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グローバルユニオン

2006年7〜9月 第24号
■グローバルな組織化へ−権利のための闘い−
 
グローバルな組織化へ−権利のための闘い−

南アフリカ共和国、ダーバンで開催される第41回大会のテーマは「グローバルな組織化へ:権利のための闘い」だ。このテーマはただ人目を引くだけのスローガンか?それとも、強力な国際的労働組合運動を築くための課題か?スチュワート・ハワードが問いかける。

近年行われたITF諸大会は、翌4年間のITF活動の焦点と方向を示す中心テーマを掲げてきた。これらのテーマは、急速なグローバリゼーションにどう対応するか、交通運輸労働者にどのような影響が及んでいるのか、この環境下でITFが労働者の利益を守る組合の能力強化に取るべき行動は何かを提起してきた。
効果的な組合組織であるために組合間の国際連携がかつてなく重要になっているのは明らかだが、新しい活動方法も必要となっている。1998年デリー大会の中心テーマであった「連帯の動員」プログラムは、ITFと加盟組合の間に、より柔軟な意思疎通のシステムを作り、より堅密な交流を築き始めた。
ここから、多くのITFの国際キャンペーンが始まり、ITFのサマースクールで教育活動の焦点がグローバル化への挑戦へと変わってきた。更に重要なことは、国際問題が次第に各国組合の検討課題として「主流化」してきたことにある。加盟組合はより意識的に国際キャンペーンを展開し、主要争議においてより組織的な国際支援の有効性を試し始めた。
これによって今度は、より多くの組合員が国際活動の能力や可能性について認識することが求められてきた。このいくつかは、ITFの国際キャンペーンを通して達成されている。何千人もの路面運輸労働者が国境通過地での活動や、例年のITF国際路面行動日のその他の動員に参加している。
国際支援は主要争議で新たな局面をもたらした。例えば、90年代後半では、オーストラリアのパトリック・スティブドアー、米国のUPS、英国の英国航空とLSGスカイシェフ、近年では英国のゲートグルメ争議である。また、欧州港湾労組によるEUの港湾規制緩和の試みの打破という成功をもたらした。DHL、UPS、TNTのような世界的運輸企業が企業合併や売却を図る際には、それらの組合代表は戦略を調整してきた。
しかし、国際活動のこのような急激な高まりの背景には、規制緩和、自由化、大規模な雇用喪失、絶え間なき労働組合権への攻撃がある。そのため、世界中の組合が組合員の大幅な減少と影響力低下を経験している。
経済力はあるが、一定程度の産業空洞化が進んでいる欧州や北米諸国、およびオーストラリアでは、組合影響力の劇的低下が痛感されている。これらの国の組合、特に製造業部門で「海外移転」に直面している組合は、組合の臨終局面に直面しているかのように感じている。これらの組合の幾つかは、新たな優先課題として組織化を全組合活動の最前線に据えはじめている。
現在、多くの地域の発展途上国労組が同様の挑戦に立ち向かっている。かつて大規模な国営企業を交渉相手にしていた組合が、代わりに民間企業と向き合っている。それも小規模な下請業者を利用し、影響力を持つ組合を弱体化もしくは潰す決意をしている企業が多い。
グローバル化がより多くの国の様々な職場に影響を及ぼすにつれ、ほとんどの組合は国際的な組合ネットワークへの参加に関心を寄せてきている。積極的な組織化戦略を持つこれらの組合は、これらの優先事項追求のため、しばしば他の活動分野を縮小しているが、国際活動は縮小ではなく拡大していることに気付かされる。ほとんどの産業でグローバル化への配慮なしに効果的な組合組織化戦略を持てないことが良く理解されている。
交通運輸産業では、グローバル化が近年特に強まってきている。以前の「トランスポート・インターナショナル」記事で指摘したが、特に国際貨物産業においてグローバル・ロジスティックスの出現を目の当たりにしている。地球全体に広がった組み立てラインを通して製品生産を行っている多国籍企業は、世界中の製品の動きに全く新しい要求を生み出してきている。これらの企業は、多数の国から部品を調達し、細かく決められたジャスト・イン・タイム輸送システムを活用して、グローバルなサプライ・チェーンを運営している。現在、産業アナリストの間ではロジスティックスが今日の世界経済での戦略産業であるということは常識化している。
しかし、ロジスティックス産業は、様々な障害に対して極端な弱さを持つ。4年前のアメリカ西海岸での港湾争議は、数千人の港湾労働者を巻き込んだロック・アウトが、米国だけでなくアジア全体においてどれほど工場生産や小売流通業を混乱させるかを証明した。他の交通運輸産業にドミノ効果を起してきたが、グローバル化とジャスト・イン・タイム輸送システムでこれが更に大規模に拡大されている。企業はこれらの脆弱性に極めて神経質になっており、リスク管理の戦略作りに必死に取り組んでいる。
自分たちが特に強力になっていると感じている組合はほとんどない。しかしながら、実際、サプライ・チェーンに関して企業がより神経質になっているため、この部門の組合組織を弱めるためにあらゆる手段を講じてくるものと予期される。
ほとんどの組合の現実は交通運輸労働者が労働条件切り下げや雇用の不安定化へのより一層の圧力に直面していることである。しかし、世界経済は現在、繊細でグローバルな交通運輸・配送システムに依存していることもまた事実である。この産業は成長しており、今後も成長し続けるであろう。交通運輸産業は依然として比較的、組織率の高い部門である。この状況の中から組合は交渉力に新たな梃子を獲得出来るのだろうか?
「グローバルな組織化へ」というテーマは、組合の交渉力強化にロジスティックス産業の戦略的役割を利用することに焦点を当てている。戦略として、これには組合のアプローチを国際協調へと変化させることを求めている。各国の労組が現在採用している組織化戦略を参考とし、それらがより効果的な国際組合組織を構築するために活用できるかどうかが試みられている。「グローバルな組織化へ」とは、加盟組合がグローバルな運輸・配送システムを地図化し、世界的に戦略上重要なポイントや過程を明確化し、合意された戦略的標的(囲み記事参照)に対する組織化戦略を展開することである。
我々は、ITFとその加盟組合が双方ともグローバル化という新たな現実に適応する必要があると信ずる。目標は比較的はっきりしている。しかし目標達成までの道筋はそれほど明らかではない。組合、そしてITF自身も、その機構を再検討する必要があるかもしれない。港湾労働者、トラック運転手、船員、鉄道労働者の区分けは、輸送手段を超える必要性を持つ組合戦略の障害となるかもしれない。
製品の動きを管理する情報技術の重要性は、倉庫労働者、ディスパッチャー、情報技術労働者などの新しいグループの労働者の組織化の必要性を示している。産業と産業の境目がぼやけるにつれ、組合は非生産的で破壊的な競争回避に目を向ける必要がある。例えば、経営側が相互に統合している郵便と交通運輸の組合がそうである。
組合の連帯が、我々の戦略の基本でなければならない。ITFは、ITF活動にこれまで以上のものを求め、かつ、自らもより多くを提供してくる加盟組合と緊密な関係を築いていく必要がある。この果実は大きい。
世界経済の最も効果的かつグローバルに組織化された最も戦略的な産業分野で働く労働者に我々はなれるのか?
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スチュワート・ハワードはITFの書記次長。
「グローバルな組織化」とは何か?

