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2004年7月 第16号 |
■今月のニュース |
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労働組合権
イラクの新労働法、労働者の参画がカギ
ビラール・マルカウィ
2月に国際労働団体の代表団が、事実調査団としてイラク入りした。代表団は、バグダッド、アルビル(クルド人自治区)、南部のバスラなどで、労働者や労組の役員らと話し合った。また、イラクの労働社会大臣、連合国暫定当局(CPA)の役人、イラク産業連合の使用者などとも会合した。代表団はさらに、教育産業、食料品製造業、ホテル業、石油産業、港湾産業、鉄道産業に従事する労働者とも話し合いの場を持った。
また、亡命先から戻った者、刑務所から釈放された者、地下活動から復活した者、新しい組合を組織したばかりの者など、様々なイラクの組合指導者とも会談した。クルド人自治区では、組合が市民社会の一部として地位を確立しており、これが他地域でも発展させられる重要な基盤であることが確認された。また、女性がイラクの労働運動において積極的な役割を果たすことの必要性にも焦点をあてた議論が行われた。
しかし、イラクの労働運動は様々な難題に直面している。経済制裁や現在も続いている戦争によって経済は疲弊し、インフラや原材料の欠如もあって、大部分の労働者が失業中である。労組の活動により、一部の部門では労働者の賃金は改善されたが、依然として大部分の労働者にとって現実は厳しい。
前政権から受け継いだ労働法は、現在も止まることのない紛争と相俟って、労働組合にとっての障害になっている。
会議の中で、代表団は、将来にわたり、社会的対話を行っていくためには、政労使の三者が新しい労働法の草案作成に参加することが不可欠である点を強調した。また、ILOが労働法の草案作成に加え、適宜関わっていくことの重要性にも焦点があてられた。そうすることで、イラクの法制とその遵守がILOの中核的労働基準を含む国際基準に確実に従うものになる。
現在、草案を作成中のイラク暫定行政法には、結社の自由、言論の自由、争議権が含まれている。国際労働運動は、さらに、イラクの労働者を産業分野、地域、国のそれぞれのレベルで支援していくつもりだ。
代表団は、ICFTU、UGTTチュニジア-アラブ労組国際連盟、EI、ITF、TUC(英国)、AFL-CIO-ACILS(米国)の代表者で構成された。 |
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ビラール・マルカウィ(写真後列左から3人目)は、ITF書記長からアラビア語圏代表に任じられている。 |
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