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No.27/2013 |
■海賊 |
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海賊被害船員の人道支援
弁護士を呼ぶ前に
「弁護士を呼ぶ前に、これを読むべし」と海賊被害人道支援プログラム(MPHrP)のプログラム・リーダーを務めるITF船員トラストのロイ・ポール総務部次長はアドバイスする。
海賊被害人道支援プログラム(MPHRP)は、海賊の被害にあった船員やその家族を支援するために存在する。最近、海賊に襲撃されたり、人質に取られたりした船員に商機を見出そうとする悪徳弁護士をよく見かける。彼らは、被害船員が抱えている問題への解決策をいとも簡単に提示し、獲得可能な補償金や保険金の額を口にする。しかし、これらの金額を獲得するには5〜10年かかることもあり、しかも、満額獲得できることは非常に稀であることを彼らは言わない。
船員やその家族が受け取ることのできる補償金や未払い賃金があるとすれば、それらは契約書に明記されているはずであり、MPHRP、雇用当局、所属組合、あるいはITFに支援を求めるべきである。海賊多発地帯を航行する際の賃金は通常、二倍となり、所持品の損失、負傷、あるいは死亡の補償金も二倍となる。夫が殺害されたとことを知らされたり、遺体となって帰宅した夫に対面した時など、妻は精神的に辛い状態に陥りやすく、悪徳弁護士がつけ入る隙を与えやすい。
補償金がいくら支払われようが、愛する人が返ってくるわけではない。誰を信じたらよいのか分からなくなるのも無理はない。悲しい知らせをもたらした人を信頼したくないという気持ちはわかる。弁護士に話をつけてもらうことが賢い選択に思われるかもしれない。しかし、それがもたらす結果を理解しておくことが重要だ。20%の報酬はそれほど多いと思われないかもしれない。しかし、例えば、98,000ドルの死亡補償金は、海賊被害の場合は196,000ドルになる。この20%、つまり39,200ドルが弁護士の手に渡るのだ。
実際、訴訟が5年、10年と長引き、より低額の補償金で和解するケースも少なくない。遺族の気持ちが変わり、和解を受け入れようとしようものなら、弁護士は40%の報酬を要求してくるかもしれない。
MPHRPは海運産業のパートナーと共に、他人の不幸につけこもうとする輩から船員とその家族を守るために活動している。船員とその家族が、受け取るべき補償金等をしっかり受け取れるよう、無料で支援する。
海賊の被害にあった船員とその家族を支援するために活動するMPHRPについての詳細は、www.mphrp.orgへ。 |
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