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グローバルユニオン

2006年7〜9月 第24号
■労働組合の教育活動
 
労働組合の教育活動

ITFの教育戦略がいかに加盟組織の課題に対応しているかをクリスチン・セボワ・アスコットが説明する。

ITFの「連帯の動員」方針も「連帯のグローバル化」方針も、グローバル化への対応手段として教育活動の重要性を指摘している。
ITFの教育活動は、先進国および途上国の交通運輸労働者が直面している経済・産業動向に焦点をあてており、業界の変化を分析し、労働者の権利を守るための合同のアプローチを構築すると同時に、新自由主義的な産業再編に対する代替案を提唱することをその戦略としている。
ITFの教育活動を効果的なものにするためには、加盟組織ごとに異なる、さまざまな教育アプローチの存在を常に忘れてはならない。教育活動にしっかりと予算をあてている組合と、活動が全く不足している組合とではアプローチの仕方に大きな違いがあるかららだ。
教育活動を組合活動の中心に位置づけ、組織化や交渉に不可欠な存在ととらえている組合もあれば、職業安全衛生、職場代表の研修といった狭い観点でとらえている組合もある。
全国、地域、支部レベルの調整機関まで置いているか、あるいは、教育政策の立案・実施を担当するコーディネーターがいるだけなのかを、組合の予算やコミットメントの違いが決めている。また、最大15%の予算が教育活動にあてられている組合もあるようだが、この最大15%の使い道に関しては決定権を与えられていない教育担当者が実に多い。
近年、組合の予算や組織体制にかかわらず、教育活動は一般的に減少傾向にある。多くの組合がグローバル化に伴う業界再編や人員削減の影響を最小限に止めようと必死になっている。この極めて重要な戦いの最中に、教育活動のために時間を割くことができたとしても、グローバルな問題を組合員に的確に説明するのは難しいと感じている組合もある。
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障害を乗り越えて

しかし、人的および金銭的な資源不足を克服し、地域、国際レベルの問題を教育活動に取り入れている組合は多い。ITFは国際問題に関するセミナーを開催したり、情報・資料を提供したりすることで、これらの組合の取り組みを支援している。
また、一般組合員の中から教育者を養成したり、労働関係のNGOと協力したりするなどの工夫を取り入れている組合を支援することで、加盟組合の自助努力も奨励している。全ての教育プログラムを労働研究所に依頼しているバングラデシュ鉄道従業員連盟(BREL)はその一例だ。ナショナルセンターが加盟組織の教育活動を直接、担うこともできる。タンザニア通信運輸労組(CTWUT)はグローバル化に関する教育活動をナショナルセンターにまかせている。
使用者側との合意の下に、組合の研修に有給で参加できるようにするなど、使用者側の協力を得ている組合もある。
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ニーズにあったプログラムの開発

教育活動をナショナルセンターの政策課題と関連付けている組合もある。例えば、南アフリカ運輸合同労組(SATAWU)は、南アフリカ最大のナショナルセンター、南アフリカ労働組合会議(COSATU)と共同で「教育プログラムの柱」を策定しているほか、プログラム(リーダーシップ開発、政治問題、キャンペーン、職場代表教育を含む)の実施に関しても、COSATUと関係のある労働者教育訓練研究所(Ditsela)と共同実施している。
組合の教育活動を実用的なものとするために、大学と連携して、組合の教育コースを資格取得の認定コースとしたり、不安定な労働市場で生き残れるよう、実務的な技術訓練を提供したりしている組合もある。また、より大勢の組合員が参加できるよう、オンライン教育に力を入れている組合もある。
特定の教育活動、特に国際に関する教育活動の財源を外部団体に求めている組合も多い。特別なテーマに関する講演を外部の専門家に依頼している組合もある。
組合の教育者は一般的に、グループ活動やグループ・ディスカッションを中心とする「参加型アプローチ」を支持しているが、実際には、退屈で、情報吸収量も少なく、活発な議論を生み出さない「講義型アプローチ」が依然として多くの組合に採用されている。
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ローカルからグローバルへ

多くの組合に共通する課題として、組合の教育活動への有給参加が挙げられる。反労組の多国籍企業による企業買収が増える中で、このことがますます問題になっているといくつかの組合が報告している。
この問題を克服するために、昼休みや週末、あるいは有給休暇を利用して組合員が教育活動に参加できるように配慮している組合もある。もちろん、組合員がこれらの活動を有意義で重要なものだと感じなければ、わざわざ自由な時間を使ってまで参加しようとは思わないだろう。また、たとえ活動の重要性が理解されたとしても、家事や家族の世話などの理由から、女性の参加が限られてしまうこともある。
ローカルな問題とグローバルな問題の関連性を組合員に理解させ、参加意欲を高めるのは容易ではない。しかし、ITFの教育活動は参加型アプローチに基づいており、自分が世界のどこに位置しているのかを把握できるように構成されている。
まずは、職場やコミュニティーにおける日々の体験から始め、次にグローバルな生産システムにおける輸送チェーンの中で自分たちが果たしている役割に目を向け、さらに、他の交通運輸労働者との関係や、使用者や政府の決定がこれらにどのような影響を与えるかなどを考えてもらうのだ。
世界的な雇用構造や雇用関係の変化を理解することで、新たな現実、例えばインフォーマル(非正規)労働者の問題に目を向けてもらうのが狙いだ。組合は通常、インフォーマル労働者を脅威、あるいは自分たちに何の利益ももたらさない存在とみなしているが、インフォーマル労働者が自分たちの生存のカギとなるかもしれないことを理解した時に初めて、次の段階、つまりインフォーマル労働者の教育や組織化に移ることができる。
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今後に向けて

