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グローバルユニオン

2005年4〜6月 第19号
■コメント
 
“暴力は日常茶飯事”

アントニオ・フリッツは2004年9月に労働組合権の侵害について話し合うためにコロンビア大統領と会談した。しかし大統領の発言は彼を安心させるにはほど遠いものだった。数週間後に再び コロンビアを訪れたフリッツはこの国の組織労働者に対する侮辱を直接味わうことになる。

コロンビアは中米に位置する美しい国だ。人口は約3千万。さまざまな人種・民族が混在している。コロンビアの人々は優しく、陽気で、勤勉だ。
世界のマスコミ報道はこの国の習慣や多様性にではなく、貴重だがこの国には希薄な「人権」に焦点をあてたものが多い。
ここコロンビアでは、平和で自由に暮らすという基本的権利は暴力と脅迫の風潮の中で踏み躙られ、一般市民が各地の支配権をめぐって抗争を続ける武装グループの犠牲となっている。
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暗殺

組合活動家は特に暗殺のターゲットにされている。毎年、何百人もの活動家が虐殺されている。法の統治を確立し、労働者の利益を守り、子どもたちのために公正な未来を築きあげようと日々奮闘しているからだ。暗殺犯はほとんど捕まることがない。当局に捕まえる能力がないのか、ただ単に政治的意思が不足しているだけなのか、私には分からない。
昨年、コロンビアの労働組合はいつものように勇敢に立ち上がり、これ以上無辜の人々の血が流されることのないように、労働者階級の団結と闘争の意志を宣言すると同時に、国際労働界にSOSを送った。
私は彼らの訴えに応えるべく、他の活動家たちと共にボゴタ(コロンビアの首都)で開催された労組指導者の大会に出席した。
大会に参加した数十人の労働者の証言によると、労働組合活動家を狙った犯罪は罰せられることはなく、人権侵害は日常茶飯事だという。
われわれはコロンビアのウリベ大統領と会う機会を得た。大統領はわれわれを安心させるためか、次のように語った。
「何ら問題はない。暴力はいつものこと。ここ数年間の暗殺件数は減っている。たった200件なのだから心配する必要はない」われわれはこれを聞き、血が凍る思いをした。労働者100人、あるいは10人程度の殺害なら仕方がないとでもいうのか。
翌月、私は別の労働組合の要請を受け、再びコロンビアを訪れた。10月30日にエルドラド国際空港に到着し、入国手続きを行おうとすると、不思議なことに私の名前がデータベースに見当たらないと言われた。つい最近、コロンビアに入国しているにもかかわらずだ。
新しい情報システムに問題が発生しているためだと入管職員が冗談まじりに私に言ったのを覚えているが、その後、私は特別の列に並ばされ、その数分後には「“新システム”のせいで入国ビザが必要になった。ビザがなければ入国できない」と告げられた。びっくりした私は、メキシコ(私の国)とコロンビアの外交関係が断絶したのかと尋ねると、そうではなくて、私の場合にはビザが必要なのだという答えが返ってきた。
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秘密警察

私はその場で拘束され、空港内のDAS(コロンビア秘密警察)事務所に連れて行かれた。そこで警官が「前回の入国の目的は何だ?」と尋ねてきた。私が労組指導者主催の会議に出席するためだったと答えると、警官は「組合の活動家だな。だからビザが必要なんだ」と強い口調で言い放った。
数時間待たされた後に告げられたのは、私にはコロンビアに入国する権利がなく、国外退去されるということだった。DAS長官が後日主張したように、一時ビザ申請の機会も与えられなかった。
私はこのような扱いを受けたことを屈辱的に感じたが、この国では何千人もの人々が、何の咎めを受けることのない犯罪の犠牲になっていることを思い出し、納得させられる思いがした。この時、何人かの私の友人も殺害の脅しを受け、出国を余儀なくされている。にもかかわらず、当局はこのような事態に対して驚くほど無関心だ。
当時、労働者代表であることを理由に国外退去させられるのは私だけだと思っていたが、そうではなかった。他労組の代表者にも同じことが起こっていたのだ。国際・地域労働団体の地域代表を含む合計44人の活動家が国外退去された。
ヨーロッパの組合の代表者の中には一時ビザ申請の機会を与えられた者もいたが、これはおそらく、彼らの国がコロンビアに国際協力や国際援助を実施しているからだろう。しかしコロンビアのサントス副大統領は労組活動家の国外退去は報復措置ではなく単なるミスだったと宣言している。
合法的な市民活動を支援するために、平和的にやって来た人々をどうして追い出すことができるのか?未だに理解に苦しむ。これからも人権のために闘うコロンビアの仲間たちを支援するために、できるだけのことをしていくつもりだ。
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アントニオ・ロドリゲス・フリッツは在リオ・デジャネイロ(ブラジル)のITF米州地域部長。
 
 
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