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グローバルユニオン
No.27/2013
■港湾労働者と船員
 
共通の問題

港湾労働者と船員は共に闘えばより大きな力を発揮できる。その証拠はここに。

ユーコン・リーダー号の事故救えたはずの尊い命

2007年1月21日、午前5時45分頃、ユーコン・リーダー号のフィリピン人乗組員、グレン・キュエバスが、重さ8トンのコンテナに押しつぶされて死亡した。
本船は事故当時、ロッテルダム港(オランダ)のショートシー・ターミナルに停泊中で、死亡したAB船員、グレン・キュエバスは、コンテナ上でツイストロックを設置していたところ、上から別のコンテナに押しつぶされて死亡した。
キプロスを拠点とするマーロー・ナビゲーション社が管理する本船は、「荷役条項」が盛り込まれたITF協約が締結されていた。「荷役条項」とは、地元の港湾労組の合意なしに、船員が荷役やラッシングを行うことを禁じるものだ。しかし、今回のケースでは、地元の港湾労組に何ら連絡はなく、本船乗組員がラッシングを指示されていた。
キュエバスは享年36歳で、妻と二人の子供がいた。ITFは、契約を上回る、総額20万ドルの遺族補償給付金を勝ち取った。
事故から6年以上が経過した今日においても、事故の責任を追及する裁判は続いている。地元の当該組合、FNVBondgenotenのニック・スタン港湾部長は、「恐ろしい事故だ。さらに恐ろしいのは、完全に防げた事故だったことだ。港湾労働は危険を伴う。現地に熟練した港湾労働者がいるにもかかわらず、船員にラッシングを強制することで、彼らの命を危険にさらすべきではない」と主張する。
さらに、「船員は海上での長時間労働から来るストレスで疲れ切っている。こういった要因を無視すれば、この種の事故の再発を招くだけだ」と続けた。
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死活問題

港湾労働の訓練を受けた港湾労働者がいるにもかかわらず、船員が貨物の積み下ろしを指示されることがある。
船員が港湾労働を行うことの危険性は十分立証されている。
英国とアイルランドを担当するITFコーディネーター、ケン・フレミングは、必要とされるアプローチの仕方について、次のように語った。「港湾労働者と船員の協力は、いくつかの港にとっては死活問題だ。両者が団結・連帯すれば、強力な力を発揮し、搾取をなくし、安全で働きがいのある職場を確保できる」。
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未来のために国境を越えて

ITFリサーチャー ジェレミー・アンダーソン

DPワールドは、世界6大陸に進出するグローバル・ターミナル・オペレーターだ。しかし、サザンプトン港(英国)のDPワールド・ターミナルは、同港で活躍するスティーブ・ビッグスや仲間の港湾労働者たちにとって、一時的な存在になるかもしれない。DPワールドは、現在、テムズ川沿岸のロンドン・ゲートウェイに最新鋭の設備を建設中だ。ビッグスと彼の組合、ユナイトは、サザンプトンのDPワールド・ターミナルの全業務がロンドン・ゲートウェイに移管されるのも時間の問題ではないかと危惧している。そうなれば、DPワールドはもはや彼らの使用者ではなく、競合相手になる。
ビッグスはサザンプトンの将来、つまり、新しい世代の港湾労働者に十分な仕事を確保するにはどうしたらよいかを常に考えている。
「最近、若者のために、新しい仕事を獲得した」とビッグスは言う。「DPワールドの新しい倉庫施設があったが、そこでの仕事をあきらめて、新しい仕事をつくると言ったのだ」
ロンドン・ゲートウェイの新設備は、ユナイトの組合員の生活を脅かすこととなるかもしれないが、ビッグスは既に現地の労働者をどのように支援したらよいかを考えている。DPワールドの世界的な規模が組合にとって有利に働くこともある。100年以上の歴史を有するサザンプトン港の港湾労働者と、まだ開港すらしていない新しい港の労働者を連携させたい。会社側はもちろん、組合がゼロからスタートする方を好むに違いないからだ。
ビッグスのアイデアは国内に止まらない。DPワールドはドバイに巨大ハブを有している。巨額の利益が生み出されるドバイでは、組合の権利は保障されず、労働者に対する基本的な保護もない。「私は常にドバイの安全性を提起している。死亡事故が発生した時は常に十分な説明を求めてきた。ドバイにはまだ組合がない。だから、ドバイの労働者をできる限り支援していかねばならない」ビッグスは主張する。
「エルソハナ(エジプト)の争議の時と同じだ。労働者が独立的な組合を設立できるようになったのはアラブの春より後のことだ。DPワールドが組合認知を拒否したので、我々がサザンプトンの取締役を呼び、苦言を呈したこともある」とビッグスは続けた。
一部の企業や政治家は、組織された港湾労働者は怠け者で、わがままで、保守的だ、というイメージを広めようとしている。しかしそれは完全には成功していない。サザンプトンなどでは、労働組合運動は生き続けている。スティーブ・ビッグスと組合は、自分たちの港を守り続けるとともに、港のあり方について自分たちのビジョンを持ち続けている。共に活動し、共に支えあうことが彼らの生き方だ。これを全ての港湾労働者と共有したいと考えている。
ビッグスは既にゲートウェイ・ターミナルの組合をどう支援したらよいかを考えている。ユナイトのオルガナイザーがゲートウェイ・ターミナルの職場にアクセスする権利の確保は経営側に拒否された。ユナイトは各国のITF加盟港湾労組がDPワールドに圧力をかけることをITF港湾部会委員会に要請した。
ITFとユナイトはDPワールドとの意義ある対話を望んでいる。これは、ITFが全てのグローバル・ターミナル・オペレーターと望んでいることだ。
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ITFファミリー

