国際運輸労連-ITF
メニュー シーフェアラーズ ブルテン バックナンバー
HOME
ITFについて
ITF−所在地
リンク
ITFニュースオンライン
>> 最新号はこちら
その他ITF情報
>> 最新号はこちら
 
国際運輸労連(ITF)機関誌
トランスポート
インターナショナル >>
最新号はこちら
シーフェアラーズ
ブルテン >>
最新号はこちら
 
ITFニュースオンラインバックナンバー
ITFニュースオンラインバックナンバー
東京事務所
〒108-0023
東京都港区芝浦3-2-22
田町交通ビル3階
地図はこちら
TEL:03-3798-2770
FAX:03-3769-4471
mail:mail@itftokyo.org
>> 詳しくはこちら

グローバルユニオン

No.17/2003
■船員の人権
 
ITF、船の保安に関わる新たな国際規定づくりのための計画が船員の基本的権利を侵害しないことを確認
保安は大いに結構だが、そのために船員の自由を犠牲にすべきではない
「各船舶および各港湾は、それぞれ保安計画を策定し、保安担当職員を指名する。各船舶は、船舶―港湾間の保安警報装置を装備するとともに、正確な履歴記録を船内に保管しなければならない」
ITFが積極的に係ったため、一時上陸を含む、船員の基本的人権にかかわる事項が新たな国際海事保安規則に盛り込まれることになった。
船員を保護するために必要な、一時上陸および作業総量などに関する一連の規定の概要を述べた文書がITFから提出された後、100カ国を超える諸国政府の代表団は、2002年12月、新たな方策を承認した。これらの規定は、海運産業に関する主要な国際規則のひとつである「海上人命安全条約(SOLAS)」の一部として採り入れられる。
2001年9月の米国でのテロリストによる破壊活動ののちに提案された保安規則は、船員に対する何回もの安全検査を強制し、移動の自由を制限するなど、船員の人権を大幅に制限する可能性を持つものであった。
米国の数ヶ所の港湾で、船員達は移動を制限され、武装警備員が舷門に配置されたとの報告もあった。
しかし、ITFの断固とした圧力によって、世界の船舶に勤務する船員の人権と安全保障の必要性のあいだの微妙なバランスを確保することができた。ITFのジョン・ホイットロウ船員部長は、今回の国際海事機関(IMO)の決定を一応は歓迎しているが、これらの規則の実施は各国内の法制を通じて行なわれるため、きちんと監視を続けなければならないと警告している。
「私達は当初から、海上の安全保障を改善する必要があると言ってきました。世界各国も安全の低下を受け入れることはあり得ません。しかし、海上の安全のために潔白な船員を犠牲にすることはできません。私達の懸念について思慮深くかつ現実的な態度をもって、交渉に取り組んでもらえたと報告できることを、私はうれしく思います。一時上陸に加えて、作業総量の増加に関する問題もありますが、これについては今後も慎重に交渉が続けられます」
新たな制度の核心となるのは、国際船舶港湾施設保安コード(ISPS)である。ISPSは、船舶および港湾施設に危機管理技術を適用するよう各国政府に指示している。
各船舶および各港湾は、それぞれ保安計画を策定し、保安担当職員を指名する。各船舶は、船舶―港湾間の保安警報装置を装備するとともに、正確な履歴記録を船内に保管しなければならない。
けれどもISPSコードには、海上労働者の権利と自由は保護されねばならないとの以下のような明確な指示も含まれている。
「締結国政府は、船舶および港湾施設の保安計画の承認に際し、船内で勤務し、生活する船員は、一時上陸および医療機関を含む陸上の厚生施設への行き来を必要としているとの事実に十分留意すべきである」
これに加えて、港湾保安計画は、船員の福祉および労働組織代表を含む人員の訪船を認めることが特別の要件となっている。この規定に基づいて、ITFインスペクターの訪船は保障されるべきである。
ジョン・ホイットロウは次のように述べている。「一時上陸の確保に関して船員が経験している困難は、SOLAS条約のこれらの規定によっては解決できないが、各国がこの問題について一層踏み込んだ政治的配慮を行なうならば、満足すべき成果が得られるのではないかと希望している」
ISPSコードのその他の規定にも、ITFの懸念が反映されている。上陸した船員が船に帰ってきた際に、同僚の船員が所持品(身体)検査を行なうよう求められるべきではないというのが、労働組合が特に主張した点であった。この点も、明確に認知されている。全ての検査に際して、船員の権利とりわけ「人間としての基本的尊厳」を損なうことのないよう留意することが求められている。
