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グローバルユニオン
No.25/2011
■FOCキャンペーンの近況
 
ITF便宜置籍船キャンペーン

バルト諸国の船員が未払い賃金を確保

バルト海の10カ国で行われた行動週間中に、ITFの支援を受けた船員が多額の未払い賃金を回収した。9月27日から10月1日までの1週間に、ITF加盟組合のITFインスペクターは、デンマーク、エストニア、フィンランド、ドイツ、ラトビア、リトアニア、ノルウェー、ポーランド、ロシア、スウェーデン各国の船舶(258隻)を査察した。
査察は、Solidarnosc(ポーランド独立自主労組「連帯」)の全国海事部門が主導して行った。インスペクターは、乗船している船員の未払い賃金、212,955米ドルを確保した。未払い賃金に関する船員の苦情への対応に加え、インスペクター・チームは船内の状況を査察し、港湾労働者が担うべき仕事を、船員が行っていないかどうかも調べた。未払い賃金は、船員が行ったラッシングに対して、ある船主から支払われたものである。
ポーランドのグディニャ港のインスペクター、アンジェイ・コスシックは、次のようにコメントしている。「バルト海沿岸諸国で行動を起こすことが可能であることを示すことができた。多くの団体協約が締結され、船員の雇用条件を改善するための交渉も、いくつか始まった。未払い賃金も支払われ、従来、港湾労働者が行ってきた荷役などの作業に船員が着手することを阻止した。船員と港湾労働者が行動を調整すれば、双方に恩恵をもたらし得ることを、港湾当局と船主に示すことができた」
アジア太平洋地域の船員組合も同時期に行動週間を実施し、FOC船とサブスタンダード船を対象に査察を行った。この地域の行動週間には、ロシア、日本、韓国、台湾、フィリピンの加盟組合が参加した。
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遺棄船員、未払い賃金回収のため奮闘

スペインの港湾で遺棄された船員に、未払い賃金(98,000米ドル以上)が支払われた。船主は、帰国費用も支払うと約束した。
シエラレオネ船籍のイースタン・プラネット号に乗船していたグルジア人(1人)、ロシア人(3人)、ウクライナ人(12人)船員は、スペインのITF・コーディネーター、ジョセ・マニュエル・オルテガの支援を受けた後、8月31日に未払い賃金を受け取った。7月22日、管海官庁は、船舶の状況が基準を満たしていないとして船舶を捕捉し、船員はアルヘシラス港に取り残された。船舶の修理には1カ月程度かかり、その後、最終目的地であるコンゴのマタディ港に向け、出帆する予定だ。
船員は賃金が支払われるまで貨物の積み下ろしに協力することを拒否していたため、船主は乗組員の賃金を支払い、船舶には40トンの燃料と食料を積み込んだ。また船主は、船舶が最終目的地に到着するまで船上に残りたくない船員を帰国させることにも同意した。
コーディネーターのオルテガは、「42日間、船主から何の連絡もなかったが、ようやく問題は解決の方向に向かい、ハッピーエンドとなった」と述べた。
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ビルマ人船員エジプトで支援要請

ナプト・アル・イェメン3号がエジプトのスエズ港に船の修理のため寄港した際、ビルマ人機関長とセカンドエンジニアの賃金が支払われていないことが判明した。
2人はロンドンのITF本部に連絡した後、ポートサイド港のタラート・エルシファイ・インスペクターに連絡を取った。エルシファイ・インスペクターはイエメンを拠点とする船主、オーバーシーズ・シッピング社に連絡し、一週間で問題を解決するように要請し、それでも問題が解決されない場合は実力行使もあり得ると伝えた。
一週間後、船主がポートサイドのITF事務所を訪れ、未払い賃金76,021米ドルを支払った。
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遺棄船員、11万2千米ドルを回収

ITFの支援を受け、インドのコチ港に19ヶ月間遺棄されていたスリランカ人船員5人が112,277米ドルに上る未払い賃金の回収に成功した。
2008年8月、パナマ籍のタグボート「マラカス」号はエンジンの損傷の末、遺棄された。イランを拠点とする船主、タライハ・ジョノウブ・マリーン・サービス・貿易社は、海難救助信号に応答した船舶による乗組員10名の救出すら許可しなかった。
マラカス号は後に曳舟されコチ港に入港した。港で5人の船員が賃金を支払われ、送還された。その後、ITFは残る5名を代表して闘いを続けた。最終的に、タグボートが競売にかけられた後、残る5名は未払い賃金とともに、6,849米ドルの未収金も回収し、2010年4月15日に本国に送還された。
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寒さに凍えるフィリピン人船員、ITFに支援を求める

