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2011年4〜6月 第42号 |
■組合紹介 |
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全英鉄道海事交運労組(RMT)
RMTは、英国で最も戦闘的で実力のある組合という評判を得ている。バリー・デニーが、その理由を説明する。
RMTは、英国で最も急速に成長を遂げている労働組合だ。幹線鉄道、地下鉄から海運、オフショア、バス、トラックまで、交通運輸産業のあらゆる部門・職種の8万人を組織する。
組合員の賃金・労働条件を守ることが、RMTの主要目的だ。150社以上の交通運輸会社と交渉する。あらゆる機会を通じて、賃上げ、労働時間の短縮、安全な労働条件の確保を訴えている。
RMTは民主的な組織だ。執行委員は選挙で選ばれ、任期は3年。全ての役員・地域オルガナイザーも選挙で選ばれる。
RMTには教育センターがある。組合員が支部役員や安全衛生代表、その他の役職に就いたり、政治的に活発になってもらうために、常に研修を実施している。 |
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課題
交通運輸労働者は、民営化の影響をまともに受ける。大勢の仲間が公共部門から民間部門に移行させられた。
新自由主義的なグローバル化を推進する政策やEU規則が導入された結果、交通運輸労働者の賃金・労働条件が、ソーシャルダンピングの攻撃を受けている。
EUの競争・自由化政策は、鉄道、海運、地域交通部門を民間事業者に売り渡し、独占企業や金融資本のなすがままにさせている。
こういった動きに対し、RMTは交通運輸労働者を組合に積極的に勧誘したり、職場での自己組織化を奨励したり、新自由主義の攻撃の本質について組合員に教育したりしている。
この戦略の一環として、われわれは、組合、使用者、政府間のソーシャル・パートナーシップというコンセプトを否定している。交通運輸ネットワークをますます支配しつつある民間企業と正式にパートナーシップを組むことは不可能だと確信しているからだ。これらの企業は株主に報いるために、賃金、労働条件、サービスレベルを切り下げることで、利益を上げようとしている。一方、組合は、サービス、賃金、組合員の生活を守ろうとしている。この矛盾・対立は、ノーストライキ協定や強制仲裁で解消できるものではない。 |
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成果
あらゆる職種を組織する無党派のRMTは、職種に関係なく交通運輸労働者を守る存在として組合員の信頼を得ている。多くの分野で適正な賃上げを勝ち取る一方、清掃員等の弱い立場の労働者の低賃金問題にも取り組んでいる。
政治的には、労働党と一線を画しながらも、議員グループを通じて英国議会での影響力を伸ばしてきた。
この議員グループによる最新の成果は、英国海軍補助艦隊(RFA)の民営化阻止だ。議員グループはRMTに影響が及ぶ多くの案件に関して、何百本もの動議を国会に提出し、審議させてきた。そして、その多くで超党派の支持を勝ち取っている。
EUの民営化政策に関しても、国内およびEU域内で、会議やデモを実施したり、DVD等の教宣資料を多言語で作成したりしながら、いわゆる「自由化」の危険を訴えてきた。
2009年の欧州議会議員選挙では、「No 2EU : Yes to Democracy(EUへNoを、民主主義へYesを)」の旗を掲げる暫定的な政治同盟に属し、EUが欧州裁判所の判決を通じて労働者の権利を攻撃していることや、リスボン条約の押し付けによる民主主義への攻撃、極右の台頭がもたらす脅威などに焦点を当てながら、選挙運動を闘った。 |
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RMTとITF
われわれRMTの先輩達は、1896年のITFの創設に携わった人たちだ。全国鉄道員組合(NUR)は、1930年代にファシズムの支配を受けた労働者への連帯を呼びかける上で重要な役割を果たした。
1990年にNURと全国海員組合(NUS) が合併して誕生したRMTは陸・海の労働者を代表するようになり、ソーシャルダンピングや便宜置籍船(FOC)を監視するITFの公正慣行委員会(FPC)にも加わるようになった。
書記長のボブ・クローは、ITFの執行委員を務めている。RMTは、世界中の交通運輸労働者の連帯を促進するITFの各種キャンペーンを支持している。 |
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バリー・デニーはRMTニュースの編集者 |
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概要
本部:ロンドン(英国)
書記長:ボブ・クロー(写真)
組織人員:8万人 |
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