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グローバルユニオン

2004年1月 第14号
■知っておこう
 
グローバル化と交通運輸労働者

グローバル化とは何か

グローバル化という言葉は、地球規模の生産・市場・サービスの出現を表している。同時に、欧州連合(EU)やアメリカ大陸における自由貿易協定(FTA)などの地域ごとのグループ化、および世界貿易機関(WTO)や世銀などの国際組織の影響力が増してきていることも意味している。こうしたグループ化や組織化のねらいは、国内規制や貿易障壁を削減し、企業がより多くの市場に参入できるようにすることだ。
製品やサービスに関する貿易障壁は除去され、外国投資に関する規則も緩和され、国内市場はもはや海外市場との競争から保護されていない。世界各国で企業がグローバル展開せざるを得なくなってきている。
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交通運輸労働者にとって重要な問題だといわれるのは何故か

各産業が、製品の生産と組み立てを世界各地で行なうグローバル企業に一層席巻されてきている。グローバル企業は、製品と人をより迅速に、より安く動かす必要がある。したがって、安くて速い交通の存在は、グローバル化の波には不可欠だ。国境を越えて輸送される貨物の3分の1が多国籍企業による積換え(トランシップ)により賄われている。FOC制度により、船主は世界各国から最低賃金で働く船員をかき集めてくることができる。
ジャストインタイム方式に基づき納期を厳守しなくてはならないというプレッシャーから、トラックの運転手は危険なほど長時間の勤務を強いられることになる。鉄道や港湾もまた、国家経済や公共サービス面でのニーズというより、グローバル企業のサプライチェーンから生じるニーズに対応しようとしている。
こうしたことは全て、労働者の労働条件や産業の担い手である労働者の専門家としての水準にマイナスの影響を及ぼしてきた。あらゆる交通運輸部門において、安全とサービスの水準がコスト削減の必要性から圧迫されている。
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グローバル化によって国家の役割はどう変わるのか

他の産業部門と同様、交通運輸部門でも、グローバル化の基本哲学は、国家計画経済よりも自由市場の方が良質の商品と迅速で効率的なサービスを提供できるというものだ。そのため、商取引や交通を規制するという面で国家の役割は小さくなり、株主利益を実現できるグローバル企業にその責任を譲り渡していくことになる。
鉄道、バス、航空、港湾などの国営の交通機関は、完全に売却され、分割されたり、あるいは部分的に売却されたりしている。かつては公益を念頭に提供されてきたサービスが、今では営利目的になってしまっている。交通の急速な多国籍化が進み、国際航空アライアンス、グローバル港湾ターミナルオペレーター、多国籍ロジスティックス企業などが出現している。
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グローバル化が労働者に及ぼす影響は?

今や各国は、企業や雇用を自国に引き寄せるためのグローバル競争を繰り広げ、WTOや世銀のような世界組織からも圧力をかけられている。その結果、労働者の保護と交通機関の国による規制を目的とした法律の弱体化あるいは廃止を目指す動きが各国で見られている。
交通運輸産業もまた、グローバル市場の特殊で即時的かつ短期的な需要を満たすため、変化を余儀なくされている。しがたって、一時契約や短期契約による従業員がますます増えていくことになる。
グローバル化により、交通運輸産業には不安定雇用がもたらされた。特に鉄道、公営バスサービス、自国籍船、ナショナルフラッグ・キャリア、港湾など、伝統的にも組織率の高かった部門で大幅な人員削減が行なわれている。路面運輸や低コスト航空など、伸びているのは、ほとんど何の資格も必要としない低賃金雇用だけだ。
日雇い従業員、パート従業員、契約従業員、「インフォーマル」労働者などが交通運輸労働者に占める割合は日に日に高まっている。
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ケース・スタディ: 航空ケータリング部門のグローバル企業

