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2006年7〜9月 第24号
■インフォーマル(非正規)労働者の組織化
 
インフォーマル(非正規)労働者の組織化

ITFは現在、インフォーマル労働者の組織化に伴う諸課題を分析する研究を実施している。インフォーマル労働者の組織化を検討している組合には参考になるだろう。ここでは、研究コーディネーターのクリス・ボナーがこの研究の予備報告を行う。本誌が発行される頃にはこの研究も最終段階を迎えている予定。

世界の労働者の大半がインフォーマル、あるいは非標準型の雇用契約の下で働いている。このことは特に途上国や女性労働者にあてはまる。インフォーマルの雇用は増加傾向にあり、権利や保護をほとんど、あるいは全く享受しない労働者が増えている。
インフォーマルの雇用を定義するのは簡単ではない。ILOの最新の定義も実に幅広く、自営と被雇用の両方が含まれ、しっかりした雇用契約や労働条件、権利、社会的保護が存在しない雇用としている。インフォーマルや保護の程度も実にさまざまで、多種多様な雇用契約が存在する。
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新たな事業者

途上国では、民営化、規制緩和、都市化、失業、貧困によって、インフォーマルのタクシー産業(ミニバス、バス、バイク、人力車、原動機付軽三輪車のほか、生存のためのさまざまな関連仕事を含む)が急速に発展している。
貨物輸送の分野では、インフォーマルのトラック事業者が増えており、正式な雇用契約や労働条件を定めずに、外国人労働者などを雇っている。自営労働者や偽りの雇用形態の労働者も大勢いる。彼らはゴミを運んだり、荷物を運んだり、タイヤを直したり、石油を売ったりして、何とか生き延びている。
女性には特に非正規型の雇用形態が多く見られる。ロジスティクスの事務部門、コールセンター、クルーズ船などのパートタイム労働者や契約労働者がその例だ。これらの雇用はインフォーマルである場合とそうでない場合とがある。インフォーマル雇用の場合、低賃金層にいる女性は、乗客への食事販売、清掃、水産加工、石油販売など、補助的な仕事についていることが多い。
交通運輸産業のインフォーマル労働者は他産業のインフォーマル労働者と同じような問題、ニーズを抱えている。彼らは労働法や社会法の保護の対象外で、声を上げてくれる代表組織もほとんど存在せず、組織化も非常に弱い。雇用不安、低賃金、ハラスメント(嫌がらせ)、汚職、貧弱な施設環境、訓練機会の欠如など、多数の問題を抱えている。
しかし今日、インフォーマル労働者の組織化に力を入れる交通運輸労組が増えている。インフォーマル労働者を直接、組合員として加入させたり、既存の交通運輸労働者団体を組合に吸収したり、あるいは支援を提供したりなど、さまざまな形態の組織化が試されている。
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課題と戦略

インフォーマル労働者を組合に加入させ、留めておくことは、重要課題の一つだ。彼らは移動が多く、自由な時間も少ないし、組合に対する関心も低い。オルガナイザーも彼らの組織化に慣れていない。克服すべき問題はたくさんある。組合は自ら置かれた状況に応じて戦略を立てているようだが、苦戦を強いられているようだ。
最大の課題は財源だ。インフォーマル労働者の組織化に本腰を入れられない組合が多いのは、彼らからの組合費収入は低く、不安定だからだ。それでもなお、組織化を継続するために、収入不足を補うためのさまざまな戦略がとられている。例えば・・・
正規組合員からの内部補助(財政基盤が強い組合の場合)
継続的な連帯基金の運営
政府、NGO、開発団体とのパートナーシップ
残念ながら、これらの戦略がどの程度成功しているかに関しては、情報はほとんどない。
インフォーマル労働者を組織化しようとする組合は、ビジネス”関連のアドバイスやスキルを提供したり、協同組合を運営したり、種々の社会保護サービスを提供したりするなど、従来の活動範囲を超えて、さまざまな問題に対応していく必要がある。そのためには、思考回路の転換が求められることも多い。しかし、彼らのための苦情処理、団体交渉、強力な他団体との連携等の経験は、組織化の強力な基盤を築くことになるだろう。
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途上国の4つの事例研究に焦点をあてた、クリス・ボナーの報告書を希望する人はeducation@itf.org.ukまで。
ITFのホームページ(www.itfglobal.org)からもダウンロードできる。
より詳しい情報はwww.itfglobal.org/education/global.cfm//infまで。
フィリピン全国交通運輸労組(NTU)