2010年2月、ITFはパナマ船籍のゴルゴニーラ号に乗り組む18人のフィリピン人船員から、劣悪な船内の環境について連絡を受けた。同船はデンマークのシーフレックス社が管理していた。
1月にジブラルタルで乗船した直後に、乗組員らはこのケミカルタンカーの劣悪な状況に気づいた。乗組員は管理会社のシーフレックスに様々な船の欠陥について報告したが、デンマークのクルンドボルクへの航海を予定通り開始するよう命ぜられた。
最も大きな問題は、冬の欧州での航海にも関わらず暖房がないことだった。トイレも壊れていたし、エンジンルーム、デッキ、ブリッジにも問題があった。
2月に船がキール運河に入るや否や、エンジンが故障し、投錨の後、ドイツのブルンシュビュテル港まで曳航された。
ハンブルクを拠点とするITFインスペクター、ウルフ・クリスチャンセンからの情報提供により、PSC査察官が同船を訪船し、多数の重大な欠陥があるとして船を拘留した。クリスチャンセンITFインスペクターが同船を訪れた際、乗組員の居室の温度は摂氏マイナス6度だった。クリスチャンセンは直ちに港のドクターに連絡し、ドクターは乗組員全員が「任務遂行不可」と判定され、下船してブルンシュビュテル港のシーフェアラーズ・ミッションで10日ばかりを過ごした。
船主、船舶管理会社、クリスチャンセンITFインスペクター、デンマークのITFインスペクター、モーテン・バッハが厳しい交渉を長らく継続した後、船主の費用で送還される前に、乗組員は未収金の半分を現金で受け取った。残りの半分は後に、船員の銀行に送金された。回収された未払い賃金は合計59,066米ドルだった。
同船は結局、エジプトのポートサイド港を拠点とするオーシャンリンク・インターナショナル社に売却され、5月には修理のためロシアのカリーニングラードへ曳航された。
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日本の組合、敵対的会社に抗議

2010年7月、日本の港湾労働者と船員が組合敵対的な会社の本社前で抗議行動を展開した。東京の同和ライン本社前で行われた抗議デモには、全日本海員組合と全国港湾の組合員が参加した。日本所有のFOC船のほとんどがITF協約でカバーされているにも関わらず、同和ラインは主にパナマ籍の24隻のフリートについて、ITF協約の締結を頑なに拒否していた。両組合の組合員はまた、同社が、海員組合が配布したリーフレットを名誉棄損として同組合を訴えている事実にも不満を表明した。
ITFはこのデモに連帯のメッセージを送り、日本の組合の粘り強い闘いを称えた。「同和ラインの船舶に乗り組む船員たちの労働条件の改善に誠心誠意取り組まれてきましたが、同和ラインは交渉に応じるどころか、組合の合法的な行動を非難し、法廷に訴えています。実にゆゆしきことです」とITFは激励した。
この抗議デモは7月12.16日に行われた東アジアFOC/POCキャンペーン行動週間の一環でもあった。この一週間で、日本、韓国、ロシア、台湾の船員労組と港湾労組が計124隻を訪船し、多くの協約締結を果たし、また、地元の港湾労組との交渉に応じてこなかった港湾局を訪れた。
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未払い賃金回収まで頑として動かなかったグルジア人船員

2010年9月1日、賃金を支払われないままフランスのセントルイス・ドゥ・ローヌ港で2カ月にわたり、遺棄されていたグルジア人船員9名が母国へ送還された。
問題のイタリア所有のグルジア籍貨物船は、6月26日以来、セントルイス・ドゥ・ローヌ港に止まっており、9名の乗組員は、計99,000米ドルに上る半年分の賃金を受け取るまでは下船することを拒否した。
ITFは、乗組員らが未払い賃金の三分の一を回収するのを支援した。ITFインスペクターのアイブス・レイノードは「乗組員がフランスの港に入港したのはラッキーだった。様々な団体や市長を通じた連帯システムが機能しており、船に残った乗組員に水や基本的な日用品などを提供することができたからだ」と述べた。
同船は拘留され、今後競売にかけられる予定。
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3名の船員を強制送還から救う闘い

