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グローバルユニオン
No.26/2012
■海の連帯行動
 
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船員と港湾労働者


ジェマ・ウォーカー

港湾労働者と船員は、グローバル・サプライチェーンにおいて重要な役割を果たしている。この両者が力を合わせれば、世界貿易に独特の影響を及ぼすことができ、雇用を確保し、基準以下の労働条件を受け入れずに済む可能性も、より大きくなる。
港湾労働者と船員の連帯は、便宜置籍船(FOC)キャンペーンの成功に大きく貢献してきた。船員が問題に直面した時、最初にコンタクトを取るのは港湾労働者の場合が多い。今後、ITFの便宜港湾(POC)活動プログラムの知名度と影響力を高める取り組みを進めるにあたり、かつてないレベルで港湾労働者が船員に支援を求めることになるだろう。
しかし、これは何も新しいことではない。ITFは港湾労働者と船員の強い連帯と、両者が団結すれば、より大きな成果が得られる、との信念に基づき、強化されてきた。それは、1896年のITF設立当初から現在まで変わっていない。
行動週間は、長らく船員の福利を守るというインスペクターや加盟組合の活動にITFが焦点を当てる手段だったが、最近のITF行動週間が示したように、港湾労働者と船員が、これまで以上に連携を強める必要がある事実を浮き彫りにする機会にもなっている。

アジアの行動週間
2011年12月、インドの港湾労働者が、労働条件の改善を求めて乗船している船舶へのITF協約適用を訴えていた船員を支援し、作業の停止を行い、船員と港湾労働者が団結した際のパワーを見せつけた。
ITFに加盟するインドのカンドラ港湾運輸労組は、パナマ籍、トルコ所有のベルデ号の船員が、国際水準をはるかに下回る賃金で過剰な長時間労働を強いられていると知り、抗議行動に出た。
その結果、労使交渉が行われ、デリー、トルコ、ロンドンからITFの代表者も支援にかけつけた。港湾労働者の40分に及ぶ連帯行動が奏功し、船社は乗組員によりよい賃金と労働条件を約束するITF協約の締結に合意した。また、必要な支払額の送金も済ませ、今後もベルデ号の乗組員が継続的に今よりも高い賃金と条件を享受できることが約束された。これは全て、港湾労組の連帯行動があったからこそだ。
カンドラ港湾運輸労組のモノハー・ベラニ書記長は、これは船員と港湾労働者の勝利であり、両者が互いを支援し合えば、目に見える真の成果を手にできることを正に示してくれたと語り、「カンドラでは船員の権利が保護されていて、船員が基本権を確保できるように港湾労働者が支援しているという力強いメッセージが船会社に向けて発せられた。ベルデ号に乗船する19名の乗組員全員の賃金が引き上げられ、社会的な保護も充実した」と述べた。

BMWの雇用を守るキャンペーン
米チームスターズ労組の要請を受け、ITF加盟組合とITFインスペクターは世界中のBMWの主要輸出港で集会を開いた。
船員組合と港湾労組の団結力を活用し、オーストラリア、ベルギー、ドイツ、メキシコ、オランダ、南アフリカ、タイ、英国の港で、労働者がチームスター組合員への支援を表明した。
その結果、自動車大手BMWと米チームスターズ労組が合意に達し、少なくとも70人の雇用が守られた。

バルト海域の行動週間
2011年10月、デンマーク、エストニア、フィンランド、ドイツ、ラトビア、リトアニア、ノルウェー、ポーランド、ロシア、スウェーデンの港湾労組と船員組合の組合員が協力し、各国で船舶の労働条件と賃金を調査し、バルト海地域全体に向け、ITFのPOC活動計画とFOCキャンペーンについて情報を発信した。
後述のインタビューから、港湾・船員の協力関係がいかに皆を強くしているか、船員や港湾労働者の生の声を聞くことができる。

例えば
船員と港湾労働者が連帯して行動した例はたくさんあるが、グローバル市場で競争が激化し、テクノロジーの導入で港湾労働者や船員の仕事の多くが陳腐化する脅威も迫る今、船員と港湾労働者が、これまで以上に寄り添うことがますます重要になるだろう。
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⇒ジェマ・ウォーカーはITFロンドン本部の港湾部会の職員。
イブリン・トムソンポール・シニアリクは、エストニアの船員と港湾労働者を組織するエストニア船員独立労組(ESIU)を代表し、船員や港湾労働者から見たバルト海行動週間について語ってくれた。

船員

ESIUの組織化担当部長のイブリン・トムソンは、組合が1995年に結成された際に採用された最初の職員。

2011年10月のバルト海行動週間に見られたような人目を引く行動を行うことが、船員にとってなぜ重要なのか?
船員が組合やITFの役割を理解する上で最も効果的な方法は、両組織の活動を見せることだ。両組織が船員の権利を擁護するために存在していることを理解している船員が多いわけではない。それどころか、組合には注意しろと警告されていたり、複雑な状況にまき込まれるのは避けたいと懸念していたりするかもしれない。
行動週間により、船員は数の力による防御の効果が分かりやすくなり、組合は新たな未来の活動家に接触する機会が得られる。また、支持者の輪を広げ、海事関係組合が労働者のより良い未来達成のためにお互いに協力している姿を示す良い機会でもある。
例えば、私はチームの仲間を率いて、サンクトペテルグルク、タリン、ストックホルムの間を行き来し、タリンでは最初の便宜置籍フェリーである「プリンセス・アナスタシア号」を訪船した。船上では乗組員に話しかけ、組合の活動を説明し、組合に加入するよう呼び掛けた。
キャンペーンのリーフレットや組合誌を配付した他、団体協約とは何か説明し、署名付きの協約のコピーも配った。