ITFインスペクターのクリスチャン・ロース
マリタイム・ラウンドテーブルについて報告する


船員と港湾労働者は、仕事の上でも、組合の闘争においても、常に連携している。ITF自体が船員と港湾の連帯をきっかけに設立された組織だ。
今日、両者の協力の必要性はますます高まっている。そこで、2012年9月、「ITFファミリー」が結集するイベントとして、初のマリタイム・ラウンドテーブル(海事円卓会議)がカサブランカ(モロッコ)で開催され、50か国以上の港湾労組および船員組合から活動家約200人が結集した。
参加者は、自分たちが抱えている問題の多くが、港湾と船員の共通問題であることに気付いた。例えば、船内の安全衛生問題は、船員だけでなく、港湾労働者にも影響を及ぼす。船員の荷役作業は、熟練した港湾労働者の雇用だけでなく、船員の身の安全をも脅かす。
我々は、組合活動への積極的関与を組合員に奨励することで、組合を強化することの重要性を考えてほしいと参加者に促した。参加者は、コミュニケーションやその他の手段を通じてこれを達成する方法を議論した。
また、港湾のオートメーション(自動化)などの産業の動向も議論し、組合員への影響や組合の対応について検討した。
さらに、サプラインチェーンに沿って、海事産業、さらには交通運輸産業の枠組みを超えて、様々な組合が協力することで、労働者により大きな力が与えられる点を理解した。
全てのファミリー(家族)がそうであるように、意見が異なることもある。しかし、強い絆で結ばれた家族は、いざという時には一致団結し、困難を乗り越えることができる。

本稿は最初にITFインスペクターのブログで紹介された。

2012年8月、港湾労働者と船員の協力および情報交換の場として、新しいウェブサイトが立ち上げられた。www.dockers-seafarers.org
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DHLによる組合攻撃

DHLトルコは、社員に新組合への加入を強制することで、組織化に成功したTUMTISを潰そうとしている。2012年初頭、DHL倉庫前で200日以上にわたり、平和的なピケを張っていたTUMTIS組合員が建てたシェルターが攻撃、破壊され、海事関係の組合を含む様々な組合の組合旗が引き裂かれたとの報告があった。
2011年4月以降、組織化を理由に30人がDHLトルコに解雇された。解雇された者の多くが、現在もDHLトルコの倉庫前でピケを張っている。
引き裂かれた組合旗の中に、黒海沿岸の8つの海事組合から2012年10月23日に贈呈されたものがあった。これらの組合の代表は、イスラエル職員組合、フランス労働連合(FLC)、トルコ船員組合(Dad-Der)と共に、ピケ現場を訪問し、解雇された労働者を激励した。
詳しくは、http://www.itfglobal.org/campaigns/respectatDHLturkey.cfmへ。
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