてしまったのです。
グローバル化が責任を伴わない競争を意味するようなことがあってはなりません。価格を下げるために雇用や製品を世界の他地域に移していくのであれば、基本的な権利を保護するための規制がなくてはなりません。あまりにも長い間、船上の問題が放置されてきたのは、それが一般の人々から見えない、気付きにくいところで起きてきたからです。
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船員のための活動

ITFは、アフリカ、アメリカ大陸、アジア太平洋および欧州各地で活動し、船員や船員組合を様々な方法で支援しています。例えば下記の活動例が挙げられます。
○ 加盟組合の利益を代表します。
○ 国連(UN)、国際海事機関(IMO)、国際労働機関(ILO)、経済協力開発機構(OECD)の場で、船員の利益を代表し、特に、基準以下船(サブサタンダード船)の排除、便宜置籍国の責任追求、海の安全性の追求、海賊行為の撲滅、 船員資格証書の偽造、疲労、事故、船員の労働条件と生活基準、出産・育児に関わる男女の権利などの問題に取り組んでいます。
○ 船は、船員にとって職場であると同時に生活の場であることを再認識し、国際的に合意された船員に関する最低基準を維持・改善していくためのキャンペーンを行ないます。
○ 海事安全委員会を通して船員の安全のために活動します。
○ カボタージュ特別委員会を通じてカボタージュを維持・強化するための様々な方法を模索し、内航船員の雇用機会を増やし、運輸システムの統合性を保つよう努めます。
○ 部員特別委員会を通じて伝統的海運国における部員の失業問題に取り組みます。
○ 船員組合開発プログラム(ISUDP)を通じて組合員へのサービス改善にむけ、加盟組合を支援します。
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