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グローバルユニオン
No.27/2013
■弱い立場の労働者の保護
 
弱い立場の労働者の保護

漁船員は世界で最も搾取されている労働者グループの一つだ。しかし、カン・ゴードンが報告するように、組合の組織拡大やILO第188号条約によって、搾取撲滅への道が開かれようとしている。

漁業の年間生産量は価格ベースで850億ドルに及ぶ。しかし、漁業労働者は世界で最も搾取されている労働者グループの一つだ。
ニュージーランド海域で操業する漁船の外国人乗組員に関する画期的な調査報告書の著者に、ある乗組員は次のように語った。「自分が何の価値もない存在のように思えてくる。18時間も働いて、6時間分の賃金しか貰えない。まるで動物のように搾取される。なぜこのような扱いを受けなければならないのだろうか」
世界のあらゆる海で、フィリピン、ガーナ、エジプト、インドネシア出身の漁船員が働いている。彼らは、自国から遠く離れたニュージーランドや欧州の海域にいる時は、自国で受けられる雇用上の保護を受けにくい。
調査の結果、多くの漁船員が仕事を得るためにエージェントに金銭を支払っていることが判明している。通常、契約を結ぶ際、パスポートを取り上げられる。そして、いったん海に出れば、船長とクルーの情けにすがるしかない。オフィサーが敷いた冷酷な体制の中で、食糧や所持金は押さえられ、肉体的・性的に搾取される。外国の海域・港で、保護のない弱い立場に置かれ、身の安全を危険に晒すことなく支援を求める術はない。
2007年、国際労働機関(ILO)は、第188号条約を採択することで、漁業労働者の喫緊のニーズに応えようとした。この条約は、労働者の搾取を許している法の抜け穴をふさぐことを目的に、労働時間、賃金、雇用、本国帰還、被雇用者の医療ケア等に関する最低要件を乗組員の国籍にかかわることなく定めている。
ILO第188号条約が採択されて以来、ITFとその加盟組織は、条約の発効に必要な10か国以上の批准を目指して、活動を続けている。
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パプア・ニューギニア
パプア・ニューギニアの豊富な漁業資源は、多国籍企業から多額の投資を引き寄せている。新たに組合に加入した同国の労働者は今、団体交渉に勤しんでいる。
ITFがパプア・ニューギニアの漁業労働者のための活動を開始したのは2011年。以降、オルグ技術・戦略に関する情報提供や教育活動を行ってきた。
「5千人以上が組合に新規加入した。労働条件を改善するためには、これが最初のステップだと分かったからだ」とITFと食品労連(IUF)の合同運動「漁獲から販売まで」のプログラム・リーダーを務めるリズ・ブラックショーは言う。
ブラックショーによると、既に組合加入の恩恵が感じられているという。「労使交渉の結果、ある職場−私がこれまで目にした中で最も危険な職場−において、制服代の給与からの天引きの見直し、安全検査の実施と勧告の履行とともに、新たに設定された最低賃金の履行が合意された」とブラックショーは語った。

英国
英国では、外国人漁船員はその在留資格のために、法的に曖昧な立場に陥りやすい。彼らのほとんどが通過ビザを与えられ、外国の港に向けて出国することを条件に、特定の船舶への乗船を許可される。しかし、彼らのほとんどが、ビザに記載されていない船舶に乗船し、英国内で、記録もないまま、保護も与えられずに働いている。
「彼らは不法滞在なので、法律に守られることはない。船主に搾取された後、英国国境局が本国送還の手配をしてくれることを期待するしかない」とケン・フレミングITF英国・アイルランド担当コーディネーターは言う。
彼らの不安定な地位は、悪徳船主に利用されやすい。何か月も休暇を与えられずに、1日20時間も働かされる。突然、賃金を半額にカットされても、法的手段に訴えることもできない。
「ITFは、搾取目的で労働者を不法入国させた者を厳しく罰するために、各国の政府機関に法改正を要求すべきだ」とフレミングは主張する。

ニュージーランド
ニュージーランドの海事組合と人権団体は、外国人漁船員にニュージーランド人漁船員と同等の保護および雇用の権利を保障することを要求し、実現させた。
この改革は、ニュージーランド海域で操業する外国用船の乗組員の労働条件に関する2011年の報告書が発表された後に実現した。
報告書は、オークランド大学のクリスティーナ・ストリンジャーとグレン・シモンズによるもので、外国人漁船員が強いられている非道な扱いと奴隷のような労働条件をありのままに報告し、政界を騒然とさせた。
政府は実態調査を余儀なくされ、ついに2012年5月、外国籍漁船がニュージーランド海域で操業することを2016年から禁止する旨、発表した。これにより、外国所有船は、ニュージーランド海域においては、ニュージーランドの旗を掲げなければならず、乗組員はニュージーランドの労働法の適用や法的保護を受けられることになる。
ITFのジョン・ウィットロー水産部長は、「正しい施策がやっと導入された。ニュージーランド海事組合(MUNZ)や改革を推進してきた全ての人におめでとうと言いたい」と述べた。
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ILO第188号条約

2007年の漁業労働条約(第188号条約)は、世界の漁船員にデイーセントな労働・居住条件を確保することを目的としている。

主な内容は、
・漁船所有者と船長の責任
・最低賃金
・最低休息期間
・最低配乗人員
・署名付きの労働協約
・社会保障と医療ケア
・適切な居住設備と食料
・契約終了時の本国帰還の権利

この条約の発効には、沿岸国8カ国を含む10カ国の批准が必要だ。2012年末までに、アルゼンチンとボスニア・ヘルツェゴビナの2カ国が批准している。
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