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グローバルユニオン
No.27/2013
■業界の動向
 
変わりゆく海運産業の様相

港湾の自動化と非正規労働は船員と港湾労働者の
双方に等しく影響する


この50年間で海運産業は大きく変化してきた。止まることなく拡大するコンテナ化により、貨物需要も拡大し、新たな市場が開拓され、船舶も徐々に大型化してきた。海上貿易はかつてないほど活発になり、海運市況は世界経済全体を反映する正確なバロメーターとして広く認識されている。
同時に、海運業界は多国籍企業に占有されるようになり、世界の海運業界には現在、約30社のコンテナ船社が進出している。他の多くの産業とは異なり、2008年の世界金融危機からの回復は比較的早かった。欧州では成長が鈍化する中、アフリカ、中南米、インドなどの新興国市場が船社の注目を集めている。航路パターンも変わり、貨物の取り扱い時間を短縮し、寄港地を減らすことで利益を拡大することが重視されている。
港湾自動化を多くの港運事業者にとって現実的な選択肢とした技術革新こそ、海事労働者にとって、近年のもっとも重大な変化といえるだろう。一部または全面的に自動化された、あるいは自動化が今後起きる可能性のある港で直接働いているか、またはそのような港に立ち寄るのかは別として、船員と港湾労働者の双方が港の自動化の影響を広く受ける。
港の自動化が船員と港湾労働者にもたらす影響は労働者が一番よく分かっている。オーストラリアのボタニー港では2012年に港湾事業者のパトリック社が自動化を理由に労働者の半分を解雇しようとした。
そのような発表をオーストラリア海事組合(MUA)との交渉が終了して間もなくパトリック社が行ったことから、港湾自動化の議論に労働組合が関与することをめぐり、重要な問題が提起された。ITFは絶対的に自動化に反対しているわけではないが、自動化は労働者の安全と実地の経験を考慮し、安全な人員配置レベルを保った上でなされるべきであると確信している。自動化は熟練した港湾労働者の代わりにはならない。最近のボタニー港の争議の際にMUAのミック・ドーマン書記次長が指摘したように、自動化が生産性向上をもたらすと決めてかかるべきではない。
「パトリック社が導入しようとしている技術は非生産的でコストも高い。これでは生産性は上がらないし、株主にとっても重荷になる。同様の技術が導入されたブリスベン港では国内の他の港に比べてコンテナ処理速度の目標が低くなっている。このことからも自動化導入の議論はイデオロギー的なもので生産性の問題でないことがわかる」とドーマン書記長は述べる。
自動化された港に寄港する船舶に乗り組む船員はほんの少数の港湾労働者しか港にいないと感じるかもしれない。港湾労働者とのコミュニケーンが希薄になることが、安全衛生上のリスクになる可能性があり、そうなると船員がラッシングやアンラッシングを行うことを求められる可能性も高くなると船員が報告している。ITFはそのような船員による荷役は阻止しようと活動している。
労働者の安全衛生面に影響する業界の動向として、この他にも港湾労働の非正規化がある。
オークランド港ではニュージーランド海事労組(MUNZ)に加入する船員は、現在、港湾労働者が協約改定闘争を展開していることを痛いほど熟知している。大量外注化の波により、訓練を受けていない労働者や船員がラッシングやアンラッシングなどの港湾労働者の専門業務を行うことが求められる可能性が高まる中、MUNZは協約に雇用を保障する文言を盛り込むことを要求している。
MUNZはまた、安全衛生面の懸念を例に挙げ、船員も未組織の港湾労働者と仕事をすることは望んでいないと主張している。「労働者は適切な賃金と労働条件を享受し、雇用と安全な職場環境、スキル向上に伴いキャリアアップする機会を保障されるべきだと組合は考える」
利益重視の業界の慣行により、労働条件や雇用保障が絶えず脅かされ、海事労組に大きく影響することは明らかだ。こうした動きの中でも、労働組合が降伏することはなく、組合員の労働条件を守るため、これまで以上に闘っていくことも明らかだ。組合は、自動化や非正規労働者の利用などの問題に関する意思決定において、労働者自身がより大きな役割を果たすことを望んでいる。
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見通し:自動化ターミナル
ターミナルの自動化が船員にとって意味するものは?


レイモンド(フィリピン人AB、32歳)、エドュアルド(フィリピン人AB、34歳)、ジョエル(フィリピン人司厨手、43歳)は全員、5〜6日おきにロッテルダムの自動化ターミナルに入港する船舶に乗り組んでいる。ロッテルダム港でITFインスペクターのアスウィン・ノルダメーアと3人の船員が話をした。

レイモンド:「自動化した港に行くのは大変だ。人はほとんど見かけないし。港湾労働者との唯一の接点はVHF無線でフォアマンと話をする時だけだ」
エドュアルド:「自動化していない港ならいいコミュニケーションが取れるのにね」
レイモンド:「安全だしね。コミュニケーションがうまく行けば、貨物にとっても関係する人間にとってもずっと安全だ」
エドュアルド:「そうだ。僕も港湾労働者に囲まれている方が安全な気がする」
ジョエル:「それに港湾労働者がいた方がITFだって訪船しやすいよね」
エドュアルド:「自動化したターミナルでは、ラッシングやアンラッシングをもっとやらされる。港湾労働者がいないんだから。要するにシフトがもっと忙しくなって大変になるってことだ」
レイモンド:「自動化港湾が増えれば、余計な仕事が増えて仕事はさらにきつくなるだろうね。特に乗組員の少ない小型船の場合はそうだ」

マーティン・バービクはロッテルダムのECTターミナルでクレーン・オペレーターをしている。労働法・安全衛生・福祉・環境(ARBO/VGWM)委員会の副議長も務める。ロッテルダム港に自動化が導入された際の経験について話してくれた:
約20年前は一つのクレーンチームに9人の労働者がいたが、今は3人になった。今現在も続いている技術革新の結果、最終的にどうなるのか分からない。
自動化ターミナルに足を踏み入れると、ゴースト・ターミナルのような感じがする。人をあまり見かけないからだ。以前はターミナルに来れば仲間に会えた。自動化したターミナルで働く今は孤独を感じる。
有人ターミナルの方が自動化ターミナルよりも生産性が高いと私は思う。自動化ターミナルは機械の故障に影響されやすいからだ。一つの自動搬送台車(AGV)に問題が発生して停止すると、後続のAGVも停止する。有人ターミナルでトラックが一台停止したり、故障したりしても、後続のトラックは前のトラックを迂回すれば済むから作業が停滞することはない。
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