航空ケータリング産業は、世界産業界でも最も集中の激しい分野だ。グローバル化が起こる以前は、殆どの航空会社が自社のキッチンを使って自社で機内食を用意していた。しかし、今日ではこれは大きく変化した。LSGスカイシェフとゲート・グルメという2大グローバル企業が世界市場の6割以上を席巻している。
従業員と組合員には次のような影響が及んでいる。
ケータリング部門を航空産業から切り離し、通常、雇用条件も低く、組合の力も弱いケータリング産業に移転させる。
ケータリング事業の競争入札によって、労働条件が悪化した。
新たな製造システムによって、労働強化や失業が生じた。
ITFは、食品産業労働者を組織するグローバル・ユニオン・フェデレーションのIUF(国際食品労連)と緊密に協力し、巨大航空ケータリング企業内の労組間の国際協調を進めるよう努力している。
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グローバル化と交通運輸労働者

組合に及ぼす影響は?


グローバル競争により、交通運輸労働者の賃金、労働条件、就労に必要な資格などが押し下げられ、組合の力が強く、保護法が整備されている国では、企業が労働者を威嚇している。一方、賃金や労働条件が低く、法整備のない国では、企業が次々と事業を立ち上げている。
使用者は、出来るだけ安くて言いなりになる労働力を求めるため、しばしば未組織の労働者のみ、あるいは、比較的組織率の低い女性や若者を雇用しようとする。したがって、労組はこうした労働者を確実に組合に加入させるよう努力しなくてはならない。
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ITFの取り組みは?

ITFは、グローバル交通運輸企業が展開するグローバル事業に関する情報を共有し、組合行動の効率をより高めるために組合間の連帯を図っている。
また、労働組合運動が、WTO、世銀、国連、IMOやICAOのような交通運輸専門機関、欧州連合、APECなどの地域組織などの国際機関にどうすればプラスの影響をもたらすことができるか考えている。今後は、アメリカ大陸の自由貿易協定などにも取り組んでいくことを検討している。なぜなら、こうしたあらゆる機関の決定事項が、組合員の労働生活に大きく影響するからだ。
ITFはまた、社会問題に責任を負う国連機関である国際労働機関(ILO)が設定した国際労働基準を各国政府や企業が実施するよう働きかけている。そのためには、特定部門の多国籍企業の動向を観察することが不可欠であり、具体的にはITF都市交通委員会などの作業部会を通して活動している。
グローバル展開する企業を相手取った争議において、国際争議支援は、ますます重要な役割を果たすようになってきた。国際連帯の実現がITFの中心的役割だ。
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ケーススタディ: 港湾の民営化

世界の約150ヵ国が既に港湾を民営化したか、あるいは今後民営化を検討している。港湾の民営化は、しばしば国際通貨基金(IMF)や世界銀行による融資の交換条件にされている。
多国籍船会社や新参のグローバル・ターミナルオペレーターの利益本位に民営化が行なわれ、荷役コストを削減し、生産性を向上させるため、労働者の賃金と雇用条件は攻撃を受ける。
台湾では、民間のターミナルオペレーターが港湾労働者の賃金の4割カットを強行した。パキスタンでは、民間企業が未組織労働者を雇用している。日雇い労働者や契約労働者の使用が急激に増え、常用労働者の置き換えが進んでいる。ブラジルでは、港湾オペレーターが一人一人の労働者の労働強化を要求している。一部の民間オペレーターは、組合登録を抹消し、全国協約の弱体化を図っている。
ITFは、港湾での組合潰しに対抗するキャンペーンを展開している。
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INDEX
港湾労働者の勝利
欧州港湾指令却下
航空経済
2004年の航空産業の
展望と課題
シックエアクラフトをどう治療するか
目に見えない健康被害の認識を高める労組の闘い
アルゼンチン鉄道の行方
中南米の鉄道民営化事情
遺棄されて:救いの手を差し伸べてくれるのは誰?
船員が遺棄されたらその責任は誰が取るのか
利益を求めた威嚇行為
FOC船に乗組むラトビア人船員の苦難
赤信号がともされた自由化プロセス
WTOカンクーン閣僚会合でつまずいたロジスティクス会社
知っておこう
交運労働者とグローバル化
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