事例研究から抜粋
クラレンス・パスカル著

フィリピンの陸上輸送は大部分がインフォーマルだ。近年、ライトレール鉄道やバスが根付いてきたが、最も普及している交通手段は、有名なジープニー(小型乗り合い自動車)、自動三輪タクシー、輪タクだ。
インフォーマルの交通運輸労働者は比較的若い。体力が要求されるからだ。学歴も低いのが特徴だ。毎日、長時間労働で、週6〜7日、働くのが普通だ。車両の数が増えているため、収入が減り、家族を養うために労働時間を増やす者が多い。
しかし、彼らのこういった努力も実を結ばないことが多い。インフォーマルの交通運輸労働者は労働者の中でも最も所得が低い部類に入る。彼らの労働条件や生活状況は悲惨だ。赤道付近の灼熱の太陽の下で、あるいは、雨にさらされながら、あるいは、警察や犯罪組織の脅しを受けながら、毎日長時間、必死の思いで働いている。
近代化の名の下に開発が行われる際は、大気を汚染する目障りな存在として脇道に追いやられる。社会保障、健康保険、年金などは夢物語だ。彼らのためにこうしたサービスを開始した運転手団体も若干存在するが、まだ始まったばかりだ。

増えるインフォーマル労働者

インフォーマル労働者の増加―国家の発展の失敗の結果であり、これがまた彼らの労働条件に下方圧力をかけている−によって、彼らの組織化が急務になっている。交通運輸労働者に共通の関心事は、特定のルートの独占をいかに保つかで、そのために、当局にロビー活動をして、新規事業免許の発行を阻止したり、新ルートの開発に熱心な運転手が自分たちの縄張りを荒らすのを阻止したりする。
フィリピン全国交通運輸労組(NTU)は、交通運輸関係のあらゆる労働者団体に加盟を開放している。実際、ほとんどの加盟組織が各地の運転手協会や事業者団体の連合体だ。
NTUは日々の活動を支えるために、加盟組織から毎月、一人あたり2ペソの組合費を徴収している。この他にも外国や地域の労働者団体や財団からも資金援助を受けている。
NTUの組織化の手法は、都市や州のレベルで交通運輸労組の連合体を形成させ、それらをNTUに加盟させるというものだ。NTUは個々の運転手や事業者を組織することはしない。彼らのほとんどが何らかの共同体に属しているからだ。
公聴会や会議などを通じた利益代表も行っている。また、法律や行政問題に関して、政府に対するロビー活動を実施したり、集団行動や政治的圧力活動(ストを含む)の調整を行ったりするほか、加盟組織への法的サービスの提供や、地方および全国レベルでの当局との交渉も行っている。
さらに、加盟組織のみならず、姉妹組織とも情報や戦略を共有し、交渉技術の向上や、交渉担当者や指導者の育成に努めている。意識啓発、女性の参加、一般組合員および幹部の技術力向上を目指した教育活動も盛んだ。

連帯

NTUは組合員を代表して、産別あるいは国際的な連帯活動に従事しているほか、課題や戦略ごとに国際労働組織や先進国・途上国の労働関連NGOやネットワークとも連携している。
2004年に交通運輸労組として正式に発足して以来、全国的なキャンペーンや、各加盟組織による地域行動を展開してきたおかげで、NTUの評判と信頼性は高まっている。
しかしながら、依然として問題は多い。加盟組織は地元の問題に目を奪われがちで、全国的な問題に関心が薄いため、加盟費の納入に消極的だ。
NTUの幹部の時間とエネルギーの大半は加盟費の管理に費やされる。全体の金額が大きいために、汚職や内部抗争の原因にもなりかねないことを考えれば、当然とも言える。
いろいろ問題はあるが、今日、NTUの存在は交通当局にも評価されている。国家政策立案者との対話にも定期的に加わっているし、地方の政策対話には各加盟組織が参加している。
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フィリピンとザンビアの事例研究の全文は、クリス・ボナーの報告書に掲載されている。報告書の入手はeducation@itf.org.ukまで。
われわれのために闘ってくれる組合がいたら・・・

私の名前はジェームズ・カロンガロンガ。現在、25歳。結婚して、2人の子供がいる。ザンビアのセナマ町で、月額3万クワッチャ(約8ドル)の家賃で二部屋の家に住んでいる。
バス3台を所有するムタレ氏に運転手として雇われている。朝4時に起き、夜8時まで働く。家に着くのは9頃だ。
月給は約25万クワッチャ。毎日の収入の15%は手数料として取られる。車掌も自分で雇わなければならない。車掌の給料は自分で決める。
乗客と雇い主の両方から虐待される。給料がわずかなので休む暇もない。病気になった時に治療を頼むのも友人だ。
われわれの労働条件向上のために闘ってくれる強い組合がいたらよいと思う。ノルマを果たすために長時間働き、ストレスを抱えている仲間がたくさんいる。
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ザンビア労働者教育協会(WEAZ)のマイク・チュングのケース・スタディーから抜粋
 
 
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