船内の「保安担当職員」には、恐らく航海士の一人が指名されると予想されるが、通常の職責のほかに「保安担当職員」としての任務も担うことが求められる。乗組定員がすでに最低限である実情を考慮すれば、安全乗組定員への影響を評価することなく、このような追加任務をさらに上乗せすることについて、ITFは懸念せざるを得ない。
しかし、ISPSコードのパートBは、これらの規則の実施に関する指標を提示しているが、最低安全乗組定員を考慮する必要があると定めている。また、規定された休息時間および疲労を考慮にいれたその他の措置を遵守して船舶は運航されるべきであるとの但し書きも盛り込まれている。
SOLAS条約に含まれた全ての措置は、2004年7月に発効することとなっている。これによって、全ての船舶は、一定の検査、証明、保証の対象となるほか、保安措置が実施可能であることを確認するための監督も受けなければならない。各船舶は、ポートステート・コントロール(PSC)による通常の検査の際に、安全保障証明書を提示しなければならない。
新たな船員の身分証明書に関する問題は、国際海事機関(IMO)と国際労働機関(ILO)の合同作業委員会で検討される予定である。船員の人権を確実に保護するため、ITFはこの合同作業委員会に向けて準備を進めている。
テロリストとその財政支援者たちが、法律の制約を受けないFOC制度を利用して活動の財政をまかない、疑惑を持たれることなく、巨額の資金を世界規模で移動させていることに対する懸念も、この新たな取り組みの原動力となっている。
また、船舶またはその積荷が武器として使用されるだけでなく、テロ攻撃に使用される物資の輸送に使用されるのではないかとの恐れもある。昨年のテロ事件以来、米国の港湾に入港する船舶の乗組員は、すでに上陸する権利について制限を受けている。武装した警備員による舷門の監視は、米国の港湾では一般的である。
バンクーバーでのITF大会は、諸国政府が安全を改善する必要を認めた。それは、船員自身がテロ攻撃の主要な犠牲者となり得るためである。しかし、新たな制度が導入されるとすれば、それは人権を保護するものでなければならず、海上に労働する能力を損なうものであってはならない。
入港中の船員に関する制度の変更は、上陸休暇の取り消しとなって現れている。米国の港湾に入港する船舶の多数の乗組員は、船内に拘禁されているのと同じ結果になっている。ITFと船員ミッションは共同で、このような船員の扱いに抗議している。
ITFのジョン・ホイットロウ船員部長は言う。「ビザ手数料の引き上げや手続きの変更などが検討されているが、米国で策定中の新たな法律や提案されているその他の措置の導入を考慮すると、船員の困難は増大すると思われる」
新たな船員の身分証明書に関する論議が、国際労働機関(ILO)で進められている。この身分証明書に、生物測定学的データなどの最新技術が採用される可能性がある。
これらの書類に、どのようなレベルの詳細なデータを記載するかに関して、すでに懸念の声が出ている。
米国からの圧力に加えて、テロリスト活動の脅威についての国際的懸念のために、通常は極めて時間のかかる国際法規の世界でも、海上の安全保障に関する規則は「高速道路」に乗って通過させられようとしている。
ITF船員部会のデビッド・ハインデル副議長は、2002年7月、米国議会に証拠を提供した。彼は次の点について説明した。船員は、疑念をもって処遇されているが、FOC制度は、何らのチェックをうけることなく維持されている。また、船舶の財政上の所有者に対する監督の不在のために、ハイジャックされた船舶の登録、船員資格証明書の偽造、違法漁業、密輸、国際テロ活動などに、FOC船舶が関連することを容認することとなっていると、彼は述べている。
▲ ページトップへ
 
 
INDEX
コメント
ITF書記長
デビット・コックロフト
最新ニュース
船員の利益を守るための活動の総括報告
世界海運の概況
業界の現状と統計
ITF便宜置籍船反対
キャンペーン

2002年の活動ハイライト
船員の人権
船舶保安措置に関する新国際規定の影響
屈辱、空腹、詐欺被害
放棄された船員の運命
にせ船員免状は
増加している?

最近の調査は、
偽造船員免状問題の
深刻化を予想
上陸休暇?
これが如何に困難な問題となり得るかを学生たちが体験する
福祉プロジェクトへの
援助

ITF船員トラストの役割
世界各国の商船隊への船員供給
女性船員および
部員訓練の欠陥
華麗な装いの裏側
クルーズ船の裏方の生活
読者からの手紙
違法行為
水産業は規則の改善を
必要としている
市場原理の下での生活に
ロシア船員は
どう対応しているか?
栄養のバランス
船員の健康のためのヒント
 
mail@itftokyo.org Copyright (C) 2004 International Transport Workers' Federation TOKYO All Rights Reserved.