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2008年1〜3月 第30号
■やりがいのある組合の仕事
 
やりがいのある組合の仕事

ボランティアたちの集まりが、いかにして設立間もないトルコ海事従業員連帯組合(DAD-DER)を仲間うちの夢物語から連帯行動を実施する力ある組織へと成長させたか、アフメット・デミルサールが語る。

トルコで法律が改正され、労働者の組合への組織化が可能になった一年後の2004年にDAD-DER組合は設立され、2006年にはITFに加盟した。しかし、トルコの船員の間に連帯意識を育もうと活動を開始したのは、10年も前だった。10年前からこの活動の一員として働いてきたことを誇りに思っているとデミルサールは言う。
きっかけは、海事大学の16人の同級生の集いだった。仲間が集まり、船員の組合をつくることを夢見ていたが、1980年の軍事クーデターにより、法律が組合の設立を阻む最大の要因となった。特に新しい組合の設立は厳しく制限された。
当時、夢を語る以外にできたことと言えば、海上で問題を抱える船員を助け、彼らの訓練に全力を傾けることくらいだった。しかし、この船員の支援活動の中で、ITFとも緊密に協力するようになった。1999年から2006年までの間、たくさんの船員を援助し、連帯のネットワークを改善するなど、多くを成し遂げてきた。しかし、新たな船員たちが同じ問題を抱えている現実を見ると、状況を改善するには至らなかったわけだから、何も成果が上がってこなかったとも言える。
守れない約束は仲間や組合員たちにしないように心がけてきたが、2004年のDAD-DERの設立は転機になった。組合設立後は、計画をきちんと立て、ステップ・バイ・ステップで進んできた。現在では、組合員数は1,800人まで増えた。そのうち少なくとも400人が活動家で、我々と絶えず連絡を取り、現状を把握し、現場の様子について組合に連絡してくれるし、どのような行動を取ればいいか、組合にアドバイスを求めてくる。彼らが新しい組合員を勧誘し、船主に対する要望を組合に教えてくれる。
組合の主戦力はボランティアや最前線の活動家であり、長年一緒にやってきた仲間だ。「チーム」と呼ばれている役員は、最年長が38歳と若く、エネルギッシュで、大義に身を捧げている者ばかりだ。皆、船員としての経験はかなり長く、教育水準も高い。各人が海運業界に広いネットワークをもっている。
DAD-DERの「役員チーム」は、船員の状況を改善しようと力の限りを尽くしている。船員の権利や国際労働運動について、意識を高めるための訓練も実施している。支援と力を強化するために、できるだけ多くの活動家を育成している。重要なのは、血気盛んな若者に、大きな全体像から判断して適切な行動を取る忍耐力を学ばせることだが、一方、彼らの燃え盛る情熱の炎を消すことがあってはならない。大学の講師の中にも活動家がいたりするのは幸運だと思う。彼らの協力なくして、ここまでたどり着くことは不可能だった。
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確実に成果を上げる

組合のために活動してきた仲間は、これまで何でもやってきたが、現在、組合の組織再編をしながら、よりプロフェッショナルな組織を目指している。組合の責務は、組合の運営、協約締結、訓練、訪船活動と大きく分けて4つある。
2006年11月から2007年9月の間に、DAD-DERの協約班は、約90の協約を締結した。同じ期間に二重帳簿を2割減らすことに成功し、90隻の協約船に乗り組む部員の賃金は7割、職員の賃金は3割引き上げられた。
現在、DAD-DER /ITFナショナル協約作成のために努力しているが、これは我々にとって非常に重要な前進である。同協約により、定期的に浮上してくる問題に、より系統だった解決法を見出すことで、FOC船に乗り組むトルコ人船員の条件が改善されることを願っている。
組合の訓練班は、一連の訓練プログラムを実施している。2007年には、活動家のための組合内訓練を毎月行い、船員のための屋外セミナーを2回、協約船での現場訓練を1回、マルマラ地方でILOの港湾局規則に関する30分の説明会を1回、新しいナショナル協約に関する船主を対象としたセミナーを1回行った。
機関長をしている同僚の一人が、地元のインスペクターと活動家グループを束ねている。基準以下船が多い黒海沿岸地域に問題が頻発し、インスペクターたちは未払い賃金回収のためのストやクレームに大半の時間を費やしている。2007年1月から8月の期間に、インスペクターチームが回収した未払い賃金は80万米ドルに上る。
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前進

組合は、組合員が雇用契約にサインする前に、乗船後の状況、船舶所有者の状況、乗船中に船主が不法行為を行った場合は、保護される権利を有している事を組合員に確実に知らせるようにしている。一般的に、私たちは、組合の活動があるからこそ、ITF協約締結船だけでなく、全ての船舶に乗り組む船員の賃金や労働条件が改善されていると確信している。
現在、福祉サービスの提供は行っていないが、2008年の第一四半期中には、船員に対する福祉サービスが最も必要とされているトゥズラ地域に小さなインターネットカフェを開設する予定だ。
今やるべきことは、ボランティアベースで活動している仲間を、有給の組合職員にしていくことだ。現在、組合は、5人の役員にしか賃金を支払えていない。ボランティアの援助があったからこそ、組合の活動能力は大幅に拡大してきたが、ボランティアたちにも生活があるため、賃金をもらって働く必要がある。それが、長期プロジェクトの計画を立てにくくしている。
組合の立ち上げから間もない頃は、ボランティアとともに活動を進めるのは容易だった。期待もそれほど大きくなかったため、どのような小さな成果であっても、「ゼロの状態」と比較すれば大きな成果と言えたからだ。しかし、今、組合は、ボランティアの熱意を失うことなく、組合をよりプロフェッショナルな組織へと成長させていかなければならない。財政が大きな問題だ。最低の家賃が月500ドルの都会で、年間約10万米ドルの予算をやりくりしているのが現状だ。
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アフメット・デミルサールは、トルコの海事従業員連帯組合(DAD-DER)の書記長兼財政部長。
 
 
INDEX
組合アライアンス、ただいま参上
新たな連帯の形
やりがいのある組合の仕事
トルコ海事従業員連帯組合(DAD-DER)設立
立ち上がるイランの労働者
抵抗を続ける労働組合
HIV-エイズ
中米労組の意識啓発活動
解説
ILO漁業労働条約
説得の力
インド港湾の組織化
地球温暖化
労働組合の課題
一般
ニュース
論説:中国に目を向ける労働組合運動
私の課題:ヒラリー・ホスキング
読者の声:アフリカ南部の女性鉄道労働者
勤労生活:アフガニスタンのトラック運転手
 
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