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2007年10〜12月 第29号
■自由は実現する
 
自由は実現する

マンスール・オサンルー

イランの組合指導者のマンスール・オサンルーは、バス労働者のために独立した労組を結成し、生活可能な賃金を確保していこうと努力してきたが、そのため、容赦無い迫害を受けてきた。それでも彼は、最近逮捕される直前に、トランスポート・インターナショナルとの取材会見で、自分は反政府主義者ではないし、イランにおける労働者の諸権利と自由の確立に関しては、望みを失っていないと語った。

無事にイランを出て、ロンドンにたどり着けると思っていましたか?

とても驚きました。飛行機が飛び立つまで、彼らがやってきて、私を連れ去るだろうと思っていました。それからやっと、私は大丈夫だと思いました。家族と仲間が空港に見送りにきましたが、私が飛行機に乗り込むまで、どこにいて、無事なのか、ずっと電話をかけて尋ねてきました。
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イラン当局は、なぜあなたが海外へ行くことを許したのだと思いますか?

まず第一に、刑務所への収監と200時間にわたった尋問の結果、当局は、私が反政府主義者ではないと判ったのだと思います。第二に、組合の仲間から支援があったこと、私を釈放するよう支援があったことです。
三番目に、国際的な支援の存在、ITFや国際労働組合総連合(ITUC)からの支援があったことがあります。多くの活動があり、多くの書簡がイラン政府宛に出されています。
またもう一つの理由は、メディアの力です。イラン国外のインターネットや、衛星放送、それから雑誌などです。家族は家で、私を支援する電話をたくさん受けています。
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普通の労働者にとって、イラン国内の生活はどんな具合ですか?

われわれは、とても不安定な時代を生きています。イランでは、余りにも多くのことが変わりつつあります。われわれは二つの違う時代を生きています。一つは専制制であり、いまひとつは、民主制です。そのうえ、イラン社会の文化的な変化もあります。
われわれの社会は、大変複雑です。そしてこの複雑な社会には、未だに異なる時代、すなわち300年から400年前の封建的な行動様式が残っています。物事は変わりつつあり、テレビやラジオは社会を変えてきましたが、未だに昔と同じように生活している貧農がいます。
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独立した労働組合へ改革しようとする運動は、どのように始まりましたか?

1980年から8年間に及ぶ戦争の時代のせいで、全ての組合組織は解散させられました。その結果、多くの組合活動家が逮捕されたり、逃げたり、刑務所に収監されたりしました。
1990年の後、新しい労働法が作られました。イスラム社会のリーダーは、原則として、あらゆる労働者組織の結成に反対しました。より重要なことは、彼らは、職場でおこなわれるあらゆる選挙に反対して、政府やスパイ組織にさえ協力したことです。この期間、彼らは、職場で選挙が行われる場合は全てに介入し操作しようとしました。
これらイスラム指導者は、多くの不幸を生み出しました。彼らが労働者の声を反映していないという事実ともあいまって、われわれに自らの考え方を改めて見直すきっかけになりました。
私の友人も私も古い組合活動家を知っているので、イランの組合改革について彼らと話し合いを重ねました。
われわれは経験を利用しようとしました。基本的な組合の権利について勉強して、イランの労働者に適用しようとしました。次から次へとバスを訪れ、質問を繰り返し、運転手が休憩する場所が確保できるように努めました。アイデアを突き合せ、仲間の労働者の状況改善をいかに進めることが出来るかを考えました。先行する世代の効用を考え、彼らのやってきたことや経験、そしてそれらを如何に私たちの組合に活かせるかを考えました。
われわれは、新しい雑誌を発行しようとしました。コーヒーショップをたずねたり、テヘラン周辺で運転している全ての運転手に話しかけました。6年前のことです。
われわれの状況について幅広い情報が集まりました。前大統領であるハタミ政権の末期になって、組織化する時期がきたと判断し、2005年、アハマディネジャドが政権についた直後に、状況への不満を表に出していくことを開始したのです。
運転手が街で乗客を運んでいる際、ライトをつけっぱなしにする活動もやりました。これは、会社内にいわゆる「労働者」の組織結成が出来ていないことと、職場のさまざまな問題への抗議表明です。職場には、低賃金や長時間労働、使い古した車が使われていること、道路の大渋滞で引き起こされる運転手の疲労、職員の解雇、経営者の腐敗などの問題が山積していました。
私が最初に当局に逮捕されたとき、テヘランの警備責任者は、われわれを交渉の場に連れて行こうとしました。このときは、交渉が実施され、経営者は、合意した事項を実施すると約束しました。しかし実際は何もなされませんでした。その後2005年の8月から12月までの間、私は逮捕され続けたのです。
法廷に出廷するたびに、判事は私の訴訟案件を審理してこれは事実ではないと判断して、私を釈放しました。しかし、それもその年の12月までのことでした(オサンルーは、このとき逮捕され、8ヶ月間、収監された)。
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何度も恐怖を感じたに違いないと思いますが、その中で、どうやって活動を続けていくことができたのですか?

