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No.25/2011 |
■クルーズ船 |
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クルーズ船研修の課題に取り組む労働組合
ニナ・エスペリ・アレン
ノルウェー船員労組(NSU)
ノルウェー船員組合が交渉・調印を行っている労働協約の適用を受けているクルーズ客船に乗り組む船員は、過去5年にわたって、彼らの労働協約と国際海運産業に関する労働組合研修コースに出席している。
ITFおよびインドネシア船員組合(KPI)との密接な協力のもとに、インドネシアのバリ島で実施されているこの労働組合教育セミナーは、労働組合の基本的な知識を船員に付与することを目的としている。
もう一つの重要な目的は、船員の意見や要望などを十分に吸収することによって、それを使用者側との交渉に反映させ、船員と労働組合の関係を強化することである。
2010年に労働組合は、3回の個別セミナーを開催した。男性および女性船員のための基礎セミナーに続けて、女性船員のための半日セミナーが開かれた。その後に、基礎セミナー修了者のための上級セミナーが開催された。
船員たちはセミナーにおいて、ITF、KPIおよびNSUなどについて学習したほか、国際労働機関(ILO)や国際海事機関(IMO)などについても講義を受けた。参加者は、この他、彼ら自身の団体協約についての基礎的な理解を深めた。その他の研修科目として、文化の多様性、いじめやセクハラ、差別および労使紛争解決の手続きなども含まれていた。
船内で発生する多様な情況を実演するため、船員たちはロールプレイ・ゲームに参加した。彼らには、質問や意見を述べる機会も与えられた。
セミナーの最後に、参加者とその配偶者たちは、現地の組織「エイズ委員会・KPA」が開いたエイズ(HIV/AIDS)講座に参加し、バリ島におけるHIV/AIDSに関する統計資料やウイルスの感染経路、生態、感染拡大の防止などについて知識を深めた。
2010年のバリ島セミナーに参加した船員は、合計65人であった。このプログラムが2006年に発足して以来、これまでに参加した乗組員は234人で、このなかには2回目の参加者も含まれている。セミナーへの参加を促進するため、長期にわたって家族と別れなければならない船員の勤務形態を考慮して、家族を同伴することが認められている。
関係労組は、セミナーの期間中に遊覧コースも用意している。これは、全参加者相互の友情を深め、KPIやNSUの担当者および船員相互間のネットワークを構築するためである。
NSUは、船員からの積極的な意見・要望を多数受け取っており、このようなセミナーの重要性を確信している。また、船員から、船内における一般的な問題についても、貴重な情報が組合に寄せられており、我々はこれらを船主との交渉のテーブルに乗せている。
セミナーは、組合にとっても、船員一人ひとりについて知る機会である。後に訪船した際、多くのセミナー参加者と再会することは、極めて有益である。セミナーを通じて知り合っているため、組合が船内の勤務についての貴重な情報を収集することが容易になる。
このプログラムが大きな成果を挙げているため、NSUは近い将来に、このプログラムを南アメリカ、カリブ海およびフィリピンに拡大しようと計画している。すでに昨年6月、NSU はITF およびインド船員組合(NUSI)との緊密な連携のもとに、インドのゴアで初めてのセミナーを開催した。
「少数の者が持つ知識は力であるが、多数の者が持つ知識は自由につながる」というのが我々の信念である。 |
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●ニナ・エスペリ・アレンはNSUマイアミ事務所に勤務している。 |
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