ITFにとって重要なのは、加盟組合の教育戦略の実施、特にグローバル化と労働者の影響などの問題を組合員や幹部に提起するのを支援することだ。ITFサマースクールはそのための重要な教育行事の一つで、世界中の活動家や組合指導者が参集し、共通問題を議論する場となっている。全地域で開催しているITF産別セミナーも、加盟組合が同様のセミナーを国内で開催するのに役に立つ。グローバル化に関するITFの教宣資料も、ITFの国際行動日やキャンペーン、産業政策、組織化などに教育的側面を盛り込ませるのに有益だ。
2005年10月にヨハネスブルクで開催された教育者セミナーで、ITF教育者ネットワークの構築と、加盟組合が共同で利用できるデータベースの開発が提案された。ITF教育部は現在、ITFホームページ(www.itfglobal.org)のパスワードで保護された部分、「ITFリンク」を利用して、ITFの教宣資料を提供している。加盟組合の教育者はオンライン登録をすれば、これらの教宣資料を閲覧できるほか、意見交換もできるようになっている。今後は加盟組合が行っている、ナショナルセンター、労働団体、教育機関との協力事業も活用していく。
教育はダイナミックなプロセスだ。全く新しい要求が組織に突き付けられることもある。教育活動への参加をきっかけに、これまで埋もれていた組合員が国内、国際の場で声を上げるようになるかもしれないし、教育活動で自信をつけた組合員が国際連帯行動や国際キャンペーンを開始することになるかもしれない。教育活動で高まった機運を真剣かつ前向きに考慮し、国内組織や国際産別組織(GUF)の民主的プロセスを通じて、これをしっかりと活かしていくことが重要だ。このようにしてこそ、教育活動で「グローバルな組織化」を強化することができるのだ。
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クリスチン・セボワ・アスコットはITF教育部アシスタント
組合の教育活動
教育者の意見


年間予算の25%を教育に費やしている。もっとも、財政状況により教育予算を他の臨時費用にあてなければならないこともあるが。
昨年、運転手のためのセミナーを実施し、専門家にグローバル化に関する講義をしてもらった。ILOや、ナショナルセンターのタンザニア労働組合同盟(TUCT)の協力を得て、グローバル化に関する教宣資料も製作、配布している。
また、姉妹組織とはワークショップ、セミナー、キャンペーンなどの際に、お互いを招聘し合うことにしている。意見や経験を分かち合い、問題解決や課題への対応に役立てることが狙いだ。
問題は、情報伝達が遅いように思われることだ。資金不足が原因だ。

タンザニア通信運輸労組(CTWUT)教育担当者
ジュリアナ・ムパンドゥジ

グローバル化やITFのような国際産別組織(GUF)の活動がわれわれの教育活動に与える影響がますます大きくなっている。わが組合は「ロジスティクスのグローバル化」などの産別コースを実施しているほか、最近は、本部役員を対象とする初の国際セミナーを開催した。ITF、国際食品労連(IUF)、国際自由労連(ICFTU)、欧州労連(ETUC)もわれわれの教育活動に関与している。最近、通常の教育活動の一環として、「グローバルな職場で勝利を収める」と題するコースを開始した。

運輸一般労組(TGWU、英国)教育部長
ジョン・フィッシャー

われわれの教育活動は組合員にEUの交通運輸政策や欧州運輸労連(ETF)の政治的立場を知らせる役目を果たしている。組合員がグローバル化に関する全ての問題を理解するのはほぼ不可能だが、欧州の政策に関しては、状況は悪くない。フリードリッヒ・エーベルト財団の支援を受けて、あるいはナショナルセンターのLIGAやETFと合同で、教育活動を実施してきたおかげだ。

ハンガリー鉄道労組(HRWU)副委員長
ジョージー・バラ

よく言われていることだが、先進国の援助縮小と途上国の教育ニーズの拡大という矛盾に目を向けることが重要だ。教育活動は組織、特に合併を経験した組合が発展するための活力源だ。変化し続ける状況の中で組織を再生させる唯一の手段でもある。問題は、この課題をどこまで実行に移せるかだ。

南アフリカ運輸合同労組(SATAWU)全国教育コーディネーター
モジャレファ・ムシ

質の高い教育活動を労使協議会委員や職場代表に実施することで、オピニオンリーダーを組合活動に深く関与させることに成功している。つまり、組合の政策目標を追求する上で必要な、ハイレベルで質の高いサポートを確保できている。
教育活動のおかげで重要課題に対する組合員の理解は深まった。しかし、大多数の人にとって、身の回りの問題を超えて、視野を大きく持つことは容易ではないようだ。

オーストリア鉄道労組(GdEO)教育部長
ガンター・スレザック
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新たな課題

ITFの教育活動は大きく変化した。以前は途上国の組合のみを対象に、主に基礎的な労組教育を実施するだけだったが、現在は交通運輸産業の世界的な再編、各部会の優先課題、組織化、小地域・地域・世界レベルにおける分析やキャンペーン能力の問題などを扱っている。対象も先進国と途上国の両方だ。
今後4年間、ITFの教育活動は世界規模の組織化戦略目標の達成(以下の活動を含む)に焦点をあてていく。

新組織化戦略に関する教宣資料の作成とセミナー、ワークショップ、研修の実施。
国際連帯の重要性と国際連帯が国内の組織化で果たす役割に関する、幹部と一般組合員の意識啓発
交通運輸産業における世界規模の再編を分析・検討する教宣資料の開発(新自由主義的な交通運輸再編政策への代替案の策定を含む)
戦略的なキャンペーン、ネットワーキング、連絡調整に関する能力・技術強化
ITFや加盟組織の活動における、女性や弱い立場の交通運輸労働者の参加奨励と、全ITF活動における女性参加率30%の達成
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