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2005年10〜12月 第21号 |
■今こそ立ち上がろう! |
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今こそ立ち上がろう!
ナイジェリアで新たな航空会社が立ち上がった今、破綻したナイジェリア航空の従業員は最終的に未払い手当を受け取ることができるのだろうか?ハリマ・イブラヒムが報告する。
ナイジェリア航空の破綻から1年1ヶ月後の6月末より、ヴァージン・ナイジェリアが営業を開始した。依然として、ナイジェリア航空の元従業員は2年前から未払いになっている年金や給与を受け取っていない。
当該の航空労組は、ボイコットをすると脅しをかけ、ITFや6カ国の大使館に支援を求めて奔走した。組合のこうした努力の結果、ナイジェリア政府の高官がこの未払い金問題に取り組むと約束した。しかし、今現在、状況は全く改善されていない。それどころか、労組の指導者は、保安上の脅威を生み出している「首謀者」としてナイジェリア公安サービスから呼び出され、尋問を受けた。
ITFのデビッド・コックロフト書記長は、5月12日にヴァージン・ナイジェリアのリチャード・ブランソン会長に宛てた書簡の中で、「ヴァージン・ナイジェリアは、全く新しい企業として営業を開始するわけではない。破綻したナイジェリア航空の主な資産と路線ネットワークを引き継いでいる。したがって、ヴァージン・ナイジェリアはナイジェリア航空の受け皿企業であり、この未払い金問題に、法的責任を取ることが無理なのであれば、少なくとも道義的に満足のいく解決をもたらす義務を負っている」と書いている。 |
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無視された労働者
当該のITF加盟組合、ナイジェリア航空輸送サービス上級職員協会(ATSSAN)、航空従業員全国組合(NUATE)、パイロット整備士全国協会(NAAPE)は、ヴァージン・ナイジェリアの営業開始に必要な手続きに注力するばかりで、未払い金問題の解決に努力をしないナイジェリア政府を厳しく非難した。
労働者は、2004年5月のナイジェリア航空の清算時から未払いとなっている給与、年金、諸手当、解雇手当などの支払いを要求している。
2005年1月、ナイジェリア政府が遂に、要求の一部を聞き入れ、賃金17ヶ月分と年金26ヶ月分を支払ったが、その他の要求については、何の対応もなされなかった。
2005年5月、労働者は一般市民に訴えるための集会やデモ行進を行った。また、マスコミに対しても、「ナイジェリア航空の清算手続きが完了するまでは、ナショナル・フラッグとしてであれ、何であれ、ナイジェリア航空の資産や路線を利用して、営業を再開すべきではない」と訴えた。
政府の指名した清算人は、労働者が職場を出て行き次第、支払いをすると主張しているが、組合側は、労働者が職場から出て行けば、法的には自殺も同然で、労働者が受け取る権利のある諸手当の支払いを行うことなく、労働者を厄介払いする手段を清算人に与えることになると考えている。
ヴァージン・ナイジェリアの就航直前に、ナイジェリアの航空大臣は、「労働者への解雇手当は全て支払い済みであり、新しい航空会社の就航の準備は整った」と述べているが、これは真実ではない。 |
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所有の問題
ナイジェリア政府は、ヴァージン・ナイジェリアは100パーセント民間企業であり、政府は何の利害関係も持たないと公言しているが、一方で、航空大臣は、ラゴスのムルタラ・モハメッド国際空港の出入国ラウンジを改装して、ヴァージン・ナイジェリアの色とロゴに一新したことを認めている。
この改装は公的資金で行われており、現地の航空会社や空港の従業員、一般市民から激しい抗議が寄せられた。ナイジェリアの航空大臣は、今では「ヴァージン大臣」と揶揄されている。
昨年、ITFは航空大臣に書簡を送り、ナイジェリア航空は公共サービス会社であり、そこで働く労働者は公務員であると主張した。ナイジェリアの憲法と労働法では、公務員は給与と年金を受け取る権利がある。この主張に対して、おそらく航空大臣は、労働者の代表者とナイジェリア議会上院の航空委員会に、ナイジェリア航空を連邦政府が所有していた事実は存在せず、それゆえに、給与や年金を支払う義務を政府は負わないと伝えたと予測される。しかし、それならば、ナイジェリア航空の所有者は誰だったのか、大臣は説明する必要がある。
一方、労組のやり方は手ぬるいと考える労働者が、ナイジェリア航空労働者の権利の実現運動(MARNAW)と呼ばれる戦闘的な分派を形成した。
ナイジェリア連邦空港局(FAAN)が大幅な縮小計画をまとめ上げたため、航空局の労働者もMARNAWや国内の民間航空会社と一緒になって、航空大臣の辞任を求めている。一部の国の大使館や政治家、関係のある市民は、オルシェグン・オバサンジョ大統領にこの問題に介入するよう求めている。 |
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ハリマ・イブラヒムは、ラゴスの航空輸送サービス上級職員協会(ATSSSAN)の執行委員。 |
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闘いは続く
ゴッドブレス・オゼグベ(元ナイジェリア航空・整備部従業員)の報告
2004年5月31日、当時のケマ・チクウェ航空大臣がナイジェリア航空の悲惨な状況を報告した後、政府がナイジェリア航空の破産宣言をした。この破産宣言は、私にとっては非常に大きなショックだった。第1次の企業改革に大成功したナイジェリア航空の経営陣が、第2次改革を開始しようとした矢先の出来事だったからだ。
既に飽和状態に達している労働市場に自分が飛び込んでいかなくてはならない事実を知り、大きな落胆を覚えた。同時に、ナイジェリア航空の破綻によって、パイロットとしてキャリアを積んでいこうとしていた私の展望と希望は無残にも打ち砕かれてしまったと感じた。
しかし、私の身分は公務員であり、国の年金法と憲法によって、支払いが滞っていた賃金や他の手当についてもすぐに支払われるものと思っていた。しかし、そうは行かなかった。
今日までに私が受け取ったのは、未払いになっていた賃金だけだ。その他の手当や支払いは一切受け取っていない。諸手当の支払いが滞っているのは、航空大臣が述べたように、政府が我々を公務員と見なさないと主張しているからだ。しかし、これは、憲法の中の労働法の規定に完全に違反している。労働法は、政府の完全子会社や政府が経営支配権を有している企業は、公的機関であり、その従業員は公務手当と年金を受け取る権利があると明記している。
非常に力強く、熱意に溢れ、強固な意志をもった組合がこの闘いの前線で頑張ってくれていることに感謝している。彼らの努力があったからこそ、私は未払い賃金を受け取ることができた。労組が継続的に努力をしてくれており、私を含めてたくさんの仲間がこの闘いに加わる中、希望の光が見えてきた。しかし、闘いはまだ続いていく。全て終わるまで、闘いは終わらない。 |
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