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グローバルユニオン
2007年10〜12月 第29号
■西アフリカ労働者の権利を求めて
 
西アフリカ労働者の権利を求めて

労働基本権の確保や西アフリカ地域の団体協約の締結を目指す運転手労組の取り組みをエディ・ディクソンが紹介する。

西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)は世界銀行等の融資機関の支援を受け、交通運輸(特に道路輸送)を重視した地域経済圏の設立を検討している。
加盟15カ国の経済発展が目的だが、ECOWASはこれまでのところ、多くは力の弱い交通運輸労組との協議には何の関心も示していない。
西アフリカの労働組合は、高い失業率、低い所得レベル、インフォーマル経済の拡大を背景に、労働者の真の利益を代表する存在へと発展を模索する中で、日々、さまざまな課題に直面している。しかし、地域の発展のためには組織化を強化していくしかないという点で、組合の認識は一致している。
2006年1月、道路輸送組合の組織力を強化するために、都市バス、タクシー、長距離バス、長距離トラックの活動家で構成する代表者委員会が結成された。委員はフィンランド労働組合運動連帯センター(SASK)の一連の能力開発セミナーに参加したり、ITFの「グローバルな組織化」戦略に学びながら、委員会をあらゆるレベルの交通運輸労働者を代表する存在へと発展させることを目指している。
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少しずつ成功を重ねて

西アフリカの労働組合は限られた資源でお互いを助け合いながら、徐々に存在感を高めている。公務員の汚職を減らすために政府当局に働きかけたり、組合員を勧誘するための新たな機会をつくったり、草の根レベルの運動を提唱したりと、積極的に活動を続けている。
例えば運転手の場合、仲間の運転手と共に役人への賄賂の支払いを拒否したり、必要な場合には道路封鎖を実行するようになった。マリ、ニジェール、ブルキナファソの運転手による、ブルキナファソ国境付近での活動は、ブルキナファソの閣僚6人との面会を実現させ、閣僚が国境および通関以外の全ての障壁を取り除くことを当局に指示するまでに至ったという。
コートジボワールでは、労働組合と警察の合意に基づき、タクシーおよびミニバスの運転手に特別なチケットが配布され、役人による嫌がらせの防止対策が取られた。
代表者委員会の副議長を務めるURCBのフランシス・イルブドゥは、7月の西アフリカ通貨同盟(WAEMU)の会議に招聘されたITF加盟組織幹部の一人だ。この会議では、道路輸送現場の実態を示し、当局、運送業者、市民社会の意識を高めるために、国際幹線道路における賄賂等の「正常でない」慣行(関連記事)に関する調査結果が発表された。
ECOWASとWAEMUはトラック輸送の効率性上昇のためのプログラムを共同実施しているが、効率性上昇のためにはガバナンスの強化が必要であることも認識しており、7月のWAEMUの会議では、不必要かつ違法な慣行障壁の継続的監視・対応を目指す勧告を採択している。
2007年6月にアクラ(ガーナ)でSASKの会議が開催された後、各国の組合は国内で協議を重ね、西アフリカ地域全体の共通要求項目を打ち出すことで合意した。これらの要求項目を最終的には地域全体の団体協約に発展させたいと考えているが、現在は適正な賃金・労働条件の確保や、正規雇用、非正規雇用にかかわらず全ての労働者が医療・社会保障・年金を受けられるようにすることを目標に運動している。
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ターゲット

運動のターゲットは、従業員から税金などを徴収しておきながら、それを当局に納めていない会社だ。トラック運転手らはこういった会社の姿勢に憤慨しているという。会社は常に、まずトラックのことを心配して、次に運転手がそのトラックを運転できるかどうかを決めるという。トラックには保険がかけられており、部品を交換することもできるが、労働者には保険がかけられておらず、部品を交換することもできない。
政府やECOWASに労組の役割を認めさせることも課題の一つだ。組合は自分たちが力をつけて、相互に連帯を強化し、自由なモノの移動に影響力を行使することができるようになれば、政府も組合の言うことに耳を傾けるようになると考えている。
現在、交通運輸産業の労働条件は非常に低いため、女性の運転手はほとんどいない。しかし、事務所や車庫には女性労働者も存在するため、彼女たちを組織化の対象に入れることが重要である。
地域の活動方針にも女性交通運輸労働者の勧誘や女性組合員の活発な活動の奨励等が盛り込まれている。
何百万ドルもの資金が費やされているHIV/エイズの啓蒙活動にも労働者や労組の関与がほとんどない。SASKの会議の参加者の多くが「NGOも政府も労働者の関与に関心がなく、真の進展が何らなされないままに何百万ドルもの大金が消え失せているように見える」と指摘している。
雇用や医療アクセスが不安定な状況の中で、多くの人がサポートシステムに対する期待を失っている。しかし、西アフリカの労働組合は組合員や家族のために必死に闘わなければならないという強い意識をもっている。
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エディー・ディクソンはITFの内陸運輸部次長。
運転手の抱える問題

