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グローバルユニオン

2011年4〜6月 第42号
■今号のおすすめ
 
出版物とキャンペーン

ITFは加盟組合が活用することができ、役立つ資材を作成している。これらの資材はITFウェブサイト(www.itfglobal.org)からダウンロード可能。または、メール(mail@itf.org.uk)で注文もできる。

ITFシーフェアラーズ・ブルテン

世界中の船員を対象とする人気の高い雑誌。2011年度版にも例年通り、便宜置籍(FOC)船に反対するITFキャンペーンとサブスタンダード船舶に関する情報や助言が満載。例えば、FOC船に関する新ITFメキシコシティポリシー、止まることを知らない海賊の危険、「船員の権利章典」と呼ばれる海事労働条約実施に向けた努力などに関する記事を掲載。オフショア部門、クルーズ船、漁業に関する情報も掲載している。また、世界中の港に展開されているITFインスペクターの総合的な連絡先も掲載されている。つまり、全ての船員が読むべき雑誌である。郵送を希望する場合は、ITF本部まで連絡を。
翻訳版:英語版に加え、アラビア語、中国語、ドイツ語、インドネシア語、日本語、ポーランド語、ロシア語、スペイン語、タガログ語、トルコ語の翻訳版がある。
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ITFトランスポート・ツールキット

ITFのオンラインツールキットを通じ、世界銀行などの国際金融機関が関与する産業の再編に伴う課題に加盟組合が立ち向かうことが可能になった。フリードリヒ・エーベルト財団(www.fes.de)の支援と、パブリック・ワールド(www.publicworld.org)のコンテンツ提供により、当ツールキットでは世界中から複数のケーススタディを取り上げている。詳しくは次のサイトを参照のこと:www.itfglobal.org/education
翻訳サイト:英語サイトの他、一部の資材についてはフランス語とスペイン語で配信。
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今号のおすすめ

海上の搾取工場:世界初のグローバル産業、商船に乗り組む船員の歴史(1812年〜現在)
レオン・フィンク著
(ノースカロライナ大学出版、2011年)

ITFのデビッド・コックロフト書記長による書評

これまでも、そしてこれからも、船員がグローバルレベルで保護を必要とする労働者である事実や、その保護を提供するためにITFが発展してきた事実を疑う者があるなら、この本をざっと読むだけで納得するはずだ。もう少し時間をかけて読めば、極めてユニークなグローバル連帯のメカニズム創設に寄与した米国、英国、スウェーデンをはじめ、インドやフィリピン出身のITF史上重要な人物について学ぶことができる。
この本には、私の大好きな言葉も引用されている。著者のレオン・フィンクはイリノイ大学の歴史学の教授だが、英国の貴族院(当時の最高裁)の裁判長を務めたスカーマン卿の言葉を引用している。1982年の4月、とある船主がITFを訴えた裁判の最終審議中のことだった。船主は、ITFの福利基金が信託になっている点を攻撃していた。ITFのハロルド・ルイス前書記長の回想によると、船社のお抱え弁護士が「裁判長、ITFの福利基金は他ならぬITFの運動資金になっています」と言ったところ、時の裁判長、スカーマン卿が「それの何が問題かね」とすかさず答えたという。その後、5対0でITFに有利な判決が出た。本書はITFのFOCキャンペーンの長所と短所を見事に分析している。世界中の船舶所有国の船員組合と、労働供給国の船員組合の間の100年以上にわたる確執も描かれている。
ITF史上、重要な人物にも焦点が当てられている。「プリムソルライン(満水喫水線)」の立案者、サミュエル・プリムソルを組合の名誉委員長にした英国船員組合のハブロック・ウィルソンをはじめ、オスロ生まれの船員で1880年にサンフランシスコで脱船し、今日の米船員国際労組(SIU)の委員長になったアンドリュ−・フルセスなどが一例だ。フルセスには、1908年に初めてITFの大会(ウィーン大会)に出席した際、欧州人の態度に「大いに落胆した」そうだ。二人とも、各国で組合員を守るため、国内法整備に向け強力に活動したが、船主がたやすく船籍や船員の労働条件を変えることができる状況では、国内法の整備だけでは十分でないことも、熟知していた。
本書で明らかにされているように、常に見られてきた船員と港湾労働者の緊密な連携がITFキャンペーンの力の増大に不可欠だった。ITF史上、有名な人物、ベン・ティレットとチャールズ・リンドリーも登場する。「非居住船員」の賃金水準を巡る口論の結果、インド船員組合のITF脱退と、その後の再加盟を決断したレオ・バーンズや、最大の労働供給国、フィリピンで強力な組合を構築した故キャプテン・グレッグ・オカなどに関する詳細な記述も見られる。
また、巻末近くでは、加盟組合による船内での組織化活動の欠如といった、FOCキャンペーンの弱点も指摘されている。ITFのグローバルな組織化プログラムは依然として船内でも強化していく必要があるが、本著も指摘するように、国内レベル、地域レベルの様々な違いを乗り越えて活動するITFの存在がなければ、船員が現在でも世界で最も搾取されている労働者のグループに入っていたことは間違いない。しかし、今日、船員は世界各国で労働運動を主導する存在になっている。それは紛れもなく、ITFと、ITFを構築した男たち(残念ながら、当時はまだ女性の組合指導者はそれほど多くはなかった)の努力によるところが大きい。
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