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No.27/2013 |
■船員という職業 |
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船員という職業
若者にとっての魅力は?
伝統的海運国の多くで、船員訓練所の維持が難しくなっている。投資不足や、陸上の職業に比べて船員の賃金が安いことに起因する人材不足が原因だ。船員という職業に魅力を感じる若者は少なくなっているが、ここに紹介する若者はそうではないようだ。
最高の職業
クリスチャンはセティール(カナダ、ケベック州)でタグボートに乗船している。これまで経験した中で最高の仕事だという。14日間乗船した後、14日間自宅で過ごすというスケジュールだ。カナダ国際船員組合(SIU)で、セティール港のタグボート三隻を代表する職場委員を務めている。「セティールは常に天候に恵まれているわけではない。特に冬は風が強く、マイナス30度まで気温が下がることもある。しかし、これも仕事のうちだ。勤務スケジュールは家族生活を営む上で非常に恵まれている。自宅にいる間は妻や子供と過ごす時間を確保できる。乗船している間も、船内の電話やインターネットを通じて家族や友人と連絡を取っている」。
NI青年フォーラム
英国とオランダの職員組合、ノーティラス・インターナショナル(NI)の青年フォーラムは、2011年のNI大会の決定を受けて、設立された。マースクで機関士見習いを務めるマーチン・グレイは、2012年6月に開催された第1回NI青年フォーラムで講演し、同フォーラムの議長に選出された。選挙後、マーチンは次のように語った。「船員はとても魅力的な職業に思えた。初のエンジニアリングの授業で、生徒は皆、機関長への出世路線に乗っていると言われた。自分も機関長になりたい。この職業を極めたい。それから、次のことを考えたい。このフォーラムの先には、大きな可能性が開かれている」。
マーチンは、青年フォーラムで、ジェームズ・フィッシャーの三等航海士、エリザベス・ダイクスの指導を受けた。エリザベスは最近、英国海事沿岸警備庁の年間最優秀訓練職員賞を受賞した。船員を志した頃を思い出して、「若い頃、クルーズ旅行に出かけたことがある。初めは子供向けの娯楽部門で働きたいと思っていたが、オフィサ自分も機関長になりたい。この職業を極めたい。ーと話をする中で、甲板部門を勧められた」と語った。青年フォーラムをコーディネートするのは、NIのブラッサム・ベルだ。ブラッサムは若年船員が訓練中や見習い期間に直面する問題やプレッシャーをよく理解している。彼女自身が現在、見習い期間を終え、三等航海士として乗船しているからだ。ITF青年委員会の委員やITF船員部会の青年代表も務めている。
地域住民に料理を提供
コミュニティー活動への関心が高い若年船員も多い。もっとも、家を離れている期間が長いため、活動に参加するのは難しいのだが。
2012年10月末にハリケーン・サンディーがニューヨークを襲った後、米国の職員組合、MM&Pのライアン・レオとコナー・サリバンは、ロングビーチ(ニューヨーク州)のレストランと協力して、地域住民1千人以上に料理をふるまった。住民の多くが、数日間、温かい食事を口にしていなかった。
二人は、ケータリング・トラック(屋台トラック)を拠点に、5時間かけて、チキン、ハンバーガー、ホットドッグ、スペアリブを料理した。「ただグリルの前に立ち、料理を始めただけ。できるものを何でも作った」とサリバンは言う。
まずは、サリバンの兄が所有するレストラン「スウィングベリーズ・ビーチサード・バーベキュー」や、「サルーン」、「シャインズ」、「JWトレイナーズ」等の地域のレストランが提供してくれた食材を調理した。「その後は、人々が冷蔵庫や冷凍庫にある食材を持って来てくれたので、それらを調理した」とサリバン。レオとサリバンは前日も、何百人もの警察官や消防士、州兵らに屋外でバーベキュー料理を提供していた。 |
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