■ガーナ運輸石油化学一般労組(TUC)職場代表
ウィズダム・アメヴァー

学校を卒業した後、機械工を経て運転手になった。長年の運転経験と良好な成績のおかげで上級運転手の肩書を得た。他の運転手が規則違反や悪い行いをしていないかのチェックをまかされている。
若い運転手の見本としてがんばっている。国境付近の渋滞を組合に報告したりもする。
この仕事で最も辛いのは長時間運転だ。長時間運転は事故につながりかねない。
もし組合がなかったら、もっと多くの問題に直面していただろう。組合と乗客が私の生活を支えている。


■マリ運転手・車掌労連(CNSACCM)職場代表
モウサ・シッソコ

われわれは高速道路規則を守っているのに、地元のガーナ人が違反しているのが問題だ。事故やトラブルが発生した時、外国人であるわれわれが責任をとらされる。言葉の問題もある。
税関でトラブルに巻き込まれることもある。警察官ともめたり、間違った場所に駐車したりすると刑務所に送られる。
組合に入った理由は、運転手の権利を守ってくれるため、事故や警察官らの嫌がらせに直面したときに助けを求めることができるため、病気になったときに支援を得られるなど、たくさんある。
毎週、運転手との会合を持ち、彼らの問題を聞き、解決策を話し合っている。トイレなどの衛生設備が足りないという話をよく耳にする。運転手は問題に遭遇するたびに警察に賄賂を支払わなければならないので、組合に助けてもらえるのはありがたい。
かつてはガーナへの入国許可は3ヶ月間だったが、今は1ヶ月間になった。
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アクラ・アフラオ(ガーナ)のバス停とテマ(ガーナ)のトラック休憩所でクリスティン・アスコットが運転手にインタビューした。
主な苦情

■道路輸送労働者の賃金は安く、しかも出来高払いという不公正な賃金体系である。

■襲撃を受けたり、事故に巻き込まれたりする危険がある。

■事業者は反労組である。

■役人から嫌がらせを受けたり、賄賂を要求されたりする。

■車両の老朽化や過積載等、事業者の問題で運転手が罰金を支払わなければならない。

■ほとんどの運転手が保険に入っていない。トラックや自動車は交換可能だが、人間の命や手足は交換不可能だ。
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団体協約締結に向けて

西アフリカの組合が全ECOWAS加盟国に適用させる団体協約(事業主と運転手が署名し、当局が履行)の締結に向けて要求項目をまとめた。

■公正な労働法規(インフォーマル労働者を含む)

■民主的・進歩的な組合に加入する権利と組合活動に自由に参加する権利

■最低基本賃金プラス出来高賃金

■当局から嫌がらせを受けない権利

■有給休暇の権利

■1日8時間を越える労働に対する時間外手当

■ 宿泊費等に充てるための出張手当

■退職手当

■女性運転手のための最低3ヶ月間の有給の産休

■事業者は運転手の技術と権利を尊重すること

■有給の休憩時間

■運転手に直接非がない交通違反に対する使用者責任

■事故のための保険

■医療・社会保障(無料の診察を含む)

■運転手がHIVに感染し、働けなくなった場合等の社会保障給付

■トラック休憩所における衛生的なトイレ、飲食施設等の確保

■インフォーマル労働者も団体協約の対象とする
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INDEX
自由は実現する
イラン人組合活動家のマンスール・オサンルーが投獄前に語ったこと
持続可能な海
欧州の船員政策
西アフリカ労働者の権利を求めて
団体協約締結に向けた取組み
信頼と協力の新たな機会
パレスチナとイスラエルの労組間合意
情報は力なり
POCデータベースの潜在力
HIV-エイズ
カリブ地域の組合の取り組み
風に抗して飛ぶ
トルコ航空労組の闘い
勤労生活
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