必要だったからです。皆、このような状況で生きていくくらいなら、死んだほうがましだと思っていました。
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テヘランのバス運転手の労働条件はどのようなものですか?

テヘランのバス労働者の最低賃金は100ドルに近く、これにさまざまな給付が加わって、受け取る総額はおよそ150ドルくらいになります。貧困ラインは月当たり400ドルです。政府統計でさえ、最低賃金は月300ドルにすべきであることを示しています。
加えて、困難な労働条件があります。大気汚染はきわめてひどい。バスによっては民営化されており、労働者はこれらのバスと競争しなければなりません。
また、一つの仕事をしていれば済むわけではなく、多くの異なる仕事をこなさなければなりません。彼らは運転手であり、ヘルパーであり、切符の回収係です。おまけに、バス内が二つに分かれているという問題があります。女性が一方に、男性が他方に分かれて乗るのです。われわれにとって本当に困難な労働環境です。
一方で、大量の逮捕者と解雇者を生んだ2006年1月のストライキ以降、43人の労働者が最終的に解雇されました。そのうち6人は仲裁裁定の過程にあり、4人が「職場復帰」の通知を受け取っています。
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組合には女性組合員がいますか? 彼女たちの活動を奨励していますか?

組合には200人の女性労働者がいます。組合は彼らのために闘い、子供の昼間の保育手当てとして月当たり40ドルを勝ち取りました。しかし、大量逮捕が出た後、女性の参加は減りました。
しかし、組合員の妻たちは大変活発に活動しています。組合員会議に出てきて、話を聞き、さらには意見を言う権利ももっています。3月8日の国際女性デーに記者会見が行われ、また式典も行われました。
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組合は、7,000人の組合員を通常の形で代表することが認められていますか?

われわれが7,000人の組合員を代表していると主張するのは正しくありません。なぜなら、自由な一般的組合員というものがそもそもないからです。われわれは労働者のスポークスマンです。労働者の問題を代表していますし、労働者はわれわれを支持していますが、もし組合が自由で正常な状態にあれば、全労働者の15,000人のうち、70〜80%が、組合に代表してもらいたいと望むはずです。
第1回の通常組合員会議には、街頭に、何千人もの労働者が集まりましたが、彼らは警官から逃げ回り、脇道に隠れたりしていました。こうしてまで集会に出ようとしたのです。労働者は組合が賃金を月当たり50ドル増やす手助けをし、ユニフォームも提供できるようにしたことを知っています。今あなた方の前に座っているこの私が着ているのは、使用者からあてがわれたものです。
組合が行った最も重要なことは、臨時雇用の労働者を常勤雇用としたことです。彼らは、少なくとも2年の雇用契約を獲得しています。
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テヘランのバス労働者は最終的には、自由で独立した組合を持つことが可能になるとお考えですか?

もちろんです。組合が出来ると信じています。
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それでは、これを実現するためには、イラン内外で、何が起こる必要がありますか?

われわれの活動に引き続き国際的な支援を示していただくのが、組合にとって肝要であると思っています。人々は、我が政府が国連組織や国際労働機関(ILO)に加盟していることを知っています。この事実はわれわれにとって、最も重要なことです。そこでわれわれは、どこへ行っても、ILO87号条約(結社の自由)やILO98号条約(団結権及び団体交渉権)について語ります。
しかし、こうした行動にはつけを払わなければならないことがあります。イランでは、状況について、人々はきわめて懐疑的になっています。これは、あまりにも多くのうそが横行しているからです。しかし、組合は、人々の信頼を得ようと努めています。既に達成に向かっていると思いますし、この方向で努力を続けたいと望んでいます。
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イラン国内の政治への影響はいかかですか?

