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No.25/2011 |
■コンテナ輸送の安全 |
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コンテナはどの程度安全か?
ITF港湾部長
フランク・レイ
船員をはじめ、港湾、路面、鉄道労働者など交通運輸業界で働く労働者は、大体においてコンテナを扱う作業を行っている。近年、コンテナ事故に関する報道は増えているが、当然注意を向けるべきコンテナの安全性については、あまり取り上げられていない。ITFとその加盟組織は、交通運輸に関わる全ての人々に、コンテナの安全性を優先事項にするよう求めている。
コンテナは封印された箱なので、中に何が入っているか誰も見ることができない。従って、コンテナの中身がきちんと積付けられているか、固定されているか、重量はどれくらいかなどをチェックすることができない。
このような現状は、例えばコンテナを吊り上げたり、船舶に積み降ろししたり、または港湾から港湾へと海上輸送する交通運輸労働者に危険を及ぼす原因となり得る。
このことを踏まえ、船員や港湾労働者を代表する組合は、なぜコンテナに関する多くの規則や規定が当たり前のように無視され、実行されないかについて調査するようILOに要請している。
コンテナを規定する国際海事機関(IMO)の規則が尊重されていれば、組合は何ら心配する必要はない。
しかし、危険物や有害物質が申告されていないことが頻繁に起こっている。同様に、積荷目録では空であるはずのコンテナが、重量を計ってみると20トンを超えていたという事例もある。 |
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正確な重量
重量は大事な問題である。しかし、コンテナの実際の重量が、添付書類に記載されている数字と合致していない場合が多い。最大重量の限度を超えれば、コンテナが港湾で積み降ろされたり、船に積み重ねられたり、特に重いコンテナが軽いコンテナの上に重ねられたり、また船上のコンテナの総重量が積付け計画を超えたりした場合、特に危険である。
ITFは、コンテナの安全を確保するための行動を検討するため、交通運輸業界の主要な利害関係者と協力している。これらの利害関係者には、荷主、船会社、港湾・路面・鉄道の各事業者を代表する国際機関も含まれている。また国際労組運動とも緊密に連携している。なぜなら、我々労働組合は、コンテナの交通運輸チェーンにおいて最も弱い立場にいる労働者、つまり危険なコンテナ事故の犠牲になりかねない労働者を代表しているからだ。
コンテナの安全が軽視されていることは、コンテナ事故に関する包括的な統計がないことにも表れている。国内的にも国際的にも編纂されていないのだ。
入手できるものと言えば多くの事例証拠だけである。また、2008年に国際海事機関(IMO)が実施したコンテナによる危険物の海上輸送に関する調査で、コンテナの5パーセントに欠陥があることが明らかになった。驚くべきことに、このことは危険物が詰められた1万5千本もの欠陥コンテナが、常時、輸送されていることを意味する。 |
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調査結果
英国の運送会社が実施した最近の調査によると、IMOおよびILOガイドランに基づいて貨物を積付けた運送会社は僅か15パーセントだった。75パーセントは、これらのガイドラインがあることさえ知らなかった!
この調査結果は、多くの場合、コンテナへの貨物の積付けが、適切な訓練を受けず、しかるべき規則や規定があることも知らない人々によってなされているという憂慮すべき傾向を示している。
ITFが望むことは、コンテナの安全に関する規定を施行するための国内外の取り組み強化に加え、コンテナの積付けおよび移動に対する責任連鎖の明確化である。これによって、事故が発生した場合は、過失のある当事者に説明責任を問い、修理や補償費用を負わせることができる。 |
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コンテナ輸送を規定するIMO規則
●海上における人命の安全のための国際条約(SOLAS条約)
●コンテナ安全条約
●貨物の積み付け及び固定のための安全実施規則
●国際海上危険物規則
●危険物質及び有害物質による汚染事件に係る準備、対応及び協力に関する議定書
●容器に収納した状態で海上において運送される有害物質による汚染防止規則
●汚染責任条約
その他、コンテナ輸送に関する国際規則には以下のものがある。
世界税関機構(WCO)関税条約
国連欧州経済委員会(UNECE)国際道路運送手帳による担保のもとで行う貨物の国際運送に関する通関条約(TIR条約)
生鮮食品の国際輸送に関する国連・欧州経済委員会協定
貨物責任条約
国連・欧州経済委員会危険物規則書 |
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