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2004年7月 第16号 |
■読者の声 |
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エアマーシャル(航空保安官)に賛成ですか?
問題が発生したときに対応したり、潜在的な問題を発見したりするのを手伝うエアマーシャルの搭乗に賛成だ。しかし、エアマーシャルはただの旅行者のふりをして座っているだけで、正体をばらしてはいけない。そうでないと目的を達成できない。
米国、IAM
カーラ・ウィンクラー
(ITF民間航空部会議長)
基本的にエアマーシャルの搭乗には反対だ。
地上での重層的な保安対策を基本にすべきだ。航空会社が、特定のフライトや行き先の危険情報を入手したら、該当のフライトを中止にし、旅客や乗組員を守るべきだ。機長や乗組員に通知することなく、あるいは地上職員や旅客に気付かれずに、エアマーシャルを配置することは不可能である。よって、エアマーシャル配備の目的も達成され得ない。
英国、TGWU
ブレンダン・ゴールド
(ITF民間航空部会副議長)
エアマーシャルはエアマーシャルとしての任務以外は成し得ない。欧州合同航空当局(JAA)の航空業務に関する改正規則(JAR-OPS1.988)もこの点をはっきり規定している。
客室業務を行う人は全員、制服を身につけなければならず、JAR-OPS1に定められた訓練を受けなければならない。
一方、エアマーシャルは制服を身につけることなく、乗客に混ざっていなければならない。テロ発生時に行動に出る以外は、客室内で一切の業務を行うべきではなく、正体をばらしてはいけない。
ノルウェー、NKF
インガー・ヘレン・エンガー
現在、客室乗務員は全員、保安訓練を受けているし、乗客の迷惑行為の対処方法も学んでいる。もちろん、テロは全く別の問題だが、エアマーシャルだって、テロリストが拳銃を振りまわしたりしない限り、迷惑行為との区別をつけられないはずだ。
エアマーシャルと客室乗務員がいっしょに訓練を受けなければ、互いの任務の邪魔となる。エルアル航空が何年も前からエアマーシャルを搭乗させていることは知っている。しかし、問題はエアマーシャルが本当に必要かどうかだ。エアマーシャルの組合とも協約を締結し、客室乗務員と共通の訓練を実施すべきだ。
しかし、これは容易ではない。われわれ客室常務員は誰がエアマーシャルなのかさえ、知らされないわけだから。
イタリア、Filt-Cgil
エリカ・ヤング
スイスエアは最も早くエアマーシャルを導入した航空会社の1つだ。1970年代初頭、スイスエアの航空機がハイジャックされ、ヨルダン砂漠に墜落して以来、スイスエアとスイス政府は特定のフライトにエアマーシャルを導入することを決めた。エアマーシャルには二つの役割が与えられた。第一に、乗客に心理的な安定をもたらし、業界の自信を支えること。第二に、空港の保安水準が不十分だと判断された場合に乗客や手荷物の検査を実施すること。以来、スイスエア(現在のスイスエアラインズ)はエアマーシャルを配備し続けている。今日、エアマーシャルが保安検査を実施する路線もあれば、ただ搭乗するだけの路線もある。
スイス、Kapers
ローランド・ワイス
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保安 vs 労働者の権利
交通運輸機関がテロの手段として使われる懸念が高まる中で、交通運輸業界でも保安問題が最重要課題となっている。
各国政府や交通運輸事業者がテロ対策を模索する一方、労働組合は政府・事業者と共に、組合員や乗客をテロから守るための支援を行っている。
しかし、特に規制が緩いセクターでは、交通運輸労働者が保安上の脅威とみなされることもある。そこで、潜在的なリスクを避けるための従業員の身元検査は、人権の観点から、どこまで許されるのかが問題となる。
今月の読者への質問は「新しい保安措置が労働者の権利を守る組合の活動にどのような影響を与えているか?」
あなたの意見をケイ・パリスへ()。締切日は7月30日。原稿は編集される可能性有。 |
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