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2004年7月 第16号
■勤労生活
 
カンドラ港の日雇い労働者の生活

カンドラ港で働く1,500人の女性日雇い労働者にとって、日雇いの仕事は貴重な収入源。住居も確保できるため、彼女たちの多くが組合を敬遠し、搾取的な労働条件に疑問を抱こうとはしない

DVマヘシュワリ著

インド主要11港のうち、西岸にある、中央政府管轄のカンドラ港は、あらゆる種類のドライカーゴ(乾貨)を女性が男性に混じって荷役するという、例外的な存在だ。
カンドラ港を訪れれば、昼夜を問わず、伝統的な衣類を身に付けた女性労働者が男性に混じりながらドライカーゴの多目的バースで汗を流しているのを目にすることができる。
男性中心的な港湾の仕事にどうやって女性が入ってきたのかは、正確には知られていない。カンドラ港で40年間働いている、80代のタバルバイ・デーダは、港湾建設時の建設作業が発端ではないかと指摘する。
パキスタンがインドから独立した後、ハリジャンたち(カースト制度の最下層の虐げられた人々)がパキスタンからインドに移住してきた。ハリジャンの女性たちは大きな石を頭に載せて運ぶなどの建設労働に従事していたが、港が完成してからは、港湾労働者として働くようになったらしい。「石やバルクカーゴ(ばら積み貨物)をカゴに入れて運ぶ仕事を女性たちに手配したことがあるよ」とタバルバイは回想する。
その後、地元の女性労働者に他州の女性が加わっていった。1974年、政府は「港湾労働者雇用制度」を設立、港湾労働者を3つのカテゴリーに分類した。Aカテゴリーは常用で、正規労働者が通常受け取る手当て(退職金など)を全て受け取ることができる。Bカテゴリーは最低21日間の労働が保障される。Cカテゴリーは日雇いで、仕事がある時だけ雇われる。
90年代初頭に自由化・民営化政策が導入され、カンドラ港で全国で初めて民間の労働力の使用が認められると、法律の保護を受けない日雇い労働者は急増していった。
今日、カンドラ港には1,500人の日雇い労働者がいるが、その3分の1が女性だ。彼女たちの労働時間は、150人いる女性常用労働者(常用労働者は男女あわせて450人)よりも長い。にもかかわらず、賃金や手当ては常用よりもはるかに低い。法律上は同じ賃金レートが保障されているにもかかわらずだ。
常用の女性労働者は1日8時間労働で日給233ルピー(5.12ドル)。週末は休みだ。一方、民間の日雇い労働者は最大16時間労働で日給たった100ルピー(2.19ドル)。週末の休みもなく、夜間シフトもある。法律で定められている最低賃金−8時間シフトで荷積み124.6ルピー(2.73ドル)、荷揚げ99.6ルピー(2.18ドル)−すら受け取っていない人もいる。
高齢のサビタベンとギータベンはカチチ郊外の遠く離れた自宅から、わずかな金を稼ぐためにカンドラ港まで足を運んでくる。「8時間シフトで50ルピー(1.09ドル)もらっているわ」とバラ積み貨物をさばきながら彼女たちは語る。「埠頭の清掃と軽い貨物の荷役が私たちの仕事だけど、難しいものではない。ここに来て2年になるけど、前の仕事はもっときつくて賃金も安かった。何の問題もないわ」
これに対して、港湾労組(PWU)のメガジバイ・マヘシュワリ副委員長はこう反論する。「彼女たちは貧しさから現在の賃金で満足しているのかもしれないが、もっともらう権利がある。カンドラ港は中央政府の管轄する港。法律上も日雇い労働者は常用労働者と同等の賃金をもらえることになっている」
しかし、このような法律が遵守されているわけではない。港湾労働者の賃金は5年ごとの労使交渉で決定するが、この協約は日雇い労働者には適用されない。カンドラ港湾理事会によると、楽な仕事だけやっている女性日雇い労働者には最低基準は適用されないという。
「女性日雇い労働者は主に、埠頭に散らばった穀物や木材破片の清掃を行っている」とカンドラ港湾理事会のAKジョティ会長は指摘し、労働問題は中央政府労働局の管轄だと主張する。しかし、Sシンハ労働次官によると、適正最低賃金の設定は労働局の仕事ではないという。
カンドラ港の主要組合で、ITFに加盟する港湾労組(PWU)や全インド港湾労連(AIPDWF)は日雇い女性労働者の組織化に努めてきたが、成果はあがっていない。彼女たちが組合員にならない限り、組合としてできることは限られていると、PWUは言う。
彼女たちは現在の仕事や使用者から提供された住宅を失うことを恐れて、組合に入りたがらないのではないかとPWUは推測する。ラジャスタン州、オリッサ州、マディヤプラデシュ州、タミルナードゥ州など、遥か遠くから移民してきた彼女たちには、港の近くに住む場所などない。使用者が彼女たちに土地を与え、小屋を建てさせるのだ。
自分たちの目の前で搾取されている彼女たちの存在を忘れたわけではないと組合幹部は言う。組合は彼女たちのように何ら保護を受けていない労働者に手を差し伸べる方法を模索している最中だ。カンドラ港での日雇い仕事は彼女たちの貧しさをある程度、緩和させたとも言える。しかし、使用者、当局、組合も彼女たちを助けるために、もっと何かをすべきだ。
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DVマヘシュワリはカンドラ港に関する記事を定期的に寄稿しているフリーのジャーナリスト
 
 
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