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2006年10〜12月 第25号 |
■運輸労組エイズと闘う |
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運輸労組エイズと闘う
今年の世界エイズデーはITFの新たな長期キャンペーンの開始を示すものとなろう。サィード・アシフ・アルタフ博士は運輸労組の関与を求める。
最初の事例が報告されてから25年経ち、HIV/エイズは世界の極めて大きな社会的かつ発展上の問題となってきた。この伝染病は強力で、毎秒5人が死亡している。しかしエイズは予防可能であるし治癒も可能である。病気の影響を減らすために労働組合の果たす役割は大きい。
交通運輸労働者は、長期にわたり家を離れることやその隔離された状況、時に極めて厳しい労働環境のため、エイズに特に感染しやすく、他のどのグループより差別の対象になりがちである。特に幹線道路沿いでは交通運輸労働者はしばしばエイズ感染率上昇の責めを負い、非難を受けている。しかし、エイズに冒されやすいのはなにも個人の生活態度だけが原因というわけではない。多くの文化的・社会経済的・制度的な要素がかかわっているし、それらに左右されている。
組合員がエイズ感染を回避できるよう、既に感染している組合員なら治療と支援が受けられるよう、世界中の交通運輸労組は行動していかなければならない。我々はHIV/エイズを職場の問題として捉えなければならない。一つには労働者がその労働生活スタイルゆえ直接感染に曝されるためであるし、また一つには、病気が職を全うする能力に影響を与えるので、差別や、恐怖、悪化した健康状態から開放してやる必要があるためである。
もっと肯定的に表現すれば、職場が情報、予防、権利闘争の窓口になる大きな可能性を持っているがゆえに、HIV/エイズは職場の問題として捉えられる必要がある。
世界エイズデーは1988年以来毎年12月1日、エイズの世界的広がりにより地球規模の伝染病が生じてきている事実を知らせる記念日となってきている。
世界エイズデーは世界の人々にHIV/エイズとの闘いで団結する機会を与えるものである。ほとんど20年にわたりアフリカや南アジアの加盟団体との協力で推進されてきた能力育成やPRの活動で築かれてきたものの上に、かつ8月の南アフリカ、ダーバンのITF大会での支持に基づき、今年の世界エイズデーには「エイズ阻止、約束を守れ」のスローガンのもとでITF自身の拡大しつつあるグローバルキャンペーンを開始する予定である。
我々は全ての加盟組合に対し、当日のみでなく今後何ヵ月もまた何年にもわたってキャンペーンに加わっていくよう要請する。
142カ国に及ぶ600余の加盟組合の組織力を持ってすれば、予防、治療、職場の教宣プログラムの実施を助けつつ、全国レベル、国際レベルで政府に影響力を行使することにより、我々は多くの生命を助けることが可能となるだろう。 |
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世界エイズデーに何ができるのか?
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あなたの国のエイズ調整委員会が組織するプログラムに加わり積極的に活動して欲しい。 |
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組合、全国レベルで次のような活動を続けていって欲しい。
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HIV/エイズと闘う重要性について討議する特別執行委員会 |
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組合員を対象としたHIV/エイズの問題を知らせるための教宣活動 |
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エイズプログラムに組合が取り組む重要性についての討議セッション |
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労働者によるデモ(例えばトラック、バス、タクシー、船その他の乗り物を使った) |
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交通運輸労働者の家族が参加し彼らに情報が行渡るような特別な行事 |
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HIV/エイズと闘う組合員を助けるため活動内容を知らせる記者会見 |
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組合員とその家族に対する自主的で特別な相談・検査(VCT) |
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隣国の組合との連携によるよりひろい場での活動 |
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赤いリボン−エイズ問題への関心を示す国際的シンボル−をつけ、HIV/エイズへの関心と懸念を表し、人々に支援と関与を求めること |
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組合事務所や組合員の職場の見やすい戦略的な場所にITFのポスターとステッカーを貼ること |
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エイズ調査で交通運輸労働者への影響が明らかに
調査によれば、エイズは路面運輸労働者の中で最も広がっており、海運労働者がこれにつぐ。この数字はUNIAIDS と他の機関の数字とも一致する。多くのアフリカの国々とアジアの国の一部では、交通運輸労働者特に主要幹線道路の長距離運転手のエイズ罹患者の割合が一般国民に比べ高くなっている。
UNAIDS のグローバル・エイズ伝染最新情報は、モザンビークの状況に触れ次のように述べている:「国民の成人内におけるエイズ感染者はわずか二年の間に14%から16%に増加しているが、特に同国のマラウィ、南アフリカ、ジンバブエとつながる主要幹線道路を有する州においてエイズは最も早い広がりを見せている。」
南アフリカ医学研究審議会の研究によれば、クワズルナタール平原の長距離運転手の56%がHIV陽性となっている。同じ研究はニューキャッスルのトラックの一停留所で検査を受けた運転手のうち95%が陽性であったとも報告している。インドで実施された別の研究によれば、HIV 罹患率は同国全体では1%未満であるとはいえ、長距離運転手内の率は相当に高くなっている。
トランスポート・インターナショナルでは、今後分析が進めば、調査結果をすべて報告していく所存である。 |
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交通運輸業各部門別のHIV/エイズの影響
交通運輸部門 |
罹患が明確 (組合員中の%) |
罹患の始まり (同左) |
影響なし (同左) |
不明 (同左) |
船員 |
52 |
19 |
0 |
29 |
鉄道 |
67 |
5 |
9 |
19 |
路面運輸 |
63 |
19 |
9 |
9 |
港湾 |
50 |
18 |
7 |
25 |
航空 |
48 |
28 |
4 |
20 |
海運 |
47 |
6 |
0 |
47 |
内航 |
52 |
4 |
0 |
44 |
更に情報が必要なら、ITFのホームページwww.itfglobal.orgでHIV/AIDSをクリックのこと
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