ITFは、FOC船の3名の乗組員に対する不公正な処分を回避するために行動したデンマークの当局を称賛した。
3人は、3人のパスポートを取り上げ、彼らと船舶を遺棄した船主の犠牲になったにすぎない。3名は危うく強制送還され、デンマークへの不法入国のかどで罰せられるところだった。前科がつけば、次の働き口を見つける機会も奪われる可能性が高かった。
しかし、2010年2月、3名に対する全ての罪状が取り下げられ、帰国が許可され、6か月に及ぶ苦難の時は終わった。ITFによると、3名は乗り組んでいた船舶が売却された暁には、未払いとなっていた4か月分の賃金を受け取れるという。
もともと、この3名は2009年8月に問題のセントビンセント籍のコモラント号に乗船したが、ドイツ人の船長兼船主にパスポートと全ての所持品を取り上げられ、下船ができなくなってしまった。その後、2009年12月にデンマークのフレデリックスバークで遺棄されたのだった。
ITFのジョン・ウィットロー船員部長は、「また船員が不当に犯罪者扱いされるところだった。デンマーク当局が賢明にも状況を見直し、船員の不当な扱いを防いだことは実に喜ばしい」と述べた。
賃金も支払われず、食料も電気もないまま、2名のガーナ人船員とロシアン人船員1名は地元の慈善団体やモーテン・バッハITFインスペクターの支援にすがるしかなかった。
バッハ・インスペクターは次のように述べた。「3人の船員はまるで囚人のように船内に囚われていた。挙句の果て、信じがたいことだが、船から逃げないように船長にパスポートを取り上げられたにも関わらず、デンマークへの不法入国の罪を危うく着せられるところだった。デンマーク当局の態度が軟化しなければ、3名は少なくとも一年間はデンマークの領海を航海することが禁じられ、欧州全域で犯罪者扱いされることになっただろう。そのようなことは全く許容しがたいことだった。そうした我々の主張が幸い通じたのだろう。デンマーク当局は今、良識ある行動を取っている」
ITFの話では、このコモラント号のケースは船員が不当に犯罪人扱いされる数々のケースの最近の一例に過ぎない。この前に起きたヘベイスピリット号の2人の船員のケースは海運界全体から厳しく批判された。
コモラント郷は1965年に建造され、ロストックのクラウス・ハーマンが所有している。
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クルーズ船ウェイター、障害給付を受け取る

バルパライソを拠点とするITFインスペクター、フアン・ルイス・ヴィラロン・ジョーンズは、勤務中に事故に遭ったクルーズ船の乗組員が配乗会社から何の支援も得られなかったというケースをいくつも扱ってきた。
あるケースでは、グランドミストラル号のウェイターが滑りやすいパントリーの床で滑って膝をひねってしまった。ウェイターはこれを防ぐためのゴムの靴を履いていなかった。船医は送還させてすぐに手術をするべきだと言った。ウェイターは帰国したが、配乗会社は全く頼りにならなかった。2カ月遅れで傷病手当を支払っただけだった。難しい手術であったため、ウェイターは別の医師のもとに送られたが、この段階で配乗会社は治療を止め、職場に戻るようウェイターに命じた。
ヴィラロン・ジョーンズは保険会社のP&Iに連絡し、この件に対処するよう求めた。ITFが要請を続けたため、P&Iはこのウェイターを別の医師のもとに送り、再度診断を受けられるようにした。医師は彼の職場復帰は不可能と診断した。
一方、配乗会社はウェイターに連絡を取り、ITFから今後も支援を受け続けるなら給付金の支払いを行わないと脅しをかけてきた。しかし、最終的に一年半後、ウェイターは本来受け取れるはずの障害補償金を全額受け取った。
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オランダ籍船乗組員の未払い賃金回収

2人のルーマニア人船員がカナダでITFの支援を受け、最終的にオランダ人の使用者から未払い賃金を回収し、ITFに謝辞を述べた。
オランダ籍、オランダ所有のフリンターストリーム号の一等航海士と一等機関士が、同船がカナダケベック州のコンレクール港に停泊中に、賃金がきちんと支払われていないとITFに連絡してきた。一等航海士3週間上陸していたが、最後の勤務月の給料を受け取っていなかったし、二等機関士は乗船中だったが、賃金の全額は支払われていなかった。
計7,476ユーロ(10,400米ドル)の賃金が不足していたのは、外国人がオランダで勤務し、オランダ政府に税金を納めるのには「納税者番号」が必要であるとする規則がオランダで新たに導入されたためだった。ITFインスペクターのパトリス・カロンの調べで、フリンターストリーム号の管理会社、シーコントラクターは上述の2名のための納税者番号を申請していたが、番号取得に8週間以上もかかっていた。
「シーコントラクターが納税者番号を取得した後、2人は未払い賃金の支払いを受けた」とカロンITFインスペクターは述べた。
ITFへの感謝の念を述べ、一等航海士は「我々船員には仲間がいると知って嬉しかった」と話した。
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賃金関係の問題がありませんか?

賃金はきちんと全額支払われていますか?もし支払われていないようなら、その会社が財政難である兆候かもしれません。加入する組合か、ITFに早急に連絡を取り、自分の賃金と雇用を守ってください。
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数字で見るFOCキャンペーン

2010年にITFインスペクターが訪船した船舶数は合計8,302隻。
32の船籍がFOCに指定されている。ITFが行った査察の殆どがFOC船に対して行われた。
2010年にITFのFOCキャンペーンによって、237万米ドルに上る船員の未払い賃金や補償が回収された。
ITFは世界49カ国の港湾に、135人のインスペクターを配置している。2009年から4カ国8人が新たに加わった。
2010年、ITF加盟の船員労組とFOC船に乗り組む乗組員は、4大陸32カ国で、ITFのキャンペーンを支持し、争議行為に参加した。
2010年、ITF協約船に乗り組む船員の数は288,575人となり、2009年から25,000人以上増えた。
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