現在、グローバルな生産活動がグローバルな配送システムによって動いていることを理解すれば、組合がこのシステムに注目し、その戦略上のポイントを明確化するのは理に適っている。
DHL、UPS、マ−スクのような真に世界的な複合運輸企業の諸組合には、独自のグローバルな連携が必要とされている。
香港は世界最大のコンテナ港である。そのため、世界の貨物配送システムで主要なハブ港となっている。しかし、香港には、労働組合がほとんど存在しない。
石油産業が多大な利益を生み出しているにもかかわらず、石油タンクローリーの運転手はしばしば組合もなく、低賃金で働いている。この戦略上重要な産業において、運輸労働者と石油生産労働者はより緊密な活動を行うべきではないだろうか?
旅客輸送の主要な多国籍企業は現在、多くの国で地方と全国的なサービスを提供している。これらの企業は世界的な航路ネットワークを通して国際的に活動している。これらの同じ企業内、同じネットワーク内で組合はどれほど協力しているだろうか?組合は、都市部や地方の生活の中の旅客輸送の重要な役割について、幅広い議論をおこしているだろうか?
我々の組合は伝統的に、トラック運転手、港湾労働者、鉄道労働者などの固有グループの労働者を組織してきた。変わりゆく産業の中で、我々が組織化の対象としてこなかった新しいグループの労働者はいないだろうか?我々の組合に、この新しいグループの労働者の組織化に必要な機構と準備はできているだろうか?
「グローバルな組織化」は、これらの戦略上重要な標的領域で組合に組織強化優先に資源を注ぎ込むことを求めている。
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地図なしでは、行き先不明

特定の企業もしくは産業で、労働者を組織する戦略作りをする組合は、自らの組合の強さがどこにあるのかを知る必要がある。また、その短所を知ることも、同様に重要なことである。TNTのような世界的な企業で強固な労働組合が存在する職場はどこなのか?主要なハブ港でほとんどもしくはまったく組合が存在しないのはどこか?
ITFが、特定企業のグローバルなネットワーク、特定の運輸形態、または運輸のハブ拠点への戦略展開を図るとき、加盟組合がどこを組織しているのかも把握する必要がある。
このような情報の取得は、組合組織の「地図化」として知られている。ITFにとってこの作業は見かけほど簡単ではない。現在までITFは、加盟組合がどこの企業を組織しているか、または団体協約を結んでいるかの詳細な情報を求めてこなかった。
組合員をどこの企業で組織しているかを尋ねるアンケートへの回答は、あまりに少ない。多忙な組合代表にとって、ITFの調査表を埋めることは一日の仕事の中で最重要事項とはなり得ない。では、我々は何をするか?まず、はじめに、アンケートを記入し易い、簡単なものにする必要がある。多くの質問を並べず、比較的容易なものにすべきで、非常に詳細な回答を求めるべきではない。ほとんどの質問でボックスにチェックをするか数字を入れるだけで回答できるようにすべきだ。加盟組合が立て続けにアンケートを求められるようでもよくない。
ITFはまた、コンピューター上でアンケートに回答できるようなソフトウェアを開発すべきであり、組合が出来るだけ早くアンケート結果を受け取れるようにすべきである。最後に、加盟組合になぜこのアンケートが重要であるのか、何に使用されるのかを説明するための情報活動が必要である。
ITFは、手始めに、グローバルな一大マッピング運動から開始する必要があるかもしれない。大会後1年目に最も緊急なマッピング調査を実施するためには、関連する活動が必要とされる。一致協力した努力が必要とされよう。このデータの回収には、よき協力とこれが何のためかの強い目的意識が求められる。いつものことだが、ITFは加盟組合に依拠しているのである。
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