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2004年1月 第14号
■利益を求めた威嚇行為
 
便宜置籍船
利益を求めた威嚇行為


便宜置籍船に乗船する船員の平和的ストライキを阻止するために行われるお馴染みの威嚇行為と違法戦略
アルディス・ブローカンズ


2003年6月、リベリア籍船タガンローガ号の船主、ラトヴイジャス・クニエクバ(LK)は、同船の管理をラトビアのアクアシップ社に任せることにした。アクアシップは、組合が承認した賃金を明記した現行協約を破棄し、15パーセントから45パーセントの賃金切り下げと社会給付の大幅削減を規定した新たな協約を締結することを提案した。この賃金提案は非常に奇妙なものだった。例えば、ウクライナ人の2等航海士の月給が1,200ドルであるのに対し、ラトビア人の3等航海士の月給は2,000ドルで、部員の月給は僅か700ドルだった。
2003年6月30日、ラトビア商船船員組合(LSUMF)は、LKの経営者に書面による説明を要求したが、返答はなかった。7月2日、LSUMFは、今度は船主、管理者、事業者のそれぞれに書簡を送り、紛争解決のための話し合いを行うよう要求したが、何の回答も得ることはできなかった。7月3日、組合は、これ以上交渉を拒否するのであれば、思い切った行動とはいえ、完全に合法的であるストライキという手段に訴えざるを得ないと通告した。7月8日の午前8時、同船の乗組員はストライキを実施した。20人の乗組員のうち、ストライキに参加しなかったのは僅か3人だった。
依然として平和的な交渉には至らなかった。それどころか、アクアシップと用船主による激しい反撃が間もなく始まろうとしていた。7月8日の夜、ギャングウェイにスーツケースを手に別の船員らが現れた。ラトビア人船員の代わりに仕事をするためだった。その数時間後、アクアシップが呼んだ警察も到着した。しかし、警察は、何の違法行為も公益妨害も認められないため、平和的にストライキを行っている船員を船から追い出すことはできないと説明した。その後、国境警察もタガンローガ号を訪れ、船員の行動に何らかの違法性を見つけようと必死になったが、そのかいも空しかった。
午前3時、長期間に及ぶ心理戦も限界に達していたため、船員らは眠りについた。しかし、船員の間に恐怖心が高まり、ストライキに参加する船員の数が13人に減ってしまった。
翌朝、タグボート2隻がタガンローガ号脇に現れ、船の保安と船員の安全に関する規則に全く違反する行為だが、ストライキ中の船員ともども船を引いて行こうとした。しかし、係船中の船を引っ張っていこうというこの企ては失敗に終わった。
次に民間の警備会社から派遣されたがっしりとしたガードマン2人が現れ、ギャングウェイに陣取った。組合の代表者を乗船させないように指示されてきたからだ。さらに、2人のアクアシップの代表者が乗船し、疲れ果てるまで何時間もかけて乗組員を洗脳しにかかった。船員らはこの「秘密の」交渉に組合の代表者を同席させて欲しいと要求したが、完全に無視された。これは、従業員の代表者が職場を訪れる権限を有していると規定するILO条約第135号の重大な違反である。
心理的プレッシャーの大きな長期戦の末、ラトビア人船員の大半がおじけづいてしまい、アクアシップが提示してきた僅かな賃金で働くことに同意してしまった。4人の船員は、企業の提示した条件に納得ができなかったため、ストライキを続行するつもりだったが、最終的に中止になった。企業代表の4人は、得意げに堂々と下船していった。
タガンローガ号の船内でこうした一部始終が起こっている間も、荷役作業は近くに停泊していたラザナ号により行なわれていた。同船もまたアクアシップの管理に任されていた。すでにラザナ号では、ラトビア人船員の大半がウクライナ人船員に置き換えられていた。ラザナ号のストライキを警戒したアクアシップ社が、ここでもあの全身黒ずくめのガードマンらをギャングウェイに仁王立ちさせ、乗組員が組合の代表者と接触するのを阻んだからだった。いずれにしても、ウクライナ人船員は、生活水準の低さゆえ、比較的低賃金でも仕事を引き受けるのだから、会社はガードマンに大金を払う必要もなかっただろう。
ラザナ号とタガンローガ号は、こうして再び航海を開始し、船員らはアクアシップ社が提示した労働条件のもとに就労している。しかし、労組は引き続き、ラトビア人船員の利益を守るために努力する。LSUMFは、あらゆる船の労働条件が、LKと結んだ元来の協約に沿ったものになり、企業側にそれを堅持させるように努力しようと決意を新たにした。
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アルディス・ブローカンズはLSUMFの機関誌「Jurneiku Vestnesis」の編集長。この記事は同誌2003年第6号に掲載された原語版からの翻訳。
 
 
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