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グローバルユニオン

2009年10〜12月 第37号
■旧態依然の経済危機
 
旧態依然

交通運輸産業は金融危機にどう対処しているか?
セーラ・フィンケによる国際交通運輸フォーラムからの特別報告。


交通運輸労組は、企業が昨年の景気後退から何らかの教訓を学んだと期待したかもしれないが、残念ながら、今年5月にライプチヒに集まったOECD諸国の産業界の重鎮は旧態依然としていたように思われる。
交通運輸フォーラムは、グローバルな景気低迷の中にある課題と危機を検討する、という高い目標を掲げて開催された。ここでもまた、労働組合は公共交通が再び重視されると期待するかもしれないが、不思議なことに、その話には触れられなかった。フォーラムで使われた「機会」という言葉は、「今後の規制緩和」と概ね同義語であった。
800人余りのフォーラム参加者からは、交通運輸産業における保護主義の再来を危惧する警告が発せられた。「さらなる規制緩和により、経済が恒久的に刺激される。そのためにも、国内市場を国際競争に開放しなければならない。その機会は、ほぼ全ての地域、全ての分野で残されている」というのがフォーラムの結論であった。
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社会的影響と近代化

本会議の傍ら、社会的な影響に関する会議も開かれたが、参加率も低く、基調講演者は次のように主張した。「そのような『近代化』のおかげで交通機関が途上国でも簡単に利用できるようになり、各国の生産者が製品をグローバル市場へ放出することができるようになったため、経済成長の機会も開かれた。基本的には交易と交通運輸産業は良いものであり、自由競争をよしとする正統派の考えが依然として根強い」
交通運輸産業の労働組合としてITFは運賃が余りにも低く抑えられており、運賃設定の際には社会的および環境的外部コストが考慮されるべきだ、と述べた。しかし、会社も、そして時には政府ですら、運賃の低下と、究極的には一般市民への悪影響を招く規制緩和に依然として捕らわれすぎてしまっている。
しかし、それとは異なる意見もあった。ドイツのITF加盟組合、ヴェルディのアンドレア・コクシスは、労働者の基本的権利を軽視する使用者に対応するためには、国際的な労働基準の設置しかない、と力強く訴えた。また、先進国における過剰消費の危険性を指摘し、「今こそ償いをするべき時だ」と述べたのはオーストリアのNGO、ATTACのクリスチャン・ファーバーだけだった。国際労働機関(ILO)のジョージ・ドラグニッヒ社会対話総局長も、労働者の声に耳を傾けるべきであり、労働者が経済危機の状況下で公正に処遇されるべきであると述べたが、こうした意見は少数意見だった。
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インフラと環境

より安価で、結果も短期間に見えやすい景気刺激策、特に既存インフラの保守や改良などの方が、雇用を急速に創出し、積み残されたインフラ保守の仕事も片付くことから好まれるが、景気低迷の中での交通運輸インフラに対しては投資がなされるべきだというのが一般的な考えであることは明らかだった。また、非正規雇用や訓練への投資を行う方が、解雇手当を支払うより戦術として優れていることにも参加者は合意した。
毎年行われるこの交通運輸フォーラムでは、交通運輸労働者は運輸産業にとって重要な存在とみなされていないが、フォーラムに出席する使用者や各国の大臣、学識者の意見を聞くことで、交運労働者が今直面している、また今後直面するであろう動向や課題がよく分かる。
重要なことだが、経済危機よりも環境問題について、ずっと多くの時間が割かれた。グローバル交通運輸会社は、再投資や近代化のため、グローバル経済危機を自らの強みとして描くためにしのぎを削っていた。
グローバル運送会社、TNTのピーター・バッカーCEOは、完全に電子化する最初の企業を目指すと述べた。世界中の海運会社の業界団体、国際海運会議所は、原子力エネルギーの利用により、排ガスゼロ船舶の時代が来ると予測している。一方、フォーラムに参加した大臣の頭の中は、間もなく行われるコペンハーゲン・サミットのことで一杯に違いなかった。景気は上下するかもしれないが、環境問題が消えてなくならないことは明らかだ。このことは、労働組合も覚えておく必要がある。
前向きな意見があったとすれば、それは米国のレイ・ラフッド運輸長官の発言だった。長官は、次のように述べた。「数世紀にわたり、人間は足、馬車、自転車、自動車、トラックを使って異動し、あらゆる種類の商品を売買してきた。このような商業活動ゆえに、地域の経済が活性化するだけでなく、村や町、また全体がつながれてきた。ともに努力をし、このような繋がりを強化していこう。交通機関を使って、国同士を平和と繁栄のためにつないでいこう」
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セーラ・フィンケはITF政策コーディネーター
ドイツの組合ヴェルディのアンドレア・コクシスは、国際労働基準の設置を求めた
国際運輸フォーラムの主な結論

■効率のよりグローバル運輸システムは景気回復において重要な役割を果たすだろう。
■交易と市場開放は世界の景気回復に重要である。保護主義的措置は持続可能な解決策ではない。
■交通運輸産業の回復は環境面からも持続可能でなければならない。
■交通運輸産業に長期的に多額の投資を確保することが必要だ。
■国際サプライチェーンは安全で信頼できるものでなければならない。
■各国大臣は国際レベルで協力を継続する決意を固めた。
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INDEX
船員の犯罪者扱い
声を上げるインド船員連盟
被雇用者自由選択法
米国の組合潰しと闘うAFL-CIO
旧態依然の経済危機
交通運輸フォーラムからの特別報告
気候変動
コペンハーゲンまでのカウントダウン
民間航空部会
創設60周年
暴力反対!
増加する職場での暴力に対する組合の対応
連帯の醸成
ITF加盟組織の国際的な相互支援活動
HIV/エイズと船員
HIV/エイズと闘う船員を支援する新プロジェクト
コチン港の闘い
コンテナターミナルの労働者の権利を守れ
一般
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勤労者生活:ノルウェー人漁船員アン・ジョルン・オルセン
論評:本号では・・・
 
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