船員と港湾労働者の連携が、なぜそれほど重要なのか?
全ての組合の組織化は、労働者どうしの連帯に基づいている。使用者の多くが絶えず労働者を分断させ、労働者の無知を利用して金もうけをする方策を探している。港湾労働者の支援がなければ、船員は港で船を止めることもできないだろう。航海中のストは違法なので、ストは港で実施するしかない。

ITFの便宜置籍船(FOC)キャンペーンや便宜港湾(POC)キャンペーンについて船員からどのようなフィードバックを受けているか?
支援が必要になった船員は、世界のITFインスペクター・ネットワークを通じてFOCキャンペーンをよく知っている。船員からのフィードバックは圧倒的に好意的なものが多く、キャンペーンの結果、新たな組合員が増えることもある。
しかし、依然として、団体協約や便宜置籍船(FOC)関連の組合活動について知らない船員は大勢いる。何でも天から魔法のように降ってくると考えがちな船員もいる。
バルト海の港湾キャンペーンは、まだ揺籃期にある。要請されれば、船員はより良い規則や、より安全な労働環境、港湾の組織化などを喜んで支援するだろう。そのことが、全般的な労働環境の公正化に寄与すると確信しているからだ。
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港湾労働者

ラウル・シニアリックは、ESIUの執行委員で、元港湾代表だった。

港湾で人目を引く行動を実施することが港湾労働者にとって重要なのはなぜか?
ITFが活動しているところを港湾労働者が目の当たりにし、自分の目でITFの潜在的可能性を認識することが重要だ。そのような行動を通じ、ITFが港湾労働者にとって単に紙の上の存在ではなく、より身近で真実味のあるものになる。ITFがいかに船員のケアをするかを目の当たりにし、ITFの活動に関与する気になる。
最近の行動週間では、組合の指導者とインスペクターがグループを作って訪船を行った。船の上ではグループをさらに2つの小グループに分け、第一グループは書類や帳簿を調べ、私が率いた第2グループは乗組員の居住空間、キッチン、倉庫、食堂などを査察した。
乗組員たちには我々の活動に関する情報ブルテンを配布し、生活条件や自由時間があるか、何か問題はないかなどを尋ねた。

船員と港湾労働者の連携が、なぜそれほど重要なのか?
港湾労働者と船員がお互いに協力しながら仕事をしているので、時に船員が港湾労働者の仕事をしてしまうこともある、というのが先般実施した行動週間の主要テーマだった。お互いに連帯して行動することが、船員と港湾労働者の仕事と賃金を分離し、双方の権利を、よりよく守ることに役立つ。

POCキャンペーンについて、港湾労働者からどのようなフィードバックを受けるか?
最近、ラトビア、リトアニア、ロシアの港湾労働者が集まり、リガで行った会議で、参加者のほぼ全員がPOCキャンペーンの重要性を理解していることが分かった。バルト海行動週間の最終日は、地域の海貨業者を訪問したり、港湾労働者と行動週間やキャンペーンについて語り合ったりすることに充てたが、これは非常に評判がよかった。
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ITFの便宜港湾(POC)キャンペーン

港湾はグローバル貨物輸送システムの主要ハブであり、グローバル経済の中核にある。港湾労働者は、多国籍企業に必要な戦略的サプライチェーンを支える上で、なくてはならないサービスを提供している。
ITF加盟組合は、最も危険な労働環境にある世界中の港で働く男女のため、受け入れ可能な労働水準を求め、率先して闘っている。この取り組みが、便宜港湾(POC)キャンペーンだ。
POCとは、ITFやその加盟組合が許容できると考える安全衛生基準や労働条件が採用されていない港湾や港湾ターミナルを指す。
多国籍企業はグローバル・サプライチェーンを活用し、その多くが利潤と市場シェアの拡大を重視する。最大の成果を上げるために労働力を非正規化し、安全基準を切り下げる企業もある。一部のグローバル企業は、労働コストが安かったり、安全基準を守る必要がなかったり、組織労働者を使わなくて済む港を使うことを選択する。
ITFのPOCキャンペーンは、ITFの加盟港湾労組が受け入れることのできる基準を世界中の港湾やターミナルに確実に適用することを目指している。
ITF港湾部会のアプローチとは、組織する35万人の港湾労働者が自らの潜在的な力から確実に恩恵を受け、権利のために闘い、港湾労働者のため、ひいては世界中の全ての労働者のための公正な処遇を実現できるようにするというものだ。
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⇒POCキャンペーンとITF港湾部会の活動の詳細は、www.itfglobal.org/dockersを参照のこと。
 
 
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