われわれを取り巻く状況は複雑です。権力を握っている人々の大多数は軍の背景を持っており、保守的です。しかしそれぞれ異なる傾向があります。国内では、組合は自らの権利のために闘っています。議会選挙が、数ヶ月以内に実施されます。
異なる傾向は、異なる関心と異なるメディアにつながりますが、われわれの活動を支援するようなメディアはまれです。たとえば、エッテラート紙、マクミハーン紙、シャール紙などの新聞は、全てわれわれのニーズを強調しますが、各紙とも、イラン政府の一定の傾向を代表しています。我々は、これらが皆一緒になって、独立した自由な組合結成につながる動きになればと考えています。
現在イランでは、さまざま異なる動きが見られます。学生運動、女性運動、労働運動などです。活動を通じて、自らを訓練し、教育しています。彼らは、直接的、間接的に、連帯に向かって協力しようとしています。
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ケイ・パリスの会見による。
7月10日、現地時間でおよそ19時ごろ、テヘラン・バス労働者組合の指導者マンスール・オサンルーは、正体のわからない襲撃者にテヘランのバスから引きずり出され、ひどく打ち据えられ、車に押し込まれた。彼は、わずか2週間前に、欧州訪問から帰ったばかりで、彼はそこで、ITFと国際労働組合総連合(ITUC)の国際会議に出席し、演説したところだった。
オサンルーは、組合活動に関与したため、幾たびか攻撃され逮捕されてきたが、今回の逮捕の後、エビアン刑務所に収監されていることが判明した。この2年間で3度目である。トランスポート・インターナショナルが取材を進める間、ずっと彼は収監されたままであった。
オサンルー拉致のニュースを最初に聞くや=この報については政府も警察も当初、事実関係を認めようとはしなかったが=、彼の釈放に向けて闘うグローバルな労働組合のキャンペーンが開始された。ITFは、オンラインで署名を集め、世界中の加盟組合からは、抗議の書簡がイランのアフマディネジャド大統領宛てに送られた。ITFとITUCは、世界の組合に8月9日の行動日への参加を呼びかけた(詳細)。
行動日はオサンルーが最初に収監されて8ヵ月後に釈放されたその日から、ちょうど1年経ったことを記念して予定された。行動日には、オサンルーが新たに収監されたことに抗議するとともに、他の組合指導者で、サケズ・ベーカリ労働者組合の創設者で労働者組織協議会結成のメンバーのマフムード・サレヒがクルディスタン州のサナンダジで拘束されていることに対しても抗議した。行動日に参加したのは、アルジェリア、ロシアからイエメンまで34カ国で、参加組合は集会を開き、イラン大使館の外で監視を続け、陳情書を手渡そうとした。
行動日の朝になって、オサンルーの組合の執行委員である組合活動家がさらに5人逮捕された。また警官は、テヘランのオサンルーの自宅で支持者が集会を開くことを阻止した。オサンルーは、欧州に出かけ、ロンドンでITFの路面交通運輸労組の仲間に向かって、イランでは独立した労組に所属することは憲法上保障された権利であるにもかかわらず、ITF加盟組合のテヘラン・バス労組組合員が抑圧に遭ってきている事実を詳細に説明した。
彼は同時にトランスポート・インターナショナルの取材会見に答えた。内容はここに紹介されている。オサンルーの釈放とイランの労働組合権の保護を求めるキャンペーンの詳細については、キャンペーンのウェブ・サイトである www.freeosanloo.org を参照されたい。
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INDEX
自由は実現する
イラン人組合活動家のマンスール・オサンルーが投獄前に語ったこと
持続可能な海
欧州の船員政策
西アフリカ労働者の権利を求めて
団体協約締結に向けた取組み
信頼と協力の新たな機会
パレスチナとイスラエルの労組間合意
情報は力なり
POCデータベースの潜在力
HIV-エイズ
カリブ地域の組合の取り組み
風に抗して飛ぶ
トルコ航空労組の闘い
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