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2005年10〜12月 第21号 |
■コメント |
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欧州の前進をめざして
ITFの欧州地域組織、欧州運輸労連(ETF)の新書記長、エドアルド・チャガスが、4年の間の活動本針を語る。
労働組合の役割は、本質的に「対抗勢力」として存在することである。つまり、弱者を守り、受け入れがたい生活水準・労働条件を是正し、差別や排斥と闘うことである。北欧交運労連(NTWF)とフィンランド加盟組織の受け入れで、5月末にオーランド(フィンランド)で開催された第2回ETF大会では、労働組合のこの重要な役割における進化がテーマとなった。
この大会には、34カ国、131組織の代議員およびアドバイザー450人以上が参加し、過去4年間のETFの成果を振り返るとともに、今後4年間の活動の指針と優先課題を決定した。
今日、欧州および世界における、逃れられない傾向として、新自由主義や市場ルールがはびこり、社会・環境問題を悪化させている。こういった状況の中で、われわれ交通運輸労組はロジスティクス部門の急成長、一部の輸送モードの公共的側面に対する攻撃、労働者の組織化に対する障壁、民営化、自由化、ソーシャルダンピングなど、数多くの問題に直面している。 |
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女性の参加
大会では、重要な問題の1つとして、近い将来、われわれの産業では女性労働者の数が大幅に増えることが予想されるにもかかわらず、女性交運労働者が見えにくいことが取り上げられた。ETFのウィルヘルム・ハベルツ会長は、大会に先立って開催されたETF女性総会における開会の挨拶で、加盟組織が女性をもっと組織化し、女性の利益を反映させるよう、訴えた。
欧州の女性は、仕事をもち、労働市場に参加することを奨励されているが、家事や家族の面倒の大半を担っているのは依然として女性であり、その結果、将来性や労働条件を犠牲にしてまで、フレキシブル(柔軟)な働き方を選択せざるを得ない状況に置かれている。
業界の雇用形態が変化している一方で、男女の分離、性差別的慣行が根強く存在していることは間違いない。ETF女性総会の議論の結果はETF男女平等行動計画の中核となり、ETFの活動の指針と勧告の基礎となる。 |
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連帯の輸出
第2回大会では、欧州におけるETFの存在感を強める決議や、道路輸送カボタージュに関する決議、労働組合の組織人員数を増やす決議などが採択された。ITFのデビッド・コックロフト書記長は、欧州で発生した労働問題が世界の他の地域に派生することが多い点に触れ、われわれ欧州の組合を強化することの責任の重さを大会代議員に再確認させ、「新自由主義経済と同じように、労働組合の強固な連帯も輸出させることができるのだ」と述べた。
EU運輸閣僚理事会の議長を務める、ルクセンブルクのルシエン・ラックス運輸大臣にも参加いただいた。ラックス大臣は2005年前半にルクセンブルクがEUの議長職を務めたときの戦略:「競争、社会的結合、持続可能な環境管理」に触れ、「欧州の歴史を振り返れば、欧州が社会的支柱の上に築かれてきたこと、これからもその柱が崩れることはないことがはっきりと分かる」と述べた。
われわれはこのような考え方がより多くの政府に受け入れられることを望んでいる。大会に参加した代議員はあらゆる手段をつくして組合員を守り、労働条件・生活水準を向上させることを誓った。このことは、経済、社会、環境のバランスがうまく保たれて初めて可能になると確信している。
ITFはこれを可能とするために、ロビー活動、社会対話の促進、組合員に対する情報提供・教育などを通じて、さまざまなレベルで活動を続けていく。また、欧州や世界の国際労働団体、NGO、市民団体とも必要に応じて協力を続けていく。 |
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エドアルド・チャガスは2005年5月25〜26日にオーランド(フィンランド)で開催された第2回ETF大会で書記長に選出された。 |
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