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2005年4〜6月 第19号
■地獄の検問所
 
地獄の検問所

今こそ西アフリカの道路から警察の嫌がらせを撤廃すべき時だとナジ・カボーレは言う。

2004年6月、ガーナのアクラで開催されたセミナーに参加した路面運輸労組は、これまでの努力にも関わらず、警察の運転手に対する嫌がらせはなくならず、特に西アフリカではいまだに顕著だと報告した。路上や国境地帯で運転手や助手、一般の乗客までが交通規制担当の警察官から略奪を受ける、恐喝される、侮蔑される、不必要な遅れに悩まされるなどの被害にあっている。
こうした問題は、政府にも報告されている。2004年12月には、西アフリカ経済金融同盟(WAETU)の加盟国の通関および警察担当閣僚が集まり、こう述べた。「WAETUの回廊沿いには、税関護送官があらゆる場所に意図的に待機しているため、非常に高くつくし、遅れの原因になっている。徴税手続き、国境地帯に点在する複数の検問所、何時間もかかり複雑で無意味な通関作業など、幹線道路沿いには検査所が多すぎ、煩雑な事務手続きも多い」
WAETUや西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)は、この問題に対処するための法律を採択した。国家間路面運輸条約(TIE条約)や国家間貨物輸送に関する条約(TRIE条約)などがその例だが、依然として嫌がらせは治まらず、場合によっては悪化している。
アクラのセミナーに参加した組合員は以下の点を特に糾弾した。
コートジボワールでは、治安の危機的な悪化から、アビジャンをはじめとする検問所の数が急激に増えている。
ブルキナファソでは、特にファダ税関の警察官が運転手や乗客を威嚇したり、恐喝したりして略奪を行っている。
ベニンでは、国内を通過する車両を対象に市役所が税金を徴収している。
マリでもトーゴ・ガーナ間の回廊で「新たな検査官の過剰配置」が見られる。しかし、トーゴは隣国に比べて警察による暴行などの件数は少ないことがわかった。組合によると、トーゴの警察官は法外な料金を請求することもなく、他国の警官と比べると運転手や道路利用者に敬意を示している。
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停止時間と心づけ

主要幹線道路の検問で検査を行っている警官が暴行を働くことは珍しいことではない。加えて、明らかに不必要な数の検問はコストと時間の面で運転手に負担をかけており、それ自体が嫌がらせとも言える。
2002年10月、ITFとフィンランドのソリダリティーセンター(SASK)がスポンサーとなり行ったセミナーで、貨物を積載したトラックがマリ・ブルキナファソの国境地帯(ファラマナ)からトーゴとの国境(シンカンッセ)を通過し、ロメ港へ向かうまでに検問所がいくつあるか数える実験を行うことが決定した。あわせて、トラックの運転手が各検問で支払わなければならない(非公開の)金額の総額と検問のために停止した総時間も計算することにした。
実験に参加した運転手は、900キロにも満たないこのルート沿いに25の警察と通関の検問所があることを発見した。つまり、36キロごとに検問所がある計算になる。合計停止時間は3時間20分だった。トラックに貨物を積載していれば、国境でのお定まりの形式的な通関手続きにさらに半日が費やされる。平日の11時から15時の間、あるいは週末に国境に到着し、警官への支払いを拒否するとそこで2、3日は待たされることになる。
トラックや積荷に関する書類が不適切であろうものなら、警官に心づけを渡さない限り、運転手と助手は1週間も足止めを食らうことになるだろう。
書類に不備がなくても、ブルキナファソ登録のトラックの場合は26,000CFAフラン(39.70ユーロ)、外国登録車の場合は47,500CFAフラン(72.52ユーロ)の非合法な心づけを乗車人数分支払わなくてはならない。検問担当官は、「我々も書類じゃ食えないからね」とトラック運転手らに説明する。
公共交通労組の組合員がウガドゥグ・カンチャリ間(ニジェール国境)の幹線道路350キロで数えた検問所の数は16だった。総遅延時間は111分、払った心づけは平均12,750CFAフラン(19.46ユーロ)に上った。
ウガドゥグのタクシー労組は、警官が1,000CFAフランの心づけを要求してくる検問所が7つもあったと報告している。
2004年にブルキナファソとガーナの国境地点の町パガで行われたITF路面運輸行動日により、どこまで腐敗が進んでいるのか、その実態が明らかになった。ITFは事前に当局の了解を得て、国境に到着したトラック運転手を対象に集会を開くために国境地帯を封鎖した。集会に参加した後、運転手はそのままウガドゥグへ入ることができた。その日、トラック運転手らは地元の組合にこう報告した。「ITF行動日のおかげで運転手はそれぞれ23ユーロの非合法な税金を支払わずに済んだ。我々にとっては大金だ」
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合法化された嫌がらせ

事故が発生すると、法手続きもまた運転手への嫌がらせと化す。ベニンやトーゴなどの国では、ECOWASの規定が適用されるはずだが、事故に関与した運転手は意図的に逮捕され、投獄されてしまう。
車両は没収され、車両の所有者本人が法廷に出頭し、事故の判決を待たずに即座に犠牲者に賠償金を支払うよう命じられる。
乗客も警官の嫌がらせの対象になる。あるナイジェリアの組合員が述べている。「警察署で乗客が車から降ろされ、廊下を渡って事務所内に連れて行かれた。そこで、身分証明とワクチン証明を再発行し、今後も旅を継続できるようにするためという名目で、それぞれ500〜1,000CFAフランを支払わされた」
役人の間に深く根付いた構造的汚職に立ち向かうのは難しい。検問担当官に指名してもらうために、上官に50万CFAフラン(763.35ユーロ)も支払わなければならない国もある。必要な先行投資だ。運転手や乗客から巻き上げた金は警官の間で山分けされており、その一部は上官にまで渡っている。
こうした状況に負けず、組合は運転手や車両の所有者の認識を高めるキャンペーンを積極的に展開し、関係当局との交渉にも参加している。近年は、ストライキを実施することも多くなった。コートジボワールの道路封鎖、ニジェールやブルキナファソでの全国ストなどが例として挙げられる。
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暴行を受けやすい傾向

路面運輸組合は、西アフリカのトラック運転手が特に嫌がらせや暴行を受けやすい主な要因をいくつか指摘している。トラック運転手に独特の要因もあるが、いずれにしても無知や貧困が根本的な原因である可能性がある。
国境を越えた輸送業務に適用される規則や手続きについてよく知らない運転手は多い。競争力を上げるため、運転手が車両所有者から乗客や貨物を過剰に詰め込むことや、スピード違反を指示されているケースもある。
一方、運転手は所得が低いため、誘惑に負けて違法輸送や不法取引に関与してしまうことも多い。
しかし、嫌がらせの最大の原因は、検問担当官が道路通行者から巻き上げる心づけだけを主な臨時収入源と認識していることにあると組合は指摘する。
組合は、こうした嫌がらせと闘うための方針や戦略を実施できずにきたことを認め、昨年6月のアクラの会合で問題解決のために実践的な方策を立てることを約束した。
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反撃

労組は、乗務前の準備を念入りにし、諸規則に関する認識を高め、幹線道路では支援体制を整えることで、運転手に対する嫌がらせを軽減していくことを決定した。
例えば、出発前に運転手がトラック、積荷、乗客に関する書類(特にECOWASの輸送許可、ワクチン証明書)が適切かどうか必ず確認するようにする。そうすれば、組合員に心づけの支払い要求に応じないよう指示することも容易になり、暴行を受けている同僚を目撃した場合は、自主的に助けるよう促すこともできる。
組合は可能であれば、こうした組合サービスを路上の車庫や国境地帯にも広げたいと考えている。そうすれば、運転手の認識を高め、被害に遭っている組合員を助け、必要であれば加害者の上官に報告することもできるだろう。組合は深刻な暴行事件が発生した場合、ITFや暴行を働いた警官の上官にも報告することを決定した。
政府もこの問題に対応し始めている。コートジボワールとブルキナファソの政府は、国際幹線道路沿いの検問の数を減らすための法案をこの2年間で通過させた。待ち時間を減らすため、入管と税関を国境を挟んだ向かいに設置することにした。
今やるべきことは、現在も継続中のITF・SASKプロジェクトに基づき、行われている国内の組合活動を利用して、オルガナイザー、職場代表、組合代表者を訓練し、国内外でトラック労働者が警官から嫌がらせを受けている場合に、お互いを助ける体制を築くことだ。
西アフリカの交通運輸労働者は、整備の進まないインフラ、車両の故障、高速道路につきものの強盗など、それでなくても多くの問題を抱えている。しかし、今、組合はこの産業が抱える最大の問題に取り組むため、正しいアプローチを選択し、その取り組みにより、運転手の生活が少しは楽になると信じている。
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運転手に対する嫌がらせ 組合にできること
運転手が必ず最新の書類を携帯するようにする
組合員に不法な心づけの支払いに応じないように指示する
組合の代表者を訓練し、認識を高めさせ、実質的な支援を行うためのスキルを身につけさせる
必要に応じて暴行を受けた仲間のために行動する
組合のサービスを車庫や国境まで拡大する
深刻な暴行事件については、ITFと加害者の上官にも報告する
良好な慣行があった場合にインセンティブを与えるよう政府を促す
認識強化と組合員援助のためのスキルを